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August 10, 2015

今はなきオースオトリア連邦軍のアクロバットチーム(下)

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昨日に引き続き、「オーストリア連邦軍のアクロバットチームにまつわるお話」をお届けしましょう。

なお、オーストリアでは、空軍機によるアクロバットフライトを「Militärischer Kunstflug」と言うようです(「軍用機による曲技飛行」そのままですね)。

1977年から本格的な活動を開始した「KARO As」は、1978年には、イギリス、ドイツ、イタリア、フランスなどでも展示飛行を行うなど、海外での活動が一気に広がりました。さすが陸続きで隣国までの距離が近いヨーロッパならではの海外遠征です。

不思議なのは、海外の展示飛行が多いことです。これは、オーストリア国内では大規模なエアショーが少ないこと、空軍基地が少ないことなどから、隣接する国での展示飛行が多くなったようです。

ただ、空軍博物館に展示されている展示飛行記録については、国内は一部、省略している可能性があるかもしれません。

当時、「RIAT」(Royal International Air Tattoo)は隔年開催だったのですが、「KARO As」になってからも1977年、1979年、1981年、1983年に、それぞれ参加しており、RIATの常連になりつつありました。

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海外の遠征先も増えて、1982年にはスイスのSION、1983年にはベルギーのOSTENDEにも遠征しています。

1984年ですが、海外遠征はなく、オーストリア・グランプリとFlugtag GRAZでの展示飛行のみに留まっています。というのは、1984年をもってチームは解散となってしまったからです。

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元々、空軍が所有する練習機や戦闘機の数が極端に少ない国である上に、予算的な制約もあって常設のアクロバットチームを維持することが難しくなったのでしょう。

また、チーム廃止のもう一つの要因は、新型戦闘機Saab 35OE“Drakens”の導入に合わせて、パイロットが不足したことも影響しているようです。ちなみに9年間での展示飛行は150回程度、うち海外での展示飛行50回程度だったようです。

Feriは、残念ながら「KARO As」の展示飛行を見た経験がないので、どのようなプログラムだったのかは知る由もありません。

しかし、空軍博物館に展示されている資料を見ると、4機のフォーメーションフライト(飛行中に編隊のフォーメーションを変える)が中心だったようです。また、ソロのフライトは組まれていなかった模様です。

「KARO As」には1975年から1984年までの9年間に、都合7名のパイロットが所属していましたが、リーダー(飛行隊長)のRobert Haas大尉は、9年間通してリーダーを務めています。このほかにも4番機(Slot)のGerhard Thalhammer大尉も9年間、所属していました。

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通常、アクロバットチーム専属の場合は、実戦での技量を維持するためにも3年程度のローテーションを組むケースが多いそうです。

9年間の任期というのは長いような気がしますが、展示飛行の回数が少ないことから、平素は教官パイロットとしてご活躍していたものと思われます。

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なお、常設のアクロバットチームは解散してしまいましたが、時々、オーストリアで行われる大規模な航空ショーAirPowerなどでは、Saab 105OEを使ってアクロバット飛行を披露することもあるようです。

また、海外の航空ショーなどへは、Saab 105OE、Saab 35“Draken”、Pilatus PC-7などの機体が単独で、派遣されるように変更されました。

一方、ジェット練習機によるアクロバットチームとは別に、オーストリア連邦軍にはヘリコプターを使ったアクロバットチーム「KLEEBLATT」(クローバー)が存在しました。

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こちらの使用機材は、特別塗装を施したBell OH-58 "Kiowa"で、4機編成。「KARO As」と同じ1975年に誕生しましたが、1987年に一旦チームは解散。その後、1997年に再結成されました。

残念ながら1975年から1987年までの展示飛行記録は空軍博物館にも掲出されていませんでしたが、再結成後の1997年からはオーストリア内だけでなく、スイス、スロヴァキア、フランス、ベルギーなどでも展示飛行を行っていました。

ただ、こちらも2001年7月、LANGENLEBAMでの展示飛行を最後に解散してしまいました。

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現在、オーストリア連邦軍のアクロバットチームに関する資料は、Zeltweg基地内にあるオーストリア空軍博物館に展示されています。

今回、お目にかける写真はいずれもオーストリア空軍博物館の展示資料ですが、チームのグッズや各種の表彰楯やメダルなども見ることができます。

小さな国の小さなアクロバットチームなので、覚えている人も少ないと想いますが、航空ファンには一見の価値があると想います。

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なお、実機に関しては、「SILVERBIRDS」に使用されていたV字型の尾翼が特徴的なフランス製Fouga Magisterが展示されています。

Saab 105OEに関しては、現在も練習機として使用されているためか、まだ、博物館に実機は展示されています。

余談になりますが、パイロットから圧倒的な支持を受けている時計メーカーのブライトリングでは、世界各国のアクロバットチームのロゴが入った腕時計を限定品として販売しています。

実は、以前、「KARO As」バージョンもあって、Feriも欲しかったのですが、値段が高く手が出ませんでした。

最後に、オーストリア連邦軍がYouTubeに公開しているSaab 105OEの機動飛行の動画をお目にかけましょう。この動画を見ると、機動性の良さから、アクロバットにも十分対応できることがよくわかります。

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