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August 29, 2015

深刻な難民問題

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基本的に明るい話題をお届けしている「オーストリアこぼれ話」ですが、今日は、最近、こちらで頭が痛い難民問題をご紹介しましょう。

日本では十分、報道されているかどうかはわかりませんが、こちらのテレビでは、毎日のように難民に関するニュースが流れています。また、特集番組も放送されています。

26日・27日の両日だけで、ブルゲンラント州では、難民や不法移民が計300人以上も拘束されていますが、同州のアウトバーンA4では、放置されていた冷凍車の荷台から難民とみられる遺体が発見されています。警察の発表では、オーストリアに入る前に死亡していた可能性が高いそうです。

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なぜ、難民が乗ったトラックがオーストリアに来るのか‥その理由は、後半でお伝えします。

さて、今夏、訪れたLungauの中心都市Tamswegには、連邦軍の駐屯地があり、統廃合の対象となってたことから、真っ先に難民収容施設を作るというプランが国から提示されました。

オーストリアは、たすけあい精神が浸透している国で、小さな国であるにもかかわらず、恵まれない人々に対する寄付活動は非常に活発です。しかし、難民の受け入れとなると別のようです。

Tamswegでも地元住民の民意を背景に、市長さんが断固、拒否の姿勢を示しているようで、Feriが訪問した時点では、難民収容の動きはありませんでした。

3枚目の写真は、Tamswegの駐屯地正門です。この週は演習があったようで、頻繁に兵士や車両が出入りしていましたが、土曜日はゲートもしまっており、静かでした。

こんな中、8月中旬、政府は、法令の改正を国会に提出。これは、全国にある連邦軍の駐屯地を含む国有施設を、たとえ所在地の地方自治体が反対しても、国の権限で難民収容に転用できるというものです。

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仮に日本で、この手の法案が国会に提出されたら、政権が倒れるリスクが高いと思うのですが、EUのシバリもあるためか、オーストリア政府も思い切った手を打ち出したものです。

先日、フィッシャー大統領が、ウィーンの難民収容施設を視察したようで、その模様がテレビで紹介されていましたが、常設の建物に入りきらない難民が、テントで不自由な生活を送っている様子が流れていました。

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現在、オーストリアで多い難民は、トルコ経由でやってくる「バルカンルート難民」だそうです。また、難民(不法移民)の多くは、ドイツやスウェーデンを最終的な目的地にしていると言われています。

難民の移動ルートですが、トルコからセルビアを経由してハンガリーへ。ハンガリーからオーストリアへ入り、国内の検閲をくぐり抜け、パッサウから毎日数100人がドイツへ越境していまるそうです。

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そのため、ドイツのバイエルン警察から、オーストリアに本格的に取り締まって欲しいという要望が出ているようですが、オーストリア側は警察官の人手不足で手が回らないと回答しているとか‥

ただ、本音のところでは、やっかいな難民を国内に留まらせず、早く隣国へ出国してくれれば助かる‥と思っており、事実上、見て見ぬ振りをしている可能性もありますね。

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このほか、バルカンルートのマケドニアでは、密入国者は72時間以内に国外退去しろと、1日3本のベオグラード行き越境列車を無料で運行しているそうです。

実は、こういった難民は不法移民の移動を幇助しているのが、密航手配師です。もちろん、違法です。

密航手配師の車にすし詰めの人たちがハンガリーから越境、オーストリア国内の路上脇に放り出され、途方に暮れた難民がアウトバーンをうろうろしているところを保護された‥というニュースもありました。

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先ほど、ご紹介した冷蔵トラックの荷台から遺体で発見された難民も、恐らく密航手配師の仕業でしょう。

現在、逮捕され、当局に拘留中の密航手配師は、ドイツで1500人、オーストリアでも400人もいるそうです。

密航手配師、麻薬密売や人身売買より儲かる新商売として、裏社会では注目されているそうですが、取り締まりも含めて、大変な時代になったものです。

しかし、流入する難民や不法移民の対策以上に大切なことは、難民を出さないようにする施策だと思いますが、これがなかなか難しい問題だけに、今後もしばらく、難民問題は続くことになるでしょう。

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経済・政治・国際 |

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Comments

こんばんは、はじめまして!来週から中欧(オーストリア、ハンガリー、チェコ)への旅行を予定している者です。ブログを読ませていただき毎日旅行のことを考えワクワクしていたのですが、ここ最近移民関連のニュースがさらに目立ち、実際の現地の状況がどうなのか、とても気になっています。難民に紛れて武装勢力が各国に潜伏しているとか…とっても怖いです。このタイミングでこれらの国を度することは安全なのか?交通網は問題ないか?…等々、不安ばかり募っています。現地の最新状況を教ええていただけますか?また、これから現地に行く旅行者へのアドバイスがありましたらお願いいたします。

Posted by: まりん | September 08, 2015 22:41

まりんさま、日本は直接的な関係国ではないので、断片的な情報しか出ていないので、ご不安かと思います。

まず、オーストリアに関しては、治安は維持されており、実際、いつものように大勢の観光客の皆さまがいらっしゃっています。ウィーン市内でテロ事件なども発生しておらず、あまりご心配になる必要はないかと思います。

ハンガリーに関しては、一時期、駅の封鎖などで混乱があったようですが、ある程度、オーストリア側との連携がとれるようになり、難民をまとめて列車で移動させる方法がとられるようになりました。

ただ、列車の運行に関しては、ダイヤの乱れなどが予想されますので、長距離に関しては余裕もをって行動された方がよろしいかと思います。

自動車で移動される場合は、国境でチェックが入る可能性があります。

なお、余談ですが、こういった混乱に乗じて偽警官によるスリなどが横行する危険性がありますので、その点は注意された方がよろしいかと思います(偽被疑者が観光客に声をかけて、道をたずね、そこへ偽警官が来て、偽被疑者を職務質問。不審な物が出てくるので、観光客も荷物をチェックすると言って、その間に現金を抜き取る手口。私服です)。この場合、警察署に行くことを強く主張すると、退散します。

Posted by: Feri | September 09, 2015 14:57

Feriさん、ご丁寧なお返事ありがとうございますm(_ _)m

今日外務省から欧州への渡航注意が出て、かなり不安になっていたところです。女1人旅ということもあって、今回の旅行は見送ろうかとも思っていました。

オーストリア国内は私が思っているよりは落ち着いているようですね。少し安心しました。旅の移動はすべて列車を予定していたのですが、ハンガリー行きはやめて、ウィーンに2日だけ滞在した後にポーランドへ列車移動してからチェコに向かおうかと思っていました。あまり旅慣れている訳でもないので本当はゆっくりオーストリア国内を回りたかったのですが、行きたいところがまさに移民のドイツ行きルートと同じなのではないかと思い、オーストリアはウィーンを少しだけ観光して早々に別の国へ移動しようと思っています。気にしすぎでしょうか?

なるほど、偽装警官なんているんですね。今まで旅した中でそういった詐欺等に遭ったことがないのであまり考えていませんでしてが、この混乱の中では十分にありえることですね。

すごく行きたい反面とても怖くて未だ旅行ルートさえ決められていませんでしたが、有用な情報を沢山頂きありがとうございます。もう少し様子を見て検討します。

Posted by: まりん | September 09, 2015 20:42

まりん様

一時の混乱は落ち着き、とりあえず当局が難民をコントロールできるようになった感じがします。

オーストリアが難民を一時的に受け入れている最大の理由は、ドイツに行く難民がほとんどで、オーストリア内に留まる可能性が極端に少ないためです(難民申請も極端に少ないようです)。

そのため、一時、難民収容施設に入れて、ドイツへ向かわせる‥という感じです。

将来的にはわかりませんが、現時点ではオーストリアは平穏ですし、普通の市内観光をしている分には、難民問題の影すら見えないと思います。

ポーランドやチェコについては、行っていないので明確なことは申し上げられません。

Posted by: Feri | September 09, 2015 21:18

Feriさま、

なるほど、先週よりは少し落ち着いた感じなのでしょうか。来週までに更に落ち着いてくれてるといいのですが…(>_<)

本当は列車でヴァッハウ渓谷〜ザルツブルク〜チェコへ抜けたいと思っているのですが、オーストリア国内の長距離移動がまさに移民がドイツへ向かうルートと同じな気がしています。移動時に遅れやストップ等のトラブルがあるのでは?と思うのですが、移民の移動手段となる列車と通常の列車は別のものでしょうか?基本的なところが分かっていなくてすみません(/ _ ; )

Posted by: まりん | September 09, 2015 23:25

まりん様

ご心配は良くわかります。状況は変化しているので、ご到着になるころには、情勢が変わっている可能性もあります。

昨日、所用があって西駅へ行ってきましたが、駅構内に難民グループが待機していました。ボランティアの支援団体が案内や食料の提供などもしています。また、警察官が警備しているので、静かなものです。

比較的小グループでの移動は、通常の列車を使用する場合もあるようです。

また、昨日の段階では長距離列車は通常通り運行されており、大きな遅れなどは出ていないようです。

ただしRailJetでミュンヘン方面へ向かう列車の中には、混雑しているものもあり、ÖBBが座席指定利用を勧めているケースもあります。これららÖBBのホームページで確認することができます。

Posted by: Feri | September 10, 2015 14:50

Feriさま、

ご丁寧にいろいろとありがとうございますm(__)m周りも、行かない方がいいと言うひとがいる一方、気にしすぎだよと言う人もいて、かなり混乱しています。

ちょうど宿泊予定のゲストハウスが西駅なのですが、そこまで悪い状況ではなさそうですね。安心しました。でも、状況は日々変化していると思うので、出発直前までニュースなどで情報収集した方がよさそうですね。

長距離列車は指定を取るのが良さそうですね。時間に余裕を持って移動するのがよさそうですね。

ご丁寧に何度もご回答頂きありがとうございましたm(__)m不安は取り除き切れていませんが、そちらへ向かう勇気が出ました!本当にありがとうございます(^_^)

Posted by: まりん | September 10, 2015 20:18

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