Augustinplatzにて
今日は「広場にまつわる話題」をお届けしましょう。
ウィーンには、大小、様々な広場(Platz)があり、それぞれに個性あふれる名前が付いています。観光客の皆さまにも有名なのは王宮前のヘルデンプラッツ(Heldenplatz)やマリア・テレジエンプラッツ(Maria-Theresien-Platz)でしょうか。
さて、7区のNeustiftgasseとKellermanngasseが交差する場所にAugustinplatzという小さな広場があります。
小さいながらも、広場の中心には「Der liebe Augustin」(愛しのアウグスティン)のユーモラスな像が、噴水の上に建てられています(この像の正式名称は「Augustinbrunnen」)。
ウィーン子に親しまれている「愛しのアウグスティン」は、17世紀後半に実在した人物で、名前はMarks Augustinと言うそうですが、Dudelsack(バグパイプ)を弾いていた流しの歌手だったそうです。
バグパイプと言えば、スコットランドを連想しがちですが、当時はウィーンでも、このバグパイプを使って演奏する流しの歌手がいたようで、アウグスティンは酒場に行っては演奏していたそうです。こちらでは、酒場で奏者に酒をおごることも多いので、結果として、アウグスティンは「伝説の酒豪」になってしまったとか。
彼の名前が一躍有名になったのは、ペストがウィーンでも猛威を振るっていた1697年、泥酔状態だったアウグスティンは、街頭で泥酔して寝てしまったそうです(「こうもり」のファルケ博士みたいですね)。
それを見た死体運搬人が、“アウグスティンもついにペストにやられてしまったのか”と誤解し、荷車に乗せて遺体を隔離する穴に放り込まれてしまいました。普通だったら、そのまま絶命していたのでしょうが、持っていたバグパイプを演奏して助けを呼び、無事、救出されました。
しかし、一晩、たくさんの死体と一緒に居たにもかかわらず、アウグスティンはペストに感染することはなく、このニュースは、ウィーン中を駆け巡ります。それ以来、「Der liebe Augustin」(愛しのアウグスティン)としてウィーン子に親しまれるようになったというお話。メロディを聴けば、皆さまもご存じの有名な歌にもなっていますね。
7区のアウグスティンの像ですが、立派な噴水の上に立っています。何と言っても楽しいのがアウグスティンのポーズ。写真をご覧になればおわかりのようにバグパイプをかかえてにっこり。なにしろバグパイプは、彼にとって「命の恩人」ですから‥
そして、ユニークなのは台座です。水の出口ですが、周囲には「ブドウの房」の文様。そう、ワインが流れているのです(ウソ、普通の水です)。
これは「伝説の酒豪」に敬意を表したデザインなのでしょうね。Hans Scherpeという彫刻家の手による作品です。
この像は1908年に建立されたようですが、建立当初、アウグスティンの像は青銅製だったそうです。しかし、第二次世界大戦中に供出されて台座だけに‥戦後、1952年になって関係者の尽力で再建されましたが、その際、現在の石像になりました。
余談ですが、Augustinplatzには、1928年のフランツ・シューベルト没後100年の際に建立された、記念石碑もあります。
ちなみに「愛しのアウグスティン」さんは、ウィーンの色々なところに出没しています。最も有名なのは、観光客の皆さまも良く訪れるGriechenbeislにいる「愛しのアウグスティン」さんではないでしょうか。
しかし、Augustinplatzで、鳩と戯れている「愛しのアウグスティン」さんも、ウィーン情緒があってなかなか良いですよ。13Aのバスが走っているので、行くのは簡単です。
さて、お酒が大好きなFeriも、ウィーン市内で泥酔して寝てしまいアウグスティンさんみたいにならないようにしないと‥
最後に有名な歌「Oh du lieber Augustin」をYouTubeでお聴きください。
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Comments
素敵な楽しい話題、有り難うございます🎵
wienの街中に色々な像が沢山ありますよね。
《由来》を知って眺めるのは楽しいものです。
『愛しのアウグスティン』確かにメロディは知っています🎵
日本では何という題名だったか思い出せずにいますが😅
Posted by: norinecchi | October 17, 2015 06:39
norinecchiさま
コメント、ありがとうございます。
ところで、こちらでは長期失業者、ホームレスの人たちが立ち上げた「Augustin」という隔週刊の雑誌が、発刊20周年を迎えたそうです。
Posted by: Feri | October 17, 2015 20:34
《長期失業者、ホームレスの人たちが立ち上げた雑誌》ですか⁉
そう言えば日本でも渋谷、池袋、新宿等、街中でそれらしい雑誌を手売りしているのを目にした事があります。
それにしても発刊20周年とは。
その間、社会はどう変化し、雑誌の内容はどの様な物なのか、
気になります。
その雑誌のタイトルを《Augustin》というのも興味深いです。
Posted by: norinecchi | October 18, 2015 09:44