今年も「Wiener Sicherheitsfest」が開催されました
10月最後の話題は、「先週末に開催された行事を」ご紹介しましょう。
ナショナルデーに合わせてウィーンでは様々な行事が行われましたが、25日と26日にはRathausplatzでDie Helfer Wiens(民間防衛組織)が音頭をとって、毎年恒例の「Wiener Sicherheitsfest」が開催されました。
この行事については、2009年10月にもお伝えしましたが、Feriも、しばらくぶりに会場に足を運んだので、少し遅くなりましたが、その様子をご紹介しましょう。
「Wiener Sicherheitsfest」は、住民の安全を守る組織が一堂に会して、日ごろの活動を多角的に紹介すると同時に、民間防衛に対する意識を高めるイベントです。
日本では馴染みがない民間防衛とは、戦争・核戦争・自然災害などの大規模な被害が生じうる緊急事態が発生した場合、連邦軍や警察・消防だけの能力では、対応できないことがあります。
そのため自己の防衛と、火災などの被害を最小限にとどめるため、民間人による行動が必要になってきます。この活動を民間防衛と呼びます。
もちろん、平時でも自然災害や大規模事故に対しても備えるもので、防災、防犯、政治をも包含した考え方です。
平和なオーストリアでも、このような活動が行われている訳です。実際、10月の第1土曜日には、オーストリア全土で警報サイレンのテストが行われています。
Die Helfer Wiensの主体となっているのは、「K-KREIS」と呼ばれる連合体です。ちなみにKとは、
-Katastropenschutz(市民の保護)
-Katastrophenhilfe(災害救援)
-Kommunikation(コミュニケーション)
-Kompetenz(コンピテンス)
の頭文字をとったものです。
ちなみに左の写真はDie Helfer Wiensが出展したPRコーナーです。
「K-KREIS」は今年、誕生25周年を迎えた組織です。当初は民間防衛組織と救急関連組織だけで編成されていましたが、その後、消防、警察、連邦軍など、住民の安全を守る機関が加わりました。
さらに、ボランティアによる救援機関や、住民の安全を守る専門機関以外でも、ORFやWiener Linien、Wien Leuchtet、Wiener Wasser、清掃局といった住民の生活に密着した組織もパートナーとして加わり、現在は38の組織が参加し、16000名の職員が活躍しています。
「K-KREIS」は、所属している組織間の連携を強化して、災害時などにスムーズに活動できるようにしている他、民間防衛という観点で、住民への啓蒙活動も積極的に行っています。
つまり、緊急時に専門組織に頼るだけでなく、自主的に自分たちの安全を確保するという考え方に則っているようです。
当日は、Rathausplatz中央のデモンストレーションエリアで、各組織の展示が目白押し。警察音楽隊の演奏、消防活動や救助活動のデモンストレーション、救助犬のデモンストレーション、心臓マッサージとAEDの使い方などが時間帯を区切って行われました。
やはり人気があったのは、日頃近くで見ることのできないドクターヘリ、消防車両、警察車両などです。
今回はÖAMTCが運行するドクターヘリEC-135が、Seestadt近くにあるウィーン基地(Christophorus 9)から会場へ直接飛来しました。
ウィーン市内では、事故発生時、ドクターヘリが平気で市内に着陸するので珍しいことではありませんが、やはり人気を集めていました。
ちなみにオーストリアでは、ドクターヘリは救助要請から15分で現場に到着できるように、基地が配置されています。Christophorus 9からは、Eisenstadt、Wiener Neustadtなどが15分エリアです。
会場で配布されていた資料によると2014年はニーダーエスターライヒ州、ブルゲンラント州、ウィーンに合計1796回出動しているそうです。
消防署まつりと同じく、消防は、はしご車2台を使い空中散歩のサービスを実施しており、長い列ができていました。
警察の方は、パトロールカーやオートバイの他に水上部隊のボート、機動隊の装備、装甲車、放水警備車などが展示されていました。
こちらは救急と消防が分離されており、救急は赤十字(Rotes Kreuz)をはじめとする、複数の団体が寄付金などを原資に運営しています。
そこで、このような場で、活動を積極的に紹介して、寄付を募る必要があります。各団体共に、工夫をこらした展示を行っていました。写真のようなゼグウェイを使った救急隊員もデモンストレーションも見かけました。
なお、この行事ですが、Rathausplatzでの開催は、今年が最後になるという話を耳にしました。会場を変えて実施するのか、行事そのものが25周年という節目を機に中止するのかはわかりませんが、意義のあるFestだったと思います。
ちなみに、オーストリアで緊急の場合、
-消防(Feuerwehr):122
-警察(Polizei):133
-救急(Rettung):144
へお電話をどうぞ。
このほか、EU統一の緊急電話番号112でも大丈夫です。
Heldenplatzで行われていた連邦軍の装備展示と重なっていたため、両方を見物している皆さんが多かったですね。
ただ、オーストリアでは連邦軍の基地公開は基本的に行われていないため、各種装備を見る機会は少なく、Heldenplatzの方が人気は高かったような気がします。
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