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November 18, 2015

「Die Csárdásfürstin」初演100周年に寄せて

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最近、仕事が多忙でオペレッタを観にゆくゆとりがありません。という訳で、今日は鑑賞記ではない「オペレッタの話題」をお届けしましょう。

昨日のブログでもご紹介したように、11月17日は、1915年にウィーンのヨハン・シュトラウス劇場でカールマンの傑作オペレッタ「Die Csárdásfürstin」が初演されました。2015年は初演100周年に当たることから、数日前、ORFのラジオでは、盛んに「Die Csárdásfürstin」の楽曲を流していました。

ところで、初演が行われたヨハン・シュトラウス劇場(Johann Strauß-Theater)は、1908年、ウィーンの4区Favoritenstraße 8に建設されたオペレッタ劇場です。1931年以降、映画館などに模様替えをしながら1960年まで存続していたようです。現在、劇場はなく、跡地に建てられた建物には記念のプレートが取り付けられています。

本来、フォルクスオーパーでも、2015年11月17日に「Die Csárdásfürstin」の再演初日を迎えたかったと思いますが、キャスティングの関係で断念したと思われます。もっとも11月17日に再演されたら、Feriはお手上げでしたが‥

「Die Csárdásfürstin」は、典型的な「身分違いの恋い」を描いた作品ですが、第一次世界大戦が勃発しており、戦争の影も作品に影響を与えています。とくにGraz歌劇場版では、演出にも第一次世界大戦の戦場が織り込まれていましたね。

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今ではエメリッヒ・カールマンは日本でも広く知られるようになりましたが、長く、日本では無名の作曲家でした。そのカールマンの音楽を日本に知らしめたのは、ベテランのオペレッタファンはご存じでしょうが、1985年のウィーンフォルクスオーパー来日公演です。

1985年の「Die Csárdásfürstin」は、素晴らしい出演者に恵まれ、「伝説の公演」とも呼ばれています。ただ、以前にもブログでご紹介しましたが、この頃、Feriはクラシック音楽に興味はもっていたものの、オペレッタには関心がなかったので、観に行っていません。

なお、1985年4月6日、東京文化会館でのライブが、日本コロムビアからCDが発売されている点も嬉しいところです。ちなみに同公演のキャストは、以下のとおりでした。

-指揮:ルドルフ・ビーブルさん
-シルヴァ:ミレナ・ルディフェリアさん
-エドウィン:フランツ・ヴェヒターさん
-アナスタシア:エリーザベト・カーレスさん
-ボニ:ジャック・ポッペルさん
-フェリ・バチ:シャーンドル・ネメットさん
-オイゲン:ペーター・ドラホッシュさん
-レオポルト・マリア侯爵:ルドルフ・ヴァッサーロフさん
-伯爵夫人アンヒルデ:ソニア・モットル=プレーゲルさん
-マックス:ヨゼフ・フォルトストナーさん

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現在、フォルクスオーパーで上演されている「Die Csárdásfürstin」は、1982/83シーズンにプルミエが行われたRobert Herzlさんの演出によるものが基本となっています。

その後、2010/11シーズンに若干、演出に手が加えられ、二幕と三幕の内容が変わりましたが、上演回数は1982/83シーズンから継続されており、現在、300回を怖えいます。

若干手を加えているとは言え、基本的な演出や舞台装置を変えることなく、四半世紀も上演している希有なオペレッタと言えるでしょう。

2016年5月の日本公演で上演される関係で、2015年12月から2016年1月まで5公演上演されますが、これはテスト公演という位置づけでしょう。

当ブログでもご紹介しているように日本公演ではシルヴァにAndrea Rostさんが起用されるのが、目玉とも言えます。ただ、こちらでは、Andrea Rostさん12月16日のWiederaufnahme(再演初日)だけ出演するようです。正にテスト公演ですね。

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Andrea RostさんはFeriも好きなオペラ歌手で、「リゴレット」のジルダなどにはピッタリの歌手だと思います。今回、シルヴァに抜擢されたのもハンガリーのご出身という背景もあると思います。

ただ、Feriはオペレッタに出演しているAndrea Rostさんを観たことがありません。オペラとオペレッタは全く異なる舞台芸術なので、オペラで高い実績を上げているからといって、オペレッタでも役にぴったりとはまるとは限りません。とにかく実際に観てみないと何とも言えません。

それ以外のメンバーも2013/14シーズンとは一新されています。ちなみに、現在、12月16日の再演初日に予定されているキャストは、以下のとおりです。

-レオポルト・マリア侯爵:Wolfgang Hübschさん
-アンヒルデ:Regula Rosinさん
-エドウィン: Szabolcs Bricknerさん
-アナスタシア: Beate Ritterさん
―オイゲン:Karl-Michael Ebnerさん
-ボニ:Marco Di Sapiaさん
-フェリ・バチ:Axel Herrigさん
-シルヴァ:Andrea Rostさん
-シギ:Boris Ederさん

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さて、演出にどのような工夫が加えられているか、新しいキャストはどうか‥興味は尽きません。

「Die Csárdásfürstin」は寺崎裕則氏が、フォルクスオーパーが日本で初演した1985年に広めた「チャールダーシュの女王」という邦題が普及しています。なお、英語だと楽譜などにも「The Gipsy Princess」と書かれていますが、正直、何となくイメージが違いますね。

ところで、「Die Csárdásfürstin」を直訳すると「チャールダーシュ侯爵夫人」となります。

舞台をご覧になったかたはおわかりのように、実際に「Csárdásfürstin」という名前が出てくるのは、二幕のお芝居の場面です。

ウィーンのリッペルト公爵邸で行われているエドウィンとアナスタシアの婚約記念パーティで、公爵の友人ピリング元大使がボニ夫人を見て“最近、ニューヨークで見た歌姫にそっくりだ”と驚きます。

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そして、“その歌姫はハンガリー貴族の妻だったが、別れてしまし、それ以降は「チャールダーシュ侯爵夫人」と言われるようになったらしい‥”皮肉を込めてレオポルト・マリアやアンヒルデに説明します。これがタイトル名になっている訳です。

“「チャールダーシュの女王」という邦題だと、シルヴァは、ハンガリーを代表する歌姫ではないにも関わらず、チャールダーシュの名歌手と誤解されるのではないか‥”という疑問を持っている方もいらっしゃるようです。確かに、今のような情報化社会になると、色々な面で詳しい方がいらっしゃるので、当然の指摘だと思います。

Feriは、寺崎裕則氏と面識はないので、どういった意図があって「チャールダーシュの女王」という邦題をつけたのかは想像の域を出ませんが、オリジナルの和訳だと、お客さまは、二幕のお芝居が理解できないと、意味が理解できません。

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しかも、当時は今のように「Die Csárdásfürstin」というオペレッタ作品が、日本人音楽ファンに理解されていないという時代でした。

そこで、あえて「チャールダーシュの女王」という邦題にして、「ブダペストの地元ファンに愛される歌姫」というシルヴァのイメージを伝えたかったのではないかと思います。このあたり、邦題の付け方は難しいものがあります。

なお、こちらで販売されているプログラムに掲載されている「あらすじ」についても、現在はオリジナルのドイツ語版を、極力忠実にトレースする方針だそうです。そのため変な表現になっているところもあるのですが、意訳にしてしまうと、ドイツ語が堪能なファンから、お小言をいただくことがあるそうです。


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