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December 18, 2015

フォルクスオーパー「Die Csárdásfürstin(チャールダーシュの女王)」再演

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全国のオペレッタファンの皆さま、お待たせしました。今日はフォルクスオーパー「Die Csárdásfürstin」再演初日レポートです。

2016年5月のフォルクスオーパー来日公演で、最初に上演される「Die Csárdásfürstin」。通常、オペレッタの場合、来日公演のために有名な歌手を客演で引っ張ってくることが少ないフォルクスオーパーですが、今回の隠し球は、皆さまもご存じのようにSylva Varescu(シルヴァ)に起用されたAndrea Rostさん。

12月16日、「白馬亭にて」と入れ替わりに「Die Csárdásfürstin」の再演が始まりました。

ただ、日本公演に向けたテストという位置づけであるため、2015年12月と2016年1月の2ヵ月間で、公演数はわずか5回です。ちなみに、12月16日は通算309回目の公演でした。

現地で客演歌手を交えた本番を行わずに、いきなり日本公演を行ってしまう歌劇場が多い中、フォルクスオーパーは良心的だと思います。

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また、こちらのオペレッタファンにも、Andrea Rostさんのシルヴァを見せるというのも粋な計らい。

今回は、演出が若干改定されましたが、“日本公演で盛り上がること間違いなし”の展開に改められました。

RobertMeyerさんに成り代わって、是非、足を運んでください。楽しい一時を過ごすことができると思います。

指揮は、おなじみRudolf Biblさんなので、指揮台に譜面はないのかと思ったのですが、今回は、曲が一部カットされた関係で曲目順と楽譜が置いてありました。珍しいですね。

さて、再演初日の主なキャストは、以下のとおりです。

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-Leopold Maria(レオポルト・マリア公爵):Wolfgang Hübschさん
-Anhilte(アンヒルデ):Regula Rosinさん
-Edwin Ronald(エドウィン):Szabolcs Bricknerさん
-Anastasia(アナスタシア):Beate Ritterさん
-Eugen(オイゲン):Karl-Michael Ebnerさん
-Boni(ボニ):Marco Di Sapiaさん
―Feri Bacsi(フェリ・バチ):Kurt Schreibmayerさん
-Sylva Varescu(シルヴァ):Andrea Rostさん
-Siggi Gross(シギ):Boris Ederさん
-Sándor von Kiss, Notar(公証人):Daniel Ohlenschlägerさん

ちなみに、Andrea RostさんはDebüt der Volksoper(フォルクスオーパー初出演)、Wolfgang Hübschさん、Regula Rosinさん、Kurt Schreibmayerさん以外はRollendebüt an der Volksoper(初担当)というフレッシュな(というか不安な)キャスティングです。

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なお、当初、フェリ・バチはAxel Herrigさんが予定されていたのですが、直前になってKurt Schreibmayerさんに交代。これはRobert Meyerさんからのクリスマスプレゼントと言っても良いでしょう(笑)。Sándor Némethさんがご出演されなくなってから、現時点では最高のフェリ・バチですからね。

まず、演奏ですが、こちらは申し分なし。カールマンの躍動感溢れるメロディを見事に再現していました。これだけで、まずはご機嫌です。

舞台装置や衣装については、従来と全く同じで変更はありません。一幕、オルフェウム劇場の場面については、従来と全く同じ演出でした。

エドウィンがウィーンに連れ戻されることになり、8週間のうちにシルヴァと結婚するという結婚誓約書を公証人にまとめさせ、彼女のアメリカ行きを断念させるまでの展開は全く同じです。

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2人の婚約を祝うパーティで演奏される、メンデルスゾーンの結婚行進曲(夏の夜の夢)と「ハンガリー万歳」のメドレーも従来どおり。この演出は良いですよね。ハンガリー色が出ていて。

ボニがオイゲンから手に入れたエドウィンとアナスタシアの婚約パーティの通知をシルヴァに見せて、裏切られたことを知らせ、シルヴァが落胆し、再度、アメリカ行きを決意するおなじみの展開。

一人、劇場に残ったフェリ・バチが、シャンペングラスを床にたたきつけて一幕が終わります。ここまで1時間です。

休憩を挟んで、二幕のリッペルト侯爵邸に。意外に二幕も大きな演出の変更はありません。ただ、二幕では、楽曲が一部省略されているらしいのですが、Feriは気づきませんでした。

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二幕はバレエ団による踊りも省略されておらず、従来と同じで展開です。ちなみに二幕の上演時間は50分でした。

そして暗転でグランドホテルの三幕へ。暗転の途中、メドレーが演奏されるのも従来と同じです。舞台装置も吊し物を活用したものですが、演出が大幅に改編されています。

2010/11シーズンの演出改定時、冒頭、男女のソリストによるバレエが加わったのですが、今回、全面的にカット。当然、この楽曲も省略です。

ホテルのバーが閉店する前のショーといった位置づけの踊りですが、後から追加したため、あまり必然性が感じられなかったので、これはグッドジョブ。

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そして、この時間を使って、お客さまお待ちかねの「ヤイ、ママン」が大幅に充実したノですよ。皆さん。

オリジナルのドイツ語版の後、リフレイン大会です。日本公演を踏まえた英語・日本語版、さらにハンガリー版。これで終わりかと思ったのですが、最後に「演奏と踊りだけ」のリフレインが一発。

完全に以前のバージョンに戻りました。シルヴァ、ボニ、フェリ・バチの激しい踊りも加わった客席からはブラヴァの嵐。興奮のるつぼ。隣のオーストリア人のご夫婦も、リフレインから盛んに手拍子をしていた。Feriは、これを待っていたのですよ。

その後の電話を使ったお芝居は従来と同じ。三幕は「ヤイ、ママン」のリフレインを充実させたこともあり、35分と従来よりも若干長くなっていました。

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しかし、「ヤイ、ママン」で盛り上がったため、後半のお芝居が冗長な感じではなくなりました。

さて、気になる出演者の仕上がりですが、Sylva Varescu(シルヴァ)のAndrea Rostさんは、冒頭から飛ばしてくるかと思ったのですが、意外と抑え気味でスタート。

Andrea Rostさんはオペラの時、聴かせるアリアが魅力なのですが、今回は全体的に押さえている感じで、彼女の良さが十分に出ている感じがしませんでした。

そして、最大のウィークポイントは、小柄(背が低い)こと。今回、Boni(ボニ)のMarco Di Sapiaさん、Feri Bacsi(フェリ・バチ)のKurt Schreibmayerさんともに背が高いため、間に入ると、少女のように見えてしまうのです。

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例えば悪くて申し訳ないのですが、「ナニワの演歌歌手」みたいな感じで、シルヴァの雰囲気には合わない感じがしました。

実は、Feriが暗に期待していたのは、オペラで鍛えた圧倒的な歌唱力で勝負してくれるのではないか‥ということです。しかし、オペレッタでは、慣れないお芝居の部分が多いため、歌に全力投球できないのかもしれません。

Ulrike Steinskyさんなどの歌役者さんは、歌とお芝居、踊りのバランスをとることに長けていますが、オペラを中心に歌っている歌手にとっては厳しいところです。とは言っても「ヤイ、ママン」の場面では、楽しそうに演じていましたね。

Feriは、Andrea Rostさんは好きな歌手の一人で、「リゴレット」のジルダはピッタリだっただけに、ちょっと残念。

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Boni(ボニ)のMarco Di Sapiaさんは、背が高いので存在感がある上に、歌も美味い方です。

ただ、Feriは、今まで彼のスプレッド役は見たことがありません。一生懸命にやっている点は評価できたのですが、スプレッドという観点でのお芝居や身のこなしには、ちょっと無理があるような気がします。

一幕のボニがお色気たっぷりの女性ダンサーと一緒に歌って踊る「歌い手の若い娘たちは‥」が入りますが、ここはボニのダンスが見どころ。かなりがんばっていましたが、前半は足の上がり方が‥なお、Marco Di Sapiaさんは、青年貴族らしい「はつらつさ」が弱いのも難点。

今回、最も素晴らしかったのは、Feri Bacsi(フェリ・バチ)のKurt Schreibmayerさん。もちろん、往年のSándor Némethさんと比べてしまうと、正直、今ひとつなのですが、役をよく自分のものにしており、お芝居、歌、踊りとも申し分ありません。

恐らく現在のフォルクスオーパーでフェリ・バチをやったら最高の歌役者さんでしょう。ご本人も、今回は、かなり気合いを入れてやっている姿勢が伝わってきました。

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特に素晴らしかったのは「ヤイ、ママン」の部分。2人をリードして、自ら派手な踊りを披露していました。特にシルヴァの手を、自分の首にかけて振り回す場面が2回もあったのは、びっくり仰天。

この時だけは、小柄のAndrea Rostさんの良さが活きました。それにしてもKurt Schreibmayerさんは、背が高いので、踊りが絵になります。

Edwin Ronald(エドウィン)のSzabolcs Bricknerさんは初起用ですが、まだ役がこなれていない感じ。

歌はまずまずの仕上がりでしたが、二幕で見せる優柔不断な感じが弱く、お芝居の部分が発展途上という感じ。さらに、準主役としてオペレッタ歌手に不可欠な華が弱いのが難点でしょうか。

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Anastasia(アナスタシア)のBeate Ritterさんは、いつもながらそつなくまとめていました。オペレッタにも多数出演しているので、歌、お芝居とも合格点ですが、清楚な雰囲気が弱いような気が‥ これは好みの問題ですが。

Siggi Gross(シギ)のBoris Ederさんも初起用組ですが、こちらはお芝居中心なので、ご本人の持ち味全開でした。

特に地声が大きいので、一幕、劇場でのシルヴァ紹介などは見事でしたね。ただ、まじめな雰囲気が強い人なので、Nicolaus Haggさんのように「金に貪欲な人物」という怪しい雰囲気は弱い感じでしたね。

Leopold Maria(レオポルト・マリア公爵)のWolfgang Hübschさん、Anhilte(アンヒルデ)のRegula Rosinさんは、ベテランらしい演技で舞台を締めていました。ただ、個人的にはレオポルト・マリアはPeter Matićさんの方が好きです。

恐らく、日本公演を視野に入れて演出を元に戻したと思います。来日公演最初の演目であるため、この評価が「こうもり」、「メリーウィドウ」にもつながると判断し、三幕を盛り上がるように修正したのでしょう。

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特に手拍子を入れるのが好きな日本人のお客さまを考えると、「ヤイ、ママン」の充実はグッドジョブ。

当日は、劇場関係者が多数、専用Logenで見守っていたのが印象的です。また、検証用なのか劇場でビデオ撮影と録音をしていました。

なお、フォルクスオーパーの場合、初演後に手を加えるケースもあるので、日本公演までに若干、修正される可能性もあるかもしれません。

Feriは、お気に入りの作品である上に、作品に対する思い入れも強いので、出演者に対して厳しめのコメントになっていますが、「完全自腹レポート」なので、ご容赦ください。

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総じて、今回の来日公演の三演目の中では、本作品は演出そのものが良いので、本当に楽しめると思います。実際、お客さまの反応も上々でした。

ただ、現時点では来日公演では、Andrea RostさんとKurt Schreibmayerさんの組み合わせは予定されていません。

まぁ、直前で出演者交代という話もあるかもしれませんが、予定通りだと、再演初日だけのスペシャルということになってしまいます。この点が、唯一残念なところかもしれません。

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