
昨日、ウィーンは気温が上がり春を思わせる陽気でした。2月に入ると寒の戻りがあるとは思いますが‥
さて、今日は「産業遺産の動態保存」の話題をお届けしましょう。
1月27日、日本では鹿児島県の鹿屋で、旧日本海軍の戦闘機零戦52型が試験飛行をしたようですね。
Feriも、その昔、アメリカから日本に来た零戦のフライトを見物したことがあります。Feriが見たのは1995年で、場所は茨城県の龍ケ崎飛行場でした。レッドバロン社が主催によるショーだったと思います。
今回、「戦後初めて、零戦が日本の空をを飛ぶ」といった報道もあったので、1995年当時の写真を引っ張り出してみました。ちなみに、この機体は、今回、試験飛行をしたものとは別で、その後、アメリカへ戻っており、現在も動態保存されているそうです。
今回と異なり、アメリカの保存団体が保有している零戦を日本に招へいして、エアショーを行った訳ですが、日本では、この手のビンテージものを飛ばすのは、非常に大変だという話を聞いたことがあります。
というのは、産業遺産の動態保存が盛んな欧米では、動態保存の機材については、通常の輸送(営業)に使う機材とは別の安全基準が適用されるようです。
航空機を飛ばすためには耐空証明が必要ですが、アメリカの場合、ビンテージものを飛ばすことができるような基準が用意されているそうです。

詳しい友人から教えてもらったのですが、アメリカにはSpecial Airworthiness Certificateというカテゴリーがあります。さらに、農業機や消防機に適用するRestrictedや、実験機、試作機、エアレーサーなどに適用するExperimentalなど細分化されているそうです。
そして、エアショーやエアレースで飛んでいるビンテージものは、Experimental(試験・実験機)というカテゴリーに該当します。つまり、アメリカでは特別な耐空証明を受けて、零戦をはじめとするビンテージものが飛んでいるようです。
日本の場合、航空法の第十一条に 「航空機は、有効な耐空証明を受けているものでなければ、航空の用に供してはならない。」という条文があるため、日本で零戦などのビンテージものを民間航空機として正式に登録をするのは難しいようです。今回の零戦も、アメリカで登録された機体です。
なお、日本でも試験飛行の場合は、航空法第十一条の但し書き、「但し、試験飛行等を行うため国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。」という附則があるため、これを適用したものと思われます。一応、アメリカでは認可を受けている機体ですから、この附則を使って試験飛行にこぎ着けたのでしょう。
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