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January 29, 2016

産業遺産の動態保存 雑感

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昨日、ウィーンは気温が上がり春を思わせる陽気でした。2月に入ると寒の戻りがあるとは思いますが‥

さて、今日は「産業遺産の動態保存」の話題をお届けしましょう。

1月27日、日本では鹿児島県の鹿屋で、旧日本海軍の戦闘機零戦52型が試験飛行をしたようですね。

Feriも、その昔、アメリカから日本に来た零戦のフライトを見物したことがあります。Feriが見たのは1995年で、場所は茨城県の龍ケ崎飛行場でした。レッドバロン社が主催によるショーだったと思います。

今回、「戦後初めて、零戦が日本の空をを飛ぶ」といった報道もあったので、1995年当時の写真を引っ張り出してみました。ちなみに、この機体は、今回、試験飛行をしたものとは別で、その後、アメリカへ戻っており、現在も動態保存されているそうです。

今回と異なり、アメリカの保存団体が保有している零戦を日本に招へいして、エアショーを行った訳ですが、日本では、この手のビンテージものを飛ばすのは、非常に大変だという話を聞いたことがあります。

というのは、産業遺産の動態保存が盛んな欧米では、動態保存の機材については、通常の輸送(営業)に使う機材とは別の安全基準が適用されるようです。

航空機を飛ばすためには耐空証明が必要ですが、アメリカの場合、ビンテージものを飛ばすことができるような基準が用意されているそうです。

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詳しい友人から教えてもらったのですが、アメリカにはSpecial Airworthiness Certificateというカテゴリーがあります。さらに、農業機や消防機に適用するRestrictedや、実験機、試作機、エアレーサーなどに適用するExperimentalなど細分化されているそうです。

そして、エアショーやエアレースで飛んでいるビンテージものは、Experimental(試験・実験機)というカテゴリーに該当します。つまり、アメリカでは特別な耐空証明を受けて、零戦をはじめとするビンテージものが飛んでいるようです。

日本の場合、航空法の第十一条に 「航空機は、有効な耐空証明を受けているものでなければ、航空の用に供してはならない。」という条文があるため、日本で零戦などのビンテージものを民間航空機として正式に登録をするのは難しいようです。今回の零戦も、アメリカで登録された機体です。

なお、日本でも試験飛行の場合は、航空法第十一条の但し書き、「但し、試験飛行等を行うため国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。」という附則があるため、これを適用したものと思われます。一応、アメリカでは認可を受けている機体ですから、この附則を使って試験飛行にこぎ着けたのでしょう。

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零戦のオーナーさんをはじめ、日本のファンは、日本の民間機登録番号(いわゆるJA)を付けて、恒常的に動態保存をしたいと考えていると思いますが、日本にはアメリカのSpecial Airworthiness Certificateに該当する基準がないため、かなりハードルが高いそうです。

また、アメリカで動態復帰した「疾風」という戦闘機を日本人の方が購入したものの、その後、結局、静態保存にせざるを得なかったという暗い過去があります(日本に有償で譲渡したアメリカ人が、飛ばなくなったことに対して激怒したという噂もあります)。

実は、これは何も航空機に限ったことではなく、鉄道などでも同様です。現在、日本でも蒸気機関車の動態保存が各地で行われていますが、保安基準は通常の営業用車両と同じ基準が適用されています。

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そのため、新型保安装置(デジタルATSなど)を搭載できない機関車などは、結果として、動態保存から外れるケースが出てきました。

オーストリアの基準について、Feriは詳しく調べたことはありませんが、航空機の場合、例のRedBullが多数のビンテージものを動態保存していることを考えると、アメリカと同じような別基準が存在していると思われます。

鉄道に関しても、保存鉄道や動態保存機に関しては、通常の営業路線や車両とは別の基準を適用しているのでしょう。

そうしなければ民間団体が、保存鉄道(博物館鉄道を含む)を運営することは、困難だと思います。

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もちろん、多くの人に見てもらう、乗ってもらうことなどを考えれば、安全性を考慮することは大切ですが、総てを通常営業のものと同一にする必要があるのかどうか‥このあたり、日本独特の事情がありそうな気もします。

しかし、2014年9月、ドイツで体験した01型蒸気機関車大集合では、国境を越えてオーストリア、スイス、オランダからも動態保存されている機関車が集まってきました。

しかも、ドイツ鉄道の本線を所有する保存団体の機関士が運転するのですから、日本では考えられません。

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最後の2枚は、Feriが毎夏、訪れるLungauにあるClub760というNPOを運営する保存鉄道です。写真のように、蒸気機関車が引く列車の運転だけではなく、自分たちの手で、線路や設備の補修も行っています。

そして、昨年、ウィーンの路面電車150周年記念のパレードも、日本では、それこそ各種規制があって実現しなかったことでしょう。

産業立国の日本で、産業遺産の動態保存が難しいのは、残念でなりません。

国には抜本的な産業遺産の動態保存に向けた対応を求めたいところですが、昨今では責任を回避する風潮が強くなっているので、難しいかもしれませんね。

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