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January 25, 2016

新しい局面を迎えた難民問題

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今日は「難民問題」について、少しご紹介したいと思います。

ご存じのように2015年12月31日、ドイツで大規模に発生した性犯罪や強盗事件がきっかけとなり、ヨーロッパでもアフリカや中東からの難民受け入れに対して、国民の考えに変化が生じています。

とくにドイツの事件は、詳細な報道が遅かったこともあり、余計に国民に不安を与えてしまったようです。最近になって、12月31日には、ドイツ全16州のうち、12州で事件は発生していることが発表されました。

発生件数が最も多かったのは、ケルンのあるノルトライン・ウェストファーレン州で、約1000件の被害届が提出さたようです。また、北部のハンブルク州でも約200件の被害届が出ているという話です。

オーストリアに接するバイエルン州の被害届は27件と比較的少なかったようですが、性犯罪の場合、被害者全員が被害届を出す訳でもないので、実際には、被害はもっと多いのかもしれません。

また、被害者はケルンで発生した事件のように、ほぼ全件で女性だったようです。さすがに、こういった事件が起きると、ドイツに限らず、今まで難民受け入れに好意的だった国でも方針を変更せざるを得なくなると思います。

さて、オーストリアでは、今のところ、難民による大規模な事件は発生していないようですが、先週、オーストリア連邦と州、自治体による「難民政策の見直し」に関する会議が開催されました。

この会議で、オーストリアは、2016年、37000人の難民申請を受け入れるという決定を下しました。さらに、難民申請を受け入れる人数を、2017年は35000人、2018年は30000人、201年は25000人と設定しました。今後、4年間で合計127500人を受け入れるという訳です。

この人数ですが、「難民申請者の数」なので、申請が却下されれば、本国に送還されます。

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この会議では、国境線を強化した上で、難民の所持品チェック、写真・指紋摂取のほか、通訳による身元確認審査などが実施されることも決まりました。

さらに、パスポートを所持していない難民は即、送還するなどの処置も決定したようです。これに加えて、「家族を本国から呼ぶ権利」についても、一定期間のチェックがあるなど、難民審査が大幅に厳しくなります。

早い話が、「難民にとって魅力的で無い国にする」ということです。オーストリアは、当初、難民がドイツやスェーデンなどに向かうための一時滞在だったので、比較的寛容でした。それが、ご紹介する風刺画にもよく現れています。

しかし、ドイツの審査が厳しくなり、オーストリアに難民が滞留する事態が発生していることから、自治体(要するに地元の住民)からの反発が強まっているため、このような決断を下したのだと思います。

また、年明けからは、ドイツから難民が送り返されていることも影響していると思います。

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人道主義を前面に打ち出しているファイマン首相は、従来、難民受け入れの上限を設けないという方針でしたが、世論に負けて、実質的には取り下げたことになります。

ところで37000人という人数ですが、夏までに到達してしまう数字ではないかという見方もあるようです。

ちなみに難民申請の最上限に反対してきたのはオーストリア社会民主党(SPÖ)、緑の党(Die Grünen - Die Grüne Alternative)で、最上限の設定を要求してきたのはオーストリア国民党 (ÖVP)とオーストリア自由党(FPÖ)です。

実際、難民の実態が明らかになってくると、いくら友愛精神が浸透しているオーストリアでも、国民の声を無視する訳にはいかなくなったのだと思います。

なお、他国の動きですが、スウェーデンやデンマークは難民受け入れ制限を行っています。また、マケドニア、ブルガリア、セルビア、スロヴェニアなどが国境を閉鎖する動きを見せています。

今後、難民受け入れの上限を設けないと宣言しているドイツが、どのような動きを見せるかで、難民問題も新しい局面を迎えそうです。

なお、ご質問があった鉄道関連ですが、現時点ではRailJetをはじめとする長距離列車は、通常通り、運行されています。

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