« フォルクスオーパー「Der Kongress Tanzt」(会議は踊る)プルミエレポート(中) | Main | 2月にアイスクリーム屋さんが繁盛! »

February 23, 2016

フォルクスオーパー「Der Kongress Tanzt」(会議は踊る)プルミエレポート(下)

Img_2016_02_9883

22日、ウィーンでは朝から気温が上がり、春を思わせる陽気になりました。お店は季節を先取りするので、イースターの飾りやグッズ販売が増えてきました。

オペレッタ・ファン以外は、「お腹いっぱい」かと思いますが、今日もお付き合いの程を‥

さて、休憩後は三幕から始まります。

○第三幕
三幕もメドレーの前奏曲で始まります。ここでもオーケストラピットがジャッキアップ。演奏終了に合わせて、通常のレベルに戻ります。

三幕のスタートは娯楽委員会の部屋。

Img_2016_02_9982

件の4人が、言い合いをしている場面で始まります。代務大臣は、会議が延びているため、財政破綻の危機に直面し、怒り心頭です。

その後、メッテルニヒの私室へ場面転換。

ペピがやってきて、色々な情報をメッテルニヒに伝えます。それを受けて、メッテルニヒは会議の決着を目指す決意を固め、会議場へ向かう準備をします。

場面は、ホーフブルクのロシア皇帝居室に変わります。

クリステルの娘らしい夢は、ホーフブルクで次第に失望に変わっています。それは、アレクサンドルの立ち居振る舞いが、時々おかしいからです。これは、替え玉ウラルスキーがお相手しているので、当然と言えば当然なのですが‥

Img_2016_02_9991

しかも、全く現れないこともあります。そのため、テーブルの上にはアレクサンドルの写真が飾られています。
そこへ、ペピが現れ、皇帝はクリステルには全く関心が無いことを納得させようとします。しかし、クリステルは納得しません。
クリステルは、ペピから今夜、「踊る会議」の慈善舞踏会があると聞き、行ってみることにするのでした。

Img_2016_02_9995

場面は、ホーフブルクの舞踏会会場に変わります。

この「場」が三幕、前半の見どころになります。

バレエ団が華麗な踊りを披露しています。この慈善舞踏会の目的は、各国代表を会議から遠ざけること。さらに、ロシア皇帝には、会議に絶対、参加させたくないメッテルニヒ。

メッテルニヒはロシア皇帝を次の重要決定から遠ざけるため、策略夫人に策略を授けます。

Img_2016_02_9994

伯爵夫人が、舞踏会に集まった人々に、“ロシア皇帝閣下が慈善目的でご婦人方にキスを売る”と発表するのでした。困ったアレクサンドルは、わずかな時間を使って替え玉ウラルスキーと入れ替わります。

老若淑女が長く並び、替玉のウラルスキーがうんざりと務めるのを、皇帝は奥まった席から眺めて面白がっています(ただし、フォルクスオーパーでは一人二役なので、皇帝の姿はありません)。

Img_2016_02_9997

行列の中にクリステルを見つけた皇帝は、副官にただちに慈善キスのイベントをやめさせ、替玉をひっこさせ、自分がクリステルの前に現れます。

アレクサンドルとクリステルのデュエットが聴きどころです。その後、二人は郊外のホイリゲへ向かうのでした。

Img_2016_02_0004

場面は会議場に変わります。

各国代表は慈善舞踏会に誘われてしまい、会議場にいるのはメッテルニヒ一人。これがメッテルニヒの作戦だったのです。

メッテルニヒは「満場一致で議案は採決」と叫んで、Robert Meyerさんが踊りながらソロで歌います。イスを使いながらのダンスが見どころです。

Img_2016_02_9649

してやったりのメッテルニヒ。

再び、場面は舞踏会の会場へ。

メッテルニヒも舞踏会場へ戻ります。各国の代表を含めた参列者が楽しく踊っている最中、流刑先からナポレオンが脱出し、フランスに帰還したという急報が届きます。ざわめく各国代表。

結局、各国代表とも、急きょ、母国へ帰国することになり、三々五々、舞踏会会場を後にします。

Img_2016_02_0010

場面は、再び郊外のホイリゲへ。

私服に着替えたアレクサンドルとクリステルが、楽しそうに杯を傾けています。

そこへ、副官が、アレクサンドルにナポレオン脱獄の報を届けます。アレクサンドルも直ちに出発することを余儀なくされます。

リステルが“また明日”と言うと、アレクサンドルは“次に会う日を楽しみに”と言って立ち去るのでした。

Img_2016_02_0015

しかし、クリステルは、これが永遠の別れになることを悟ります。

そして、1人になったクリステルは、“これは、ただ一度だけ、再び起こることはない美しすぎる夢‥”(Das gab’s nur einmal, das kommt nicht wieder, das war zu schön, um wahr zu sein!)を情感込めて歌います。

Img_2016_02_0017

このままだと、哀しい幕切れになってしまうのですが、この様子を見ていたホイリゲ歌手がやってきて、明るい調子で「ただ一度だけ」を歌います。

ホイリゲ歌手に元気づけられたクリステルは、二人で手を取りながら、明るい調子で「ただ一度だけ」を歌いながら街へ戻っていくのでした。

Img_2016_02_0020

二人がやってきたのはクリステルが働いていた手袋屋。ところが、今は土産物屋になっています。ウィーン会議に参列した人達が土産物を買い求めています。

この土産物が、ウィーンとは全く関係ないマトリョーシカ。ロシア皇帝アレクサンドルにちなんだお土産という訳です。

再び店頭に立って元気になったクリステル。そこへペピがやってきて、クリステルは、ペピが自分のことを真に愛していることに気づき、ハッピーエンドで幕となります。

Img_2016_02_0022

アレクサンドルとホイリゲで永遠の別れをして、落ち込んだクリステルが、街へ戻って土産物屋で大活躍する場面を見て、こんなに早く気分転換ができるのだろうか‥と思ったのですが、以前、友人から男女の恋愛観について“男性は水彩画、女性は油絵”という話を聞いたことがあります。

まさに、フィナーレは、そんな女性の恋愛観が反映されているような気がしました。

三幕は45分ほどでした。

映画版と一番の違いは、フォルクスオーパー版では娯楽委員会が入ってこと、映画版に入っている「皇帝が出席するはずのオペラ劇場の場面」が省略されていることでしょうか。

Img_2016_02_0028

出演者の仕上がりですが、「会議は踊る」には、様々な人物が登場しますが、実質的な主役はクリステルと言って良いでしょう。

映画ではクリステルに起用されたリリアン・ハーヴェイ(Lilian Harvey.)が、本作品への出演で、一躍、大スターになりましたが、今回、起用されたAnita Götzさんは、雰囲気がよく似ていますね。歌、お芝居、踊りとも、合格水準で、彼女にはピッタリの役だと思います。

Img_2016_02_0003

Anita Götzさんは、「こうもり」のアデーレでも、「良い意味で野心がある女性」を演じるのが上手なのですが、その雰囲気が十分に生かされていました。

クリステルは、彼女の魅力が最大限発揮されている適役と言って良いでしょう。実際、新聞評でも高い評価を得ていました。Feriも正直、オペレッタ歌手の彼女に惚れ直しました。

また、メッテルニヒの秘書ペピのMichael Havlicekさんも、比較的出番の多い役。思いを寄せるクリステルを心配する場面がいじらしいところ。

彼は「チャールダーシュの女王」でボニを演じたブッフォなので、この役は適任かと思います。ボニと同じく、はつらつとした演技が印象的でした。

Img_2016_02_0013

アレクサンドルとウラルスキーという一人二役を演じるBoris Ederさん。皇帝の時と替え玉の時では、演技を変える必要があるので、演技力が問われます。

また、替え玉皇帝に加えて、ウラルスキー本人としても登場するので、事実上、一人三役。その点、Boris Ederさんは、高い演技力があるので、見事に三役を使い分けていました。これは、お見事。クリステルのAnita Götzさんとの息もピッタリ‥という感じでした。

「白馬亭にて」のレオポルトでは、彼のまじめさがマイナス要因になってしまいましたが、アレクサンドルに関しては、ある意味、会議場などでは国の代表としてまじめさが求められますので、プラスに作用している気がしました。

また、クリステルとの「はかない恋」も、決してお遊びではない雰囲気が出ていました。今までFeriが観たBoris Ederさんの役では、「最高でしたね。

Img_2016_02_0035

メッテルニヒのRobert Meyerさんは、いつもどおり。キャラが立っていますから、どの役をやってもMeyerカラー。

今回は策略家らしい雰囲気がよく出ていました。ただ、必ずしもMeyerさんである必要はない役だと思います。でも、ご本人がやりたかった役なのかもしれませんね。

ロシア皇帝副官のビビコフのThomas Sigwaldさんは、いつもながらブッフォらしい演技が光りました。

ビビコフは「微笑みの国」のグスタフに近い性格付けなので、難問にぶつかって頭を悩ましながら、突破口を見つけるといったお芝居が上手なので、Thomas Sigwaldさんには適役です。

「伯爵令嬢マリッツア」のジュパン男爵と異なり、聴かせる歌が少ないのが残念ですが、良い味を出していました。

タリィランドのMarco Di Sapiaさん、ザクセン皇帝アウグストゥスのAxel Herrigさん、
プロイセン特使のBernd Birkhahnさん、ポーランド特使のFranz Suhradaさん、スイス特使のGernot Krannerさん、ウェリントンのWolfgang Gratschmaierといった各国代表は、単独で歌う場面はなく、重唱もしくは、その中でソロパートがあるという展開です。

ベテランが多いため、台詞も含めて、各国のイメージを上手に再現している点も見事でした。ただ、準主役級を引っ張り出してきた関係で、合唱団の出番がなくなったのかもしれませんが‥

Img_2016_02_0034

ホイリゲ歌手のAgnes Palmisanoさんは、出番は少ないものの、ホイリゲにいそうな歌手のイメージが出ていたと思います。

ただ、正直、歌が良くなかったのですが、本当に上手ではないのか、わざとやっているのか不明。本物の19区のホイリゲ関係者という噂‥(あくまでも噂です。真偽の程は不明)。

Komtesse(伯爵夫人)のIldiko Babosさん、財務大臣のNicolaus Haggさん、市長のFritz von Friedlさん、侯爵夫人:Regula Rosinさん、伯爵夫人のRenée Schüttengruberさん、執行官のGeorg Wacksさんは、いずれも出番は少ないのですが、まずまずの仕上がりと言って良いでしょう。

全体的に、現時点では演奏と歌のバランスがとれていない感じもします。どうしても、管楽器や鳴り物が多いので、演奏の音が大きく、歌手とのバランスをとるのが難しいような印象を受けました。試行錯誤の段階といった雰囲気もしますね。

Img_2016_02_0019

最後に余談ですが、今から40年前、Feriが大学生の頃、ドイツ(とくに鉄道)に傾倒している仲間がいました。

余りお金もなかったのに、当時、お客さまのリクエストに応えて色々と演奏してくれる小さなドイツビアホールが都内にあり、ドイツ仲間と一緒に、そのビアホールに行っては、ドイツやオーストリアの曲をリクエストし、盛大に歌ったものです。

なお、リクエストする時には、楽団にビアをおごるのはお約束‥

その時、お気に入りの曲の一つが「ただ一度」。つたないドイツ語で、仲間と歌ったのを昨日のように思い出します。

Img_2016_02_0045

それから40年を経過して、まさかウィーンでオペレッタ「会議は踊る」が上演され、“これは、ただ一度だけ、再び起こることはない美しすぎる夢‥”を聴くことができるとは‥お恥ずかしい話、目頭が熱くなってしまいました。そして、口ずさみたくなるのを、こらえながら舞台を観ていました。

例によってロビーで「会議は踊る」関連のパネル展示をしていますが、如何せん、舞台初演なので、現在の舞台写真の展示が中心。映画版の写真や本物のウィーン会議関連の展示がある程度です。

Img_2016_02_0221

新聞評ですが、Die Presseは「Volksoper: Wiener Gemütlichkeit statt Politik」と題した記事を掲載。最後は„Das muss ein Stück vom Himmel sein: Wien und der Wein.“という洒落た文章で締めくくられていました。

KURILRは「Turbulenter Polit-Schwank: "Der Kongress tanzt"」というタイトル。どちらも好意的な新聞評でした。やはりリステルのAnita Götzさんと、アレクサンドルのBoris Ederさんの評価は高かったですね。

新聞評を見ると、今のEU情勢を反映してか、政治的駆け引きの部分を評価している傾向がありました。Feri個人としては、このお話、政治的なドタバタも面白いのですが、クリステルとアレクサンドルの「はかない恋の行方」に注目していました。

Img_2016_02_0219

キャスティングの関係で、上演回数が比較的少ないですが、テンポも良く、楽しい作品に仕上がっていますので、機会があったら是非、ご覧になることをお勧めしまあす。

「ただ一度だけ」のメロディが耳について離れなくなります。これ、本当。

ところで、フォルクスオーパーのプルミエでは、時々、スポンサーからお土産が提供されることがありますが、今回はありませんでした。

※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります delicious

Br_decobanner_201105_v_02

オペレッタ |

« フォルクスオーパー「Der Kongress Tanzt」(会議は踊る)プルミエレポート(中) | Main | 2月にアイスクリーム屋さんが繁盛! »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« フォルクスオーパー「Der Kongress Tanzt」(会議は踊る)プルミエレポート(中) | Main | 2月にアイスクリーム屋さんが繁盛! »