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February 16, 2016

バーデン歌劇場「Die gold’ne Meisterin」

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今日は「オペレッタの話題」をお届けしましょう。

先日、Steppkeさんがコメント欄で感想をご紹介していただいたEdmund Eysler(エトムント・アイスラー)作曲のオペレッタ「Die gold’ne Meisterin」を、Feriも観てきたので、その様子をご紹介しましょう。

この作品は、1927年9月にアン・ディア・ウィーン劇場で初演されたもので、金細工店を営む未亡人マルガレーテを取り巻くウィンナ・オペレッタです。若き金細工職人と親方夫人(未亡人ですが)との恋なので、オペレッタの定番「身分違いの恋い」がテーマです。

また、恋敵に未亡人の資産を目当てにした男爵が出てくるところが、制作された当時の時代を反映しているような気がします。

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Steppkeさんがブログにコメントを寄せていただいたように、近年、希に見る素晴らしい「古き良きウィーン」を再現したオペレッタに仕上がっていました。

キャスティング、演出、舞台装置など、現在のフォルクスオーパーよりも上手にまとめているような気がします。

時代設定については、オリジナルは16世紀らしいのですが、今回はビーダーマイヤーの頃になっていましたが、違和感はありません。

作曲したエトムント・アイスラーは、ウィーン生まれで、レハール、カールマン、オスカー・シュトラウスなどと並ぶ「白銀時代」の作曲家です。それだけに素晴らしいメロディのワルツが全開な作品です。

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当日の指揮は、Michael Zehetnerさん。主なキャストは以下のとおりです。

-Margarethe(金細工工房の若き未亡人):Elisabeth Flechl,さん
-Contessa Giulietta(イタリアの貴族):Sylvia Rieserさん
-Portschunkula(マルガレーテの家政婦):Renée Schüttengruberさん
-Christian(金細工職人、Goldschmiedegeselle): Reinhard Alessandriさん
-Ritter Fridolin von Gumpendorf:Beppo Binderさん
-Graf Jaromir von Greifenstein:Andreas Sauerzapfさん
-Friedel(金細工見習い):Katrin Fuchsさん
-Bruder Ignatius(修道士):Artur Ortensさん
-Bruder Peregrinus(修道士):Franz Josef Koeppさん
-Bruder Severin(修道士):Walter Schwabさん
-Franz:Franz Födingerさん
-Wenzel:Tobias Reinthallerさん
-Antonio:Hanna Kudweisさん

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本作品は、珍しく全編、ウィーンが舞台となっています。お話をご存じない方も多いと思うので、あらすじに沿って舞台を簡単にご紹介しましょう。

○第一幕 マルガレーテの金細工工房
金細工工房の店内が舞台。左側の商品を受け渡すカウンターがあり、右側はサロンのようになっています。両側の大道具は最後まで使い回しですが、テラスの加工などにより、良い雰囲気を出しています。

マルガレーテは、亡き夫から金細工工房の経営を引き継いでいるMeisterin(親方夫人)です。

大勢のお客さまで賑わうマルガレーテの金細工店。そこへリッター・フリドリンがマルガレーテの再婚相手候補Graf Jaromir von Greifensteinを連れてきます。実は男爵家は財政事情が厳しいようで、マルガレーテとの結婚で、その資金を手に入れたいと考えているのです。

しかし、工房で働いているイタリア帰りの若き金細工職人クリスチャンも、マルガレーテに密かに想いを寄せています。最初から、オペレッタならではの恋を巡る駆け引きが始まります。

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そこへ、皇帝のところからマルガレーテが意気揚々と工房に戻り、皆の大歓迎を受けます。さらにイタリア貴族のコンテッサ・ジュリエッタが、家族のプレゼント用のプレートをオーダーするためにやってきます。

マルガレーテは、クリスチャンの腕を確かめるため、この仕事を任せることにしますが、ジュリエッタはローマで修行していた頃のクリスチャンを知っているのでした。

一方、工房を取り仕切るPortschunkulaは、リッター・フリドリンに想いを寄せています。複数の恋が同時進行することを予感させる全員のダンスシーンで一幕がお開きとなります。ちなみに、この時の組み合わせはマルガレーテと男爵、ジュリエッタとクリスチャン、Portschunkulaとリッター・フンドリン。

なお、プログラムでは、一幕の後半、舞台装置の背景がシュテファンドームに切り替わるようになっています。

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しかし、Feriが観た時には、店の玄関が上がっただけで、シュテファンドームは出てきませんでした。演出を変えたのでしょうかね。

○第二幕 工房の中庭
華やかな一幕とは打って変わったのんびりした「工房の中庭」です。ウィーンの雰囲気を再現した中庭は見事。背景は吊し物のようですが、貧相な感じはしません。

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家政婦のPortschunkulaが中庭で洗濯物を干しています。マルガレーテも中庭にやってきますが、そこへ工房からクリスチャンが来て、男爵との結婚しないように迫ります。しかし耳を貸さないマルガレーテ。

ちょうど、昼食の時間になり、工房から職人たちが中庭にやってきて賑やかな雰囲気に包まれます。仲介役のリッター・フンドリンも加わって、ワルツのメロディに乗って楽しいダンスシーンが繰り広げられます。リフトも入っていて、見どころの一つ。

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そこへ、マルガレーテにプロポーズするため、男爵がやってきます。男爵のプロポーズを妨害しようとするクリスチャン。

マルガレーテがプロポーズを受けそうになる直前、皇帝風の「謎の老人」が突然、中庭に乱入。

ここで、「男爵には隠し子がいる」という爆弾発言を行い、男爵を貶めます。最初は周囲から祝福されていた男爵ですが、この発言で、雰囲気が一転し、冷たい目線に‥ また、マルガレーテも男爵への心が離れてしまいます。

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このタイミングで、謎の老人が仮装を解くと、実はクリスチャンの芝居だったことがわかります。

姑息な手段を使って男爵を貶めたクリスチャンに怒り心頭のマルガレーテ。二幕のフィナーレも見事な合唱が聴きどころです。ここで二幕がお開きとなる。暗転で三幕へ。

暗転の途中、オーケストラによりメドレーが演奏される。その後、幕が開く前にコントラギターの伴奏でFriedelが歌を披露する。ちなみに見習い職人のFriedelはズボン役。

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実は、このコントラギターが三幕を予感させる見事な演出です。

○第三幕 クロスターノイブルクにある修道院ホイリゲのシャニガルテン
一応、オリジナルではStiftskellerとなっていますが、ホイリゲの雰囲気(余談ですが、Feriお気に入りの修道院のホイリゲに雰囲気が似ています)。

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ツボを押さえているのは、シャニガルテンの上にかかるカラフル案裸電球。今でも郊外のホイリゲに行くと、こういった装飾になっています。ウィーン子の心を鷲掴み。

Feriも、ついにホイリゲが本格的な舞台となるオペレッタに出会いました。このコントラギターが、ホイリゲの雰囲気を盛り上げているのは言うまでもありません。

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ちなみに屋号は「Zum Fassl rutsch’n」。街の人達や工房の職人達が三々五々、ホイリゲにやってきます。実は、ホイリゲを仕切る修道士は、恋煩いに的確なアドバイスをすることで知られているのでした。

クリスチャン、男爵、リッター・フンドリン、Portschunkulaなどがやってきて修道士に「恋の悩み」を相談します。

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ここで、面白い仕掛けが‥実は「真実のイス」が用意されていて、ここに座ると修道士の質問に本音を語ってしまうのです。この部分は、お客さまは大受け。

クリスチャンはマルガレーテを愛していること、男爵は資産目当てであること、Portschunkulaはリッター・フンドリンを愛しており結婚したいと思っていることなどが明らかになります。

ちなみに、Portschunkulaは二幕までの家政婦衣装から、真実を告白してから華麗に変身し、メガネを外して魅力的な女性になって登場します。「白馬亭にて」のクレールヒェンのようなイメージですね。

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そう言えばリッター・フンドリンが指輪を修道士に依頼して換金している場面がありました。

一旦、ホイリゲを立ち去った男爵は、身ぐるみ剥がされた惨めな姿で、リッター・フンドリンとともに戻ってきます。どうもトラブルに巻き込まれた予感‥

途中、修道士が「真実のイス」に座ってしまい、爆弾発言をする場面もあり、三幕は爆笑の渦。

最後にマルガレーテが「真実のイス」に座り、実は世間体が気になって男爵を選ぼうとしていたが、本心ではクリスチャンを愛していることを告白して、二組のカップルが誕生してお開きとなります。

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今回、フォルクスオーパーでもおなじみのElisabeth Flechl さんやRenée Schüttengruber さんという実力派オペレッタ歌手を引っ張ってきたため、歌、お芝居、踊りともに満足の行く仕上がりになっていました。

クリスティアンのReinhard Alessandri さんは、いわゆるイケメンタイプのいい男なので、この役にピッタリ。しかし、Feriが観た2月14日は大きなトラブルが‥

開演前に劇場スタッフが登場し、「Reinhard Alessandri さんが歌えなくなったため、歌の部分はSebastian Reinthallerさんが担当します」という衝撃の発表が‥

この瞬間、客席からは大歓声が上がりました。カバーになって大歓声というのは珍しいパターンです。Steppkeさんのお話では、Reinhard Alessandri さんの歌も良かったらしいのですが、さすがにSebastian Reinthallerさん。見事な歌を披露してくれました。

なお、完全に交代できなかったのは、お芝居や衣装の準備していなかったためだと思います。「チャールダーシュの女王」の「シルヴァ事件」と同じカバーをおいていないBadenらしい対応です。

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今回、Sebastian Reinthallerさんはオーケストラピット中央で歌っていました。デュエットの場面など、相手は舞台上でクリスティアンのReinhard Alessandriさんと踊りながら、歌だけがオーケストラピットから聞こえるという不思議な展開。

お芝居の部分については、ワイヤレスマイクのアシストを得て、Reinhard Alessandriさん自身が台詞を語っていました。

男性陣で印象に残るのは、何と言ってもブッフォ(Buffo)の Beppo Binder さんとAndreas Sauerzapf さん。ブッフォが二人起用されるオペレッタも珍しいのですが、それだけに二人のデュエット“O Jaromir”などは、魅力が爆発していました。

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このほか、ズボン役として登場したFriedelのKatrin Fuchsさんも、なかなか見事な歌と踊りを披露してくれました。

元々、小劇場向きの作品を選んだのが正解かもしれません。とにかく、久しぶりに観た本格派ウィンナ・オペレッタという気がします。

なお、ここでショッキングな情報が‥ 芸術監督に就任していたSebastian Reinthallerさんが降板したようで、現在、後任を探しているとか‥

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理由は、何らかのスキャンダルが発覚したことだそうですが、Sebastian Reinthallerさんが芸術監督に就任してから、作品選びやキャスティング、演出などが良くなってきていただけに、Feriは残念でなりません。

最近では、小劇場の強みを活かして埋もれたオペレッタ作品を発掘し、上演していただけに、この路線がどうなるのか、気になる今日この頃です。

さて、フィナーレがホイリゲだったので、このままアパートに素直に帰るFeriではありません。Badenの開店期間限定のホイリゲへ足を運んでクールダウンしたのは言う前もありません。オペレッタとホイリゲの融合‥これほど、恐ろしいものはありません(笑)。

3月まで上演しているので、機会があったら、是非、ご覧になることをお勧めします。終演後、必ずホイリゲに立ち寄りたくなります。

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Comments

Eyslerの綴りを確認しようとして偶然このサイトを見つけました。私もオペラとりわけオペレッタにはまっていて年
2回ほど1回に15-20公演を聴きに行きます。今月もブダペスト コシチェ シォフォク(Kalman) ブラティスラバと回り13日にウィーンに入りVolksのMy Fair Ladyを見に行こうとしたとき 真ん前の交差点で転倒 救急搬送され 翌日のバーデンも行けず予定半ばで帰国しました。残念無念ですが 記事拝見しますます残念無念です。バーデンも何回も行きましたが周囲がのんびりでいいですね。記事拝見しEysler再チャレンジを決心しました。ありがとうございました。

Posted by: NAK | February 24, 2016 at 08:33 PM

NAKさま、コメント、ありがとうございます。

また、ようこそ、お越しいただきました。

お怪我の方は大丈夫でしょうか。旅先での事故は本当に大変だと思います。

最近はBadenが劇場規模に合った作品を選んでいるため、仕上がりが良くなっています。

是非、次回、お越しの際にはBadenでオペレッタをお楽しみいただければ幸いです。

Posted by: Feri | February 25, 2016 at 06:42 PM

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