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March 05, 2016

実践的な訓練

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今日は「オーストリア連邦軍の訓練」にまつわる話題をお伝えしましょう。

日本では、警察や自衛隊なども各種の訓練を行っていますが、どうしても「訓練のための訓練」という感じになっているケースが多く、必ずしも実践的な訓練にはなっていないという話を聞いたことがあります。

とくにお偉いさんやマスコミに公開する訓練の場合、事前に「シナリオに基づいた訓練のための練習」を実施することが多いとか‥日本らしいと言えば、日本らしいですが‥

さて、3月2日にオーストリア連邦軍が、オーストリア航空のボーイング767型機を国籍不明機に見立てて、Zeltweg空軍基地に強制着陸させる訓練を実施しました。訓練の詳細はオーストリア連邦軍のホームページに紹介されていました。

Zeltweg空軍基地は、シュタイヤマルク州にある基地で、空軍博物館があるため、Feriも何回か訪れています。

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ちなみに同基地には、現在、オーストリア連邦軍の主力戦闘機Eurofighterが配備されています(右の写真がZeltweg空軍基地)。

訓練は、フライトプランが未提出で、かつ無線交信ができない国籍不明機がオートリア領空に侵入したという想定です。

Zeltweg基地を緊急発進した2機のEurofighter戦闘機が、防空司令部の誘導で国籍不明機に接近(Identifizieren)。

1番機は、国籍不明機の横を飛行し、登録記号や国籍、航空機の種類を識別して司令部に報告。一方、2番機は、万が一の自体に備えて、背後の射撃位置につき監視。そして報告に必要な写真撮影を行いました。

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国籍不明機役となっているボーイング767とは無線交信ができないため、Eurofighterは国際信号となっている「翼を振る動作」を行って、ボーイング767を強制着陸させるZeltweg基地に先導。

Zeltweg基地で運用している滑走路上空を飛行し、国籍不明機に着陸を指示して、同機を実際に着陸させました。ちなみに訓練の所要時間は約20分間だったそうです。

民間航空機が、テロリストにハイジャックされたようなケースを想定していたのかもしれません。

そう言えば、ヨーロッパでは2005年に、キプロスのヘリオス航空522便が、与圧システムの異常でパイロットが意識不明となり、着陸できないまま、燃料が切れ、ギリシャの山間部に墜落した事故がありました。この際、ギリシャ空軍が戦闘機を緊急発進させ、同機をインターセプトしたケースがありましたね。

日本の航空自衛隊でも、常時、国籍不明機の領空侵犯に備えて各地の基地で、緊急発進のための待機を行っています。しかし、実際の民間機を使って、このような実践的な訓練を行っているという話は聞いたことがありません。

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もっとも、日本の場合、民間航空会社側が協力してくれない可能性が高いので、ターゲット役は自衛隊の航空機を使うのでしょうが‥

ところで、ボーイング767型機がZeltweg基地に強制着陸させられた写真をよく見ると、手前をトラクターが干し草を摘んだトレーラーを引いて走っているようです。

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公式写真に、こうったものが写っているのにびっくり。普通は、国籍不明機が強制略陸させられる訳ですから、登場するのは警備車両でしょう。

なお、空軍博物館には、過去、実際に発生した領空侵犯措置に関するパネル展示も行われています。左の写真が、その展示で、2002年にチロル上空で発生した事案を紹介したものです。

ちなみにオーストリア連邦軍のホームページに掲載されている写真を見ると、国籍不明機役となったオーストリア航空のボーイング767-3Z9ER型(機体番号OE-LAZ、元ラウダエアの機材)は、新塗装になっています。

どうも、海外で整備を受けて、オーストリアに戻る途中、訓練に協力したようです。のんびりしている国のようですが、徴兵制が施行されている国だけあった、こうったところの協力体制は見事です。

今回、訓練中写真は、オーストリア連邦軍のホームページからお借りしました。


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