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April 28, 2016

難民問題に思う「対症療法と根本療法」

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このブログは、皆さまにオーストリアやウィーンの「ひと味違った魅力」をお伝えすることをコンセプトにしていますので、政治や経済の問題は、あまり取り上げることはありません。

ところで、先日のオーストリア大統領選挙の結果は、地元でも大きな話題になりました。

何しろ政権与党の候補者が2人とも、決選投票に上がることができず、かつオーストリア自由党の候補者が、二位に大差を付けてトップに躍り出た訳ですから‥

5月22日予定されている決選投票では、どのような結果になるかは、わかりませんが、現政権の難民政策に対して、国民が否定的な見方をしていることは明らかなようです。

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これはオーストリアに限ったことではありませんが、西ヨーロッパ諸国は、今まで移民(難民ではありません)を労働力として使ってきたという歴史があります。

また、階級社会の伝統が色濃く残っている国では、「自国民が就かない職業がある」とも言われています。このあたりは、日本人の感覚ではピンとこないところではありますが‥

そのため、当初、ドイツなどは、今までの移民の延長線上に難民受け入れを考えていたフシがあります。

しかし、パリなどでテロ事件が発生したこと、大晦日にドイツ国内で難民が関与したと言われる事件が発生したことなどから、移民と難民では、その性格が異なるに国民が気づき、難民受け入れに抵抗感を示すようになったのかもしれません。

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そのそも労働移民の場合、働く国にある程度、なじまなければ仕事をすることは困難です。当然、労働ビザも発給されません。そのため、働く国の文化や風習をある程度、許容する人たちが労働移民としてやってくる訳です。

余談ですが、Feriの友人で、長年、オーストリアで生活している日本人は、お目にかかるとオーストリアの愚痴が沢山でますが、本心では、この国の文化が好きなのですよね。だからこそ、色々な不満があっても、こちらで生活をしている訳です。

当然、現地にある程度、溶け込んでいるのは、言うまでもありません

それに対して、難民の場合、自国が内戦になった、生活が不安定になったなどの理由から、現在よりも生活しやすい国へ移り住む‥という発想なのだと思います。当然、その国の文化や風習を受け入れることは、あまり視野に貼っていないのではないでしょうか。

もし、その国の文化に溶け込もうとしない難民が大量に流入した場合、巨大なコミュニティが形成されてしまい、最終的に国内に「別の国」ができるような感じになってしまう恐れがあります。

かつて、「日本沈没」というSF小説が1973年に映画化された際、日本政府の特使が、世界各国を回って日本からの難民を受け入れてもらうように交渉する場面がありました。

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袖の下として、国宝級の美術品を持っていくのです。しかし、多くの国で、“一時的ならいざ知らず、それだけ多くの日本人を長期間受け入れてしまったら、自国の中に別の国ができてしまう”と受け入れ人数を増やすことに難色を示す場面が描かれていました。

某国の首脳は、日本の特使が帰った後、土産物の仏像を見て、“これならば、受け入れは大歓迎だ”とつぶやく場面が印象的でした。

このようなことが、今やヨーロッパでは現実のものになろうとしている訳ですから、国民が不安感を抱くのは当然のことだと思います。

その結果、ドイツでも事実上、難民認定を厳しく行う方向にシフトすることになりました。ご存じのとおり、隣国のオーストリアは、当初、難民はドイツに行くための一時的な滞在なので、無条件で受け入れていましたが、ドイツの風向きが変わったことを受けて、難民認定に制約を加えるようになりました。正に政策が揺れ動いている感じです。

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一方、キリスト教文化が浸透しているオーストリアなどでは、友愛精神が浸透しており、国民が様々な形で自国内に留まっている難民支援を行っているという話を耳にします。

これは、民間人の自主的な活動としては、素晴らしいことだと思います。

ところで、皆さまは「対症療法と根本療法」という話をご存じでしょうか。わかりやすい例えでは、風邪を引いて高熱が出た場合、解熱剤を飲んで症状を緩和させると思います。これは当然ですよね。これを対症療法と言います。

ただ、これは風邪を引いた根本的な要員を探り当てて、対策をとっている訳ではないので、しばらくすると、また風邪を引く(もしくは、毎年、一定の時期になると風邪を引く)というパターンが多いと思います。

これに対して、「なぜ、この字気になると風邪を引くのか」という根本的な要員を探り、それに手を打つのが根本療法です。例えば、食生活のバランスが悪く、風邪を引きやすい体質であることがわかった場合、時間をかけて、食生活を改め、体質改善を図るといったものです。

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この考え方は、Feriが、永年、携わってきた企業内の問題解決などでも、必ず取り上げられる発想です。

対処療法だけで、根本療法を行わないと、同じことの繰り返しになってしまい、非常に多くの無駄が生じます。

さて、ヨーロッパの難民問題を日本人であるFeriが見ると、各国政府の対策がすべて対症療法的なものであることが気になってしかたがありません。

シリアやアフガニスタン、アフリカで大量に難民が発生したので、とりあえず引き受けよう‥しかし、結果として、引き受けたヨーロッパ各国が疲弊してしまい、難民受け入れ制作を変更せざるを得なくなって‥トルコに留まってもらうというのも、典型的な対症療法ではないでしょうか。

この場合の根本療法は、「難民を生み出す要因を探り当てて、難民の発生を防ぐこと」です。ただ、これは大変なことで、一朝一夕にできることではないかもしれません。

とくに内戦状態が続くシリアの場合、国境を定めて国を作ったのは、ヨーロッパ諸国(イギリスとフランスが話し合いで決めたそうですが‥)なので、原住民や民族の意向はあまり反映されていないそうです。

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独裁政権の場合は、ある程度、力で押さえつけていましたが、独裁政権が崩壊すると、自分たちの意思で国を作ったわけではないので、民族蜂起の動きが出てくるのは、当然なのかもしれません。

正直なところ、このあたりの話には「触れてもらいたくない」と考えている国も多いのでしょう(いわゆる大人の事情)。その結果、対症療法でお茶を濁す‥という展開になっているような気もします。

そのように考えると、各国とも、根本療法の重要性には気づいているものの、余りにも根が深いため、対症療法で対処せざるを得ないのかもしれません。

しかし、ヨーロッパ各国で、自国民を優先する保守系(日本では極右と表現されることが多いのですが、日本人のFeriから見ると、決して極端におかしな考えを持っているとは思えませんが‥)の政党が国民の支持を集めているのは、何となくわかる気がします。

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もっとも保守系の政党でも、根本療法を提唱している政党やグループは少ないようです。あくまでも、対症療法の違いだけですね。

ちなみに、オーストリアの大統領選挙で決選投票に進んだ候補者を推す自由党は「自国民を優先して、難民受け入れを制限する」、一方、第2位になった候補者を推す「緑の党」は「フェンスと作る費用があるなら、難民受け入れ施設を拡充しよう」という主張です。

つまり、両極端ですね。主義主張をはっきりと打ち出したことが、国民の支持につながったのかもしれません。

今日も、あくまでもFeriの私見なので、コメント欄は設けませんでした。


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