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May 02, 2016

フォルクスオーパー「Der Bettelstudent」プレミアレポート(その1)

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来日公演を目前に控えた2016年4月30日、フォルクスオーパーで2015/16シーズン3本目となるオペレッタ「Der Bettelstudent」のPREMIEREが行われました。

1シーズンでオペレッタのPREMIEREが3回というのは、画期的なこと。オペレッタにはまっているFeriによっては、嬉しい限りです。フォルクスオーパーでオペレッタのプレミアレポートを3回というのも史上初。

「白馬亭にて」、「会議は踊る」の2作品については、どちらかというとミュージカルに近い演出だったことを考えると、カール・ミレッカーが1998年に作曲した「Der Bettelstudent」は、正統派オペレッタと言えるでしょう。

ちなみに邦題は、昔から「乞食学生」という直訳が使われています。

聞くところによると、「乞食」という言葉は、現在の日本では放送禁止用語だそうです。今ならば「赤貧学生」「貧乏学生」といった邦題になりそうですが、ここは原題を尊重して「乞食学生」で通させていただきます。

この作品ですが、興味深い裏話があって、台本作家はヨハン・シュトラウスⅡ世のオペレッタ「ヴェネチアの一夜」も手がけた方です。

当初、「乞食学生」の台本もヨハン・シュトラウスⅡ世に渡すはずだったらしいのですが、カール・ミレッカーがシュトラウスに依頼して、台本を譲ってもらったという経緯があるとか‥

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そう言えば、内容こそは違いますが、「替え玉を用意して相手を騙す」という展開は、「ヴェネチアの一夜」とも一脈通じるものがあるような気もします。

今回のPREMIEREですが、制作陣は

-演出:Anatol Preisslerさん

-脚本:Karel Spanhakさん

-衣装:Marrit van der Burgtさん

-振付:Marga Renderさん

―合唱指揮:Thomas Böttcherさん

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当日の指揮はWolfram-Maria Märtigさん。ただ、この人、オペレッタを振ったことがあまりない(Feriの記憶ではありません)若手だけに、ちょっと心配です。

ちなみにフォルクルオーパーでは「サウンドオブミュージック」を振ることになっていますが‥

さて、PREMIEREの主な出演者は、以下のとおりです。しかし、来日公演を前に、女性陣は素晴らしい陣容です。

-ノヴァルスカ伯爵夫人パルマティカ(Palmatica, Gräfin Nowalska):Elisabeth Flechlさん

-ラウラ(Laura, ihre Tochter、パルマティカの娘、姉):Anja-Nina Bahrmannさん

-ブロニスヴァ(Bronislawa, Lauras Schwester、ラウラの妹):Mara Mastalirさん

-クラカウ総監オルレンドルフ大佐(Oberst Ollendorf, Gouverneur von Krakau):Martin Winklerさん

-フォン・ヴィンゲンハイム少佐(von Wangenheim, Major):Daniel Ohlenschlägerさん

-フォン・ヘンリッヒ騎兵大尉(von Henrici, Rittmeister):Gernot Krannerさん

-フォン・シュヴァイニッツ中尉(von Schweinitz, Leutnant):Thomas Zistererさん

-フォン・リヒトフォーフェン少尉(von Richthofen, Kornett):Michael Havlicekさん

-フォン・ロヒョー中尉(von Rochow, Leutnant):Roman Martinさん

-ヤン・ヤニッキ(Jan Janicki):Alexander Pinderakさん

-シモン・リマノヴィッツ(Symon Rymanowicz):Lucian Krasznecさん

-執事オマフリー(Onuphrie, Palmaticas Diener):Martin Fischerauerさん

-看守長エンテリッヒ(Enterich, sächsischer Invalide und Kerkermeister):Boris Ederさん

-看守(Piffke, Schließer auf der Zitadelle zu Krakau):Otto Beckmannさん

-看守(Puffke, Schließer auf der Zitadelle zu Krakau):Julian Manuelさん

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それでは、あらすじに沿って、舞台の概要をご紹介しましょう。

舞台は、1704年のクラカウ(現代のクラクフ)、ザクセン王アウグストII世の治世時代です。グーグルアースの地図を使って宇宙空間からクラカウにフォーカスするところから始まります。

第一幕第一場は、オリジナルどおり、クラカウ要塞の刑務所。シンプルな舞台装置ですが、それなりの雰囲気は出ています。しかし、「こうもり」の三幕に比べると、チープな感じは否めません(予算の都合でしょうか‥)。

クラカウの城砦で看守長のエンテリッヒは、捕らえられている囚人たちに会いに来た妻たちから差し入れ品を没収し、金を徴収して面会を許すという巧妙な取引を行っています。

囚人の妻たちは合唱団。オペレッタらしいなかなか聴かせるコーラスがあります。

ここで登場する看守と看守長のコスチュームに注目。何やら「パイレーツ・オブ・カリビアン風」。いつからポーランドが海賊に支配されるようになったのでしょうか(笑)。

ザクセン人という雰囲気はありません。まぁ、ドイツ人に対する配慮でしょうかね。

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なお、看守長エンテリッヒのメイクは、「オズの魔法使い」のマーベルとの一脈通じるものがあります。

屈強な看守2人は、コンビで活動するのですが、片方が棒で相方の頭を殴ると、ティンパニーの効果音と小鳥のさえずりが‥ 

よく漫画などで出てくる演出ですが、これは正直、余計。しかも、1回くらいならば「ご愛敬」で済ませることができますが、毎回、行われるので、気になります。まるで、日本の若手漫才のようです。

5名のザクセンの将校が現れ、看守長エンテリッヒに、クラカウ総督オレンドルフ大佐が視察に来ると告げます。

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ザクセンの軍人たちは、戦争で負傷したのか、傷病兵の出で立ちです。このほか、ヘアーメイクが、これまた個性的です。かなり茶化したコスチュームとメイクと言えるでしょう。

その後、オレンドルフ大佐が登場しますが、「前夜の出来事」のため極度に不機嫌。

「前夜の出来事」とは、舞踏会でオルレンドルフ大佐は、ポーランドのノヴァルスカ伯爵夫人と2人の娘ラウラとブロニスラヴァと知り合いました。美しいラウラに夢中になった大佐は、彼女に言い寄り、肩にキスをしたのです。これに腹を立てたラウラは、扇子で彼の顔を打ちつけました。

しかも大佐が入手したノヴァルスカ伯爵夫人の手紙には、“オレンドルフのような調子者で、しかも平民上がりのザクセン人などには決して娘を嫁がせない”と書かれていたのです。これでは、不機嫌になるのは当然でしょう。

なお、「前夜の場面」は、オリジナルどおり、舞台上では再現されません。

自分を侮辱されたオレンドルフ大佐は、ノヴァルスカ伯爵夫人たちに復讐を企み、最終的はラウラを手に入れようと目論むのでした。

大佐は看守長エンテリッヒに、ポーランド人の囚人を連れてくるよう命じます。エンテリッヒは、看守に命じて2人のクラカウ大学生を引き連れてきます。

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大佐の企みとは、野心家のシモン・リマノヴィッチに金を渡して裕福なヴィビツキ侯爵に化けさせ、気位の高いラウラを篭絡し、結婚に持ち込むというものです。

シモンと一緒に囚われているヤン・ヤニッキは、秘書に化けさせ、ヴィビツキ侯爵に同行させることに‥

もちろん、結婚式の最中にシモンが乞食学生であることを暴露して、ノヴァルスカ伯爵夫人たちに恥をかかせる魂胆です。

実はヤンは、実際には、ポーランド解放のため闘うアダム・カシミール公爵なのです。オリジナルではアダム大公は別におり、ヤンとは別の人物なのですが、話を単純化するため、設定を変更したようです。今回は、結果として、これが功を奏しました。

第二場は、クラカウの広場です。市長が恒例の「春の定期市」開催を告げ、人々で市は賑わいます。市長がプロンプターボックスの上に立って、指揮をします。

フォルクスオーパーの場合、場面転換は吊し物を使う、回り舞台を使う、両者のコンビネーションというのが一般的です。今回は、吊し物を使うパターンでした。

この市の場面は、合唱団やバレエ団も加わって、賑やかな雰囲気が醸し出されています。ここは良くできていますね。なぜか、檻に入った熊が舞台上にいます。

こういう展開はFeri好みです。オペレッタは華やかでなくてはいけません。

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街の人達で賑わっている市へ、ノヴァルスカ伯爵夫人もラウラとブロニスラヴァを連れてやってきます。実はノヴァルスカ伯爵夫人たちは、貧困を極め、何も買えないどころか、空腹を満たすこともできない状態。それでも貴族らしく老執事のオマフリーを連れています。

お菓子をねだる娘たちに伯爵夫人が“貴族の娘は自分のスタイルを考えて食欲を犠牲にしなさい”とたしなめる場面がご愛敬。

結局、Caféで頼んだのは、茹でたジャガイモでした。それも一人前‥妹のブロニスラヴァが美味しそうに食べます。

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そこへ、ザクセンの将校たちが現れ、富裕なヴィビツキ侯爵がクラカウに花嫁捜しに来ていると告げます。裕福な貴族が花嫁を探していると聞き、色めきだつノヴァルスカ伯爵夫人たち。

偽の侯爵は、“世界中でポーランド娘ほど美人はいない”と歌い、彼女たちのご機嫌をとります。妹のブロニスラヴァは控え目な秘書に関心をもつのですが、ラウラは侯爵に一目惚れ。侯爵からの結婚申し込みを即刻に受け入れます。

このプロポーズの場面は、市の中で行われるため、出演者も多く、オペレッタらしい華やかな場面です。なお、本編とは関係ありませんが、町の人が市で様々な動きをしています。

ただ、「白馬亭にて」などと異なり、余計な芝居はないので、不自然さはありません。

ここで、休憩となります。第一幕は1時間ほどです。

さて、例によって長くなってしまったので、続きは明日、お届けしましょう。

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