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June 05, 2016

フォルクスオーパー来日公演を終えて‥雑感

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2週間にわたる第9回のフォルクスオーパー来日公演が、5月29日、無事終了しました。今日は「来日公演‥雑感」をお伝えしましょう。

今回は、残念ながら満員御礼とはならなかったようですが、現在の社会情勢を考えると、高額なチケット故にやむを得ないでしょう。

また、結果として誤報になってしまいましたが、当初計画では、今回、大阪公演が予定されていました。そのため、滞在期間も1ヵ月の予定だったようです。

しかし、実施計画の詳細を詰める段階で、招へい元の判断が難色を示したようで、結果として、「幻の大阪公演」になってしまいました。お客さまの入りに加えて、舞台装置や衣装などを大阪へ運ぶための経費などがネックになったものと予想されます。

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その関係もあってか、地方からいらっしゃるお客さまを考慮して、マチネ公演が増やしたようです。

なお、この手の契約は、稼働率(有償のお客さまがどれくらい入ったか)にかかわらず、劇場側に支払われるフィーは一緒なので、来日する劇場関係者は、ある意味、満席かどうかはあまり気にしていないようです。ですから、フォルクスオーパー側としては、大阪公演は乗り気だったようです。

ところで、歌手やスタッフの皆さんが、公共交通機関で移動しているのを見て、驚いた方もいらっしゃるようですが、宿舎となっていた赤坂の某ホテルからは地下鉄などで、東京文化会館へ通っていたようです。

そのため、主催者側からIC乗車券が交付されているという話を耳に挟んだことがあります。

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従来は、大規模ホテルチェーンを傘下に持つ某電鉄系旅行代理店がNBSの公演に関する宿泊や移動を手配していたようですが、今回から代理店が変わったため、宿泊先も赤坂になったようです。

漏れ伝わった話だと、出演日は日当が支給されますが、それ以外の非稼働日は、移動や食事も自腹なので、皆さま、色々と工夫して対処していたようです。

円高傾向の昨今、来日する皆さまにとっては、頭が痛かったことでしょう。

とくにオーストリアの皆さんは、大食漢が多いので、コストパフォーマンスのよい食事を見つけるのに苦労しているという話を聴いたこともあります。

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日本では、確かにファストフードをはじめ、安い食事も増えていますが、反面、量が‥ とくに安い居酒屋系は、コストパフォーマンスが悪いという判断をされているようです。

ちなみに左の写真は、今回の公演に活躍したプロンプターさんです。東京文化会館の場合、オーケストラピットからプロンプターボックスへ入る構造になっていないため、お客さまの多くは見かけることはなかったと思いますが、Feriは、フォルクスオーパーで良く知っているので、すぐにわかりました。

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プロンプターさんは、唯一、仕事中もスーツ姿ですが、劇場への往復もスーツをお召しになっていたようです。お疲れさまでした。

このほか、日本公演ならではの光景が、入待ちと出待ちです。実は、現地に行かれた方はご存じかと思いますが、フォルクスオーパーの場合、入待ちや出待ちをするファンは、ほとんどいらっしゃいません。

なぜなら、出演者の大多数が、おなじみのアンサンブル(専属歌手)だから‥ 入待ちや出待ちをしているのは、出演者の友人や関係者がほとんどです。

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ですから、歌手の皆さんからしてみると、日本公演では楽屋口で熱心なファンの皆さんが、待機している姿を見ると、正直、嬉しいと思います。

本来、開演前の入待ちは、出演者の皆さんが、神経質になっているケースもあるのですが、フォルクスオーパーの皆さんは、ゲストも含めて、比較的リラックスしているようにお見受けしました。

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初日にSylva Varescuとして出演したAndrea Rostさんは、ご覧のようにスッピンで劇場入りしていました。また、指揮者のRudolf Biblさんも、劇場入りの際、熱心にファンのサインに応じていました。

最終日、Feriもご挨拶のため、出待ちをしましたが、待っているファンの方から、“皆さん、サービス精神が旺盛だね”という声を聴きましたが、これは、現地では楽屋口でファンが待っているという経験が少ないことから来ているような気もします。

なお、国立歌劇場でも、有名な歌手が出演する場合は別ですが、通常公演の場合、フォルクスオーパーほどではありませんが、出待ちは少ないですね。逆にネトレプコさんなどの場合は、ものすごい人が集まりますが‥

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今回、Feriは、入待ちや出待ちをしているファンの皆さんとご一緒して、一つ驚いたことは、出演している歌手の皆さんを詳しくご存じない方が意外と多い‥ということです。

Feriは、てっきり、贔屓筋の歌手を待っている方ばかりだと思っていたものですから‥

まぁ、趣味なので、楽しみ方は様々‥ 外野のFeriがとやかく言う問題ではありませんが‥

さて、劇場側とは関係のないチケット料金の件ですが、確かに、単純に比較するとチケットの価格がウィーンの3倍もしますので、日本のお客さまが「高い」と感じるのは当然です。

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ましては、昔と違ってインターネット経由で手数料なしで現地のチケットが買える時代なので、つい価格を比較したくなるのは当然です。

ただ、延べ260名以上のスタッフが来日し、大道具や小道具も現地から運んでくることを考えると、その費用は莫大‥

また、フォルクスオーパーの場合、国立歌劇場と異なり、オーケストラメンバーも含めたスタッフ数が圧倒的に少ないため、これでけの規模で海外公演を行うと、地元での公演を制限せざるを得ません。

ご存じのように、来日公演中、ウィーンではミュージカル「Anatevka」と「The Saund of Music」の2演目を中心とした変則プログラムになっていました。

当然、演目が限定されると言うことは、入場者数にも影響する訳で、劇場の経営陣としても、日本公演の収益が単純にプラスにならないというジレンマもあるような気がします。

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日本公演では、特別スポンサーがつくことが多いですが、各種の援助があっても、チケット料金が高くなってしまうのは、ある意味、やむを得ないところでしょう。
ところで、以前は、国立歌劇場の来日公演では、高額でもチケットがとれなかったケースが多かったのですが、今はS席やA席といったカテゴリーのチケットは比較的とりやすくなったようです。

その背景には、お客さまの「財布の紐が固くなった」ことがあるような気がします。

以前、仕事でご一緒した社会心理学者の方から「日本人は真ん中が好きな民族」だという説をうかがったことがあります。

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かつては「一億総中流社会」と言われていたように、確かに大金持ちにならなくても、ある程度、豊かな生活が送れることが一番と考えていた「中間層の人」が多かったような気もします。

しかし、21世紀に入り、良い悪いは別として、日本も二極化時代に突入しました。以前よりも富裕層の数は増えているのかもしれません。

実際、日本国内でも富裕層を対象とした高額な料金のJR各社が運行するクルーズトレインや豪華パッケージツアーが大盛況、都心の高級分譲マンションが即日完売という話を耳にすると、何となく頷けます。

そう言えば、昨日、ご紹介した「レッドブル・エアレース」でも、最も高額なチケットが完売でしたね。

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一方で、非正規労働者によるオペレーションが前提となっている業種・業態も増えており、こちらでは終日働いても、生活を維持するので手一杯という現状でしょう。

当然、可処分所得も少なくなりますから、クラシック音楽が好きでも、高額な来日公演には手が出ないと思います。

そういう意味では、現在の日本の社会環境変化に合わせて、来日公演の形もそろそろ見直す時期に入っているような気もします。

さて、話が横道に逸れましたが、今回、興味深かったのは、東京文化会館のホワイエでオーストリア産のスパークリングワインを販売していたことです。

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かねてからFeriは、「オーストリアはワインの名産国なのだから、期間中だけはホワイエのバーでオーストリアワインを販売すべきではないか」と考えていました。

日本でもオーストリア大使館商務部あたりは、ワイン大使の任命をはじめとするワインのプロモーションに力を入れているのに、なぜか自国が誇る国立歌劇場やフォルクスオーパーの来日公演に合わせてアピールするという動きは見えませんでした。

今回は、どうも日本のインポーターさんが尽力して実現したようですが、せっかくの機会だったので、商務部当たりが音頭をとって、もっと大々的にオーストリアのワインやセクトをアピールすれば良かったと思うのですが‥

なぜか、文化と商売の連携がうまくいかないオーストリア。

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このほか、会場にいらっしゃった方はご覧になったと思いますが、上演作品に関連するCDやDVD、書籍の販売だけでなく、フォルクスオーパーのオリジナルグッズの販売が行われていました。これは委託販売だったようです。

販売されていたのは、現地の公演プログラム(1000円)、2016/17年間プログラム(1500円)、フォルクスオーパー制作のCD、Tシャツ(3000円)、ネクタイ(4000円)などでした。

公演プログラムや年間プログラムの販売価格は、現地価格を知っているFeriから見ると、正直、高いとは思います。

しかし、販売委託料を除いて直接、フォルクスオーパーに入ると思うので、寄付みたいな感じでしょうか。だから値段に関する突っ込みや野暮というものです。

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この中で、現時点では現地で一般に販売されていないグッズがネクタイでした。冬シーズンにオーケストラメンバーや劇場職員の男性が締めているネクタイです。今回は赤と白の2種類が出ていましたが、通常、彼らは赤を着用しています。

このブログでも、全員が同じデザインのネクタイを着用するようになったという話題をかつてお伝えしたことがあります(2008年3月28日 おそろいのネクタイ)。

なお、Wienでは、夏期をのぞき、オーケストラメンバーや男性職員は、このネクタイを締めていますが、今回の来日公演では、皆さま、正装だったので、おなじみのネクタイは登場しませんでした。

このネクタイですが、Feriは正直、欲しかったのですが、如何せん、一般には販売していませんでした。

2010年2月、Feriがフォルクスオーパーでのオペレッタ鑑賞が100回を迎えた時、友人Yさんのご尽力いただき、DirectorのRobert Meyerさんとの面会をセッティングしていただきました。

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その際、Feriが、“オーケストラメンバーが着用しているネクタイは、販売したらファンが買うと思いますよ”と言ったことがあります。

と、その時、やおらRobert Meyerさんが、クローゼットの扉を開けて、中から自分のネクタイを取り出され、“そんなに気に入っているのだったら、あなたにプレゼントしよう”と言って、ご自身のネクタイを手渡してくれました。

Feriにとって、大サプライズ。以来、Feriの宝物として、フォルクスオーパーのプレミアや特別な公演日、来日公演には、このネクタイを締めて劇場へ行くようになりました(勝負ネクタイ)。

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Robert Meyerさんも覚えており、“今日は、お気に入りの「例のネクタイ」はしていないないの?”と尋ねられたこともあります(笑)。

今回、このネクタイが日本で正式に販売されているのを見て、感慨深いものがありましたね。今回、会場でお買い求めになったファンの方も多かったようです。

さて、節目となる10回目の来日公演が実現するのかどうか、気になりますね。最近は4年間隔が多いのですが、4年後は、2020年。そう、何事もなければ東京オリンピック開催の年です。そのため、オリンピック開幕前の来日は物理的に難しそうな気がします。

それにしても国立歌劇場とフォルクスオーパーを同一年に来日させるのでなく、冬季オリンピックと夏季オリンピックのように、ずらせば懐具合との相談もしやすくなるような気がしますが、いかがなものでしょうかね。


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Comments

こんにちは!
今週末にウィーンの友だちのところへ2泊の予定で行きます(笑)

その友だちというのが、国立歌劇場で演奏しているヤツなのですが(名前は自粛w)、今秋の引っ越し公演にももちろん来日します。

シュターツオーパーの場合、某品川駅付近のホテルに宿泊するため、主催者側からJR乗車券が日数分支給されていますよ。

ホテルの朝食は専用のラウンジが用意されてますが、メニューが「修学旅行の学生メシ?」って思うほど貧相なもので(笑)、前回の公演時にはオケメンバー(つまり、ウィーン・フィル)だけが猛抗議して、ホテル内どこのレストランでも使えるミールクーポンを支給させたという経緯もあります。

今回の引っ越し公演。
じつはオケだけ中抜けして2日間だけウィーン・フィルとしてソウルに演奏旅行に出かけます。
徹底的に外貨を稼いでいきますね(笑)

Posted by: 番長 | June 05, 2016 11:07

確かに総勢300名近くも来日されるようですし、舞台装置もウィーンから運んで来るようですし、そのコスト考えるとチケットのあの値段も納得なのですが・・・
地方在住者にとっては、東京で一泊して一本観るとチケット代含めて7,8万円はかかりますから、それなら暇な時に都合つけて安い飛行機チケットでウィーン行ってオペラやミュージカルも抱き合わせで何本かまとめて観てこようということになります。すくなくとも私はそうです。
また幻の大阪公演になったのは残念でした。舞台装置なしのコンサート形式でも全国主要都市(大阪、福岡、札幌あたり)でやればそれなりにお客さんは入ったのではないでしょうか?それはフォルクスオーパの流儀に反するのでしょうか?

Posted by: Hunger | June 06, 2016 17:25

番長さま

色々と裏事情もありますが、日本公演中のホテルや移動手段は、劇場側が決めるのではなく、招へい元が決めているので、あえて、触れなかったこともあります。

というのは招へい元に対する誤解を招く恐れがありますから‥

今秋の国立歌劇場の来日についても、もしかすると対応する旅行代理店が変わるかもしれません。そうなるとホテルも変更になると思います。

Posted by: Feri | June 07, 2016 17:41

Hungerさま

確かに地方にお住まいの方にとっては、上京するのは費用がかかりますから、大変だと思います。

以前、別の公演ですが、そういった事情もあり、日帰り範囲が拡大するマチネを増やしているというお話を伺ったことがあります。

なお、通常、舞台装置付きで上演している作品を、コンサート形式にした場合、別に演出になるため、かえって手間がかかるようです。

フォルクスオーパーでも一部のミュージカルなどはコンサート形式で上演したこともありますが、逆に舞台装置付きでは上演していません。

しかし、かつてはフォルクスオーパーも地方公演を行っていたことがあるだけに、これも時代の流れなのでしょうね。

確かに来日公演は高いですが、10時間以上、飛行機での移動が困難なご年配のファンにとっては、ありがたいそうです。

Posted by: Feri | June 07, 2016 17:47

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