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July 23, 2016

上下分割方式の功罪

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今日は「鉄道の運営方式にまつわる話題」をお伝えしましょう。

最近、イタリアやドイツで、旅客列車同士の正面衝突事故が起こり、多数の死傷者が発生しています。

以前に比べて、正直、信じられないような鉄道事故が続くヨーロッパ。オーストリアでも、残念ながら鉄道事故は、時々、発生しています。

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2015年7月には、Leopoldauで貨物列車と近距離列車の衝突事故が発生していますが、最近、オーストリア運輸省が事故原因を発表しました(画像は、その内容を伝えるKURIER)。

ちなみに、この事故による経済的損失は250万Euroだったそうで、「過去3年間で最悪の事故」と断定しています。

当局の調査によると、事故の発生要因は、保安施設の故障などではなく、ダイヤの乱れが遠因だったようです。

つまり、ダイヤが乱れていたため、本来、停止しなければいけない列車が進入して衝突した‥という訳です。運転士の信号見落としのようですね。

ヨーロッパで、このような鉄道事故が増えている要因の一つに、国鉄民営化の際、「上下分割方式が採用されたことにある」という意見があります。

上下分割方式とは、線路を管理するインフラ会社と、実際に列車を運行する会社が別れている方式です。

当然、列車運行会社は旅客会社と貨物会社に別れています。さらに最近ではEUのオープン化政策により、旅客列車については、複数の会社が運行するのが基本になってきました。

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オーストリアでは、旧国鉄(連邦鉄道)のÖBBは、現在、インフラ会社、旅客会社、貨物会社などに別れています。そして、全く新しい旅客会社としてWestBahnが参入を果たしました。

上下分割方式のメリットは、複数の運行会社が競うため、運賃が下がるだけでなく、サービスも向上することなどが上げられます。

実際、ÖBBもWestBahnが参入してから、同社を狙い撃ちするように低価格運賃のプランを相次ぎ導入しています。これらは利用者にとって、大きなメリットです。

また、地方路線の場合、線路使用料を払うことで列車の運行が可能になるため、鉄道の廃止を防ぐことができます。

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さらに鉄道ファン団体や旅行会社が保有している車両を本線上で特別運行することも、比較的容易なようです。

当然、地域に密着した小回りのきく、列車運行も実現できます。このあたり、ドイツでは各地に地域鉄道会社(運行会社)が存在し、きめ細かいサービスを提供しています。

ただ、メリットもあれば、デメリットも存在します。その一つは、一時、イギリスで民営化後に多発した鉄道施設の障害です。

コストを下げるため、インフラ会社が保守予算を大幅に削減すると、施設の故障が相次ぎ、結果として、正常な運行を維持できないという事態に陥ります。

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イギリスに関しては、その後、是正は図られていますが、やはり遅延は慢性的なものになっているようです。

また、列車運行会社ごとに運行管理を行うケースが多いため、情報の連携が悪いと、列車の衝突事故も発生します。

当然、コスト優先を突き詰めると、最後は職員への過度な負担を強いることになり、結果として、事故のリスクが高まるような気もします。

ちなみに日本のJR、特に東海道新幹線が極めて正確な運行を維持している最大の要因は、上下一体方式で運行されているためです。

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反面、必ずしもお客さまが臨むようなサービスが提供されているかと言えば、疑問な点は残りますが‥

日本では、新幹線開通により第三セクターに転換した在来線を、JRの列車が走る場合が、上下分割方式になります。また、JR貨物は、当初から専用線以外は路線を持たないため、上下分割方式です。

どちらの方式にもメリット、デメリットがある訳ですが、ヨーロッパが上下分割方式を採用したのは、「競争の促進により、手頃な料金で、より良いサービスを利用者に提供させる」という考え方が基本にあるのでしょう。

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余談ですが、航空便は、基本的に上下分割方式(空港と航空会社は別経営ですよね)なので、路線認可の問題をクリアした段階で、LCCによる大改革が進んだ訳です。

その昔、日本には“安いものには訳がある”という格言がありましたが、これは確かに真理を突いているような気もします。

路線バス、LCC、鉄道ともに事故が多発するのは、困りもの。その点、バランスをとるのが難しいと考える、今日この頃です。

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鉄道のお話 |

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