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August 08, 2016

オーストリア航空 日本撤退に思う‥機材編(下)

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今日は一昨日、昨日に引き続き、後1ヵ月で日本から撤退する「オーストリア航空の機材の変遷」をご紹介しましょう。

今回、オーストリア航空を中心に機材の写真を紹介していますが、同社では、1957年の発足後、ロゴを3回、変更しています。

1972年から採用されたロゴはA310にもペインティングされていたので、ご存じの方も多いでしょう。

その後、1995年に書体がスリムになったロゴに変更されました。そして、社名の下にはグラディエーション加工の帯が入っています。

このデザインはA340にも採用されたので、日本の皆さまにもおなじみかと思います。

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Feriは、このデザインのA340がスマートで最も気に入っていました。特に尾翼がオーストリア国旗をイメージした塗り分けになっていたのが、良かったですね。

そして、2003年からロゴが細くなり、グレーの影がついたタイプに変更されました。これが、現在の塗装になっています。

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B777は最初から、2003年のデザインですが、A340については、途中から塗装が変更になっています。左の写真は、新塗装になったA340型です。両者を比べてみると、旧デザインの方が美しいと思うのはFeriだけでしょうか。

右の写真が、最新の塗装になったA321型です。よく見ないと、どこが変わったのかはわかりませんね(笑)。見分けるポイントは、エンジンの塗り分けです。

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当然のことながら、客室乗務員のユニフォームも何回か変わっています。以前、ウィーンの技術博物館で開催された特別展で、オーストリア航空客室乗務員の「歴代の制服」が展示されました。

ご参考までにお目にかけましょう。皆さまは、どのスタイルがお好みですか?

さて、航空会社にとって、機材は言わば「商品」なので、ナショナルフラッグキャリアでは、実際に使える寿命がくる前に新鋭機材に置き換える傾向があります。

その代表例は、シンガポール航空です。同社は平均機齢が10年以下だったと思います。

1990年頃のフリートを見ると、単にボーイングからエアバスに切り替えただけでなく、長距離路線への積極的な進出をうかがわせる内容になっています。この頃がオーストリア航空の全盛期だったかもしれません。

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しかし、その後、ヨーロッパではLCCの誕生などにより、経営が悪化したナショナルフラッグキャリアが続出します。残念ですが、オーストリア航空も、その一つ。そのため、経営が悪化してからは、機材の更新が遅々として進まなくなりました。

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国際競争力を確保するため、まず、1997年にラウダ航空を傘下に収めます。しかし、経営状態は芳しくなく、2009年にルフトハンザ・ドイツ航空が株式の90%以上を取得し、同社を買収しました。

現在、新しい塗装の機材には写真のように「Lufthansa Grup」と書かれています。

チロリアン航空、ラウダ航空と経営統合した後、各社の機材をフリートに加えたのは良いのですが、機種ばかり増えてしまい、更新が思うように進んでいません。

右の写真は、オーストリア航空に移管された、かつてのラウダ航空B737型です。

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ちなみに、現在のフリートは、以下のとおりです。

-A319-100:7機
-A320-200:16機
-A321-100:3機
-A321-200:3機
-ERJ190-200LR:8機(9機発注中)
-B767-300ER:5機
-B777-200ER:5機
-DHC-8-Q400:18機
-Fokker70:5機
-Fokker100:11機

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機材更新の過程なので、保有機材数は流動的ですが、92機を保有しています。

皮肉なことに、長距離路線用のB777-200ERとB767-300ERは、完全な自社発注ではなく、ラウダ航空から引き継いだ機材なのです。

最近、1機を追加配備したB777-200ERも新造機ではなく、ベトナム航空の中古という状況です。

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このほか、先日、このブログでもお伝えしたFokker70の代替として導入されているリージョナルジェットE-190もルフトハンザ・ドイツ航空の中古です。

別に中古の機材に問題がある訳ではありませんが、通常、国を代表するエアラインの場合、リースも含めて新造機を入手し、新機材を商品としてアピールすることが多いだけに、同社の低迷ぶりを象徴する出来事と言えるでしょう。

もちろん、ビジネスクラスのシートをフルフラット仕様に改造するなど、居住性の向上に力を入れています。

さらにB767-300ERについては、巡航性能を向上させるためのウングレットという小さな翼を主翼端に取り付ける改造を実施しています。

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しかし、如何せん、日本線などでは、正規料金(フルフェア)でご利用になるお客さまが少ないのが同社の欠点。ヨーロッパでは標準になっているPYもなく、団体専用になった感のあるYは、完全な詰め込み仕様で、サービスも低下する一方。

正直、最近のオーストリア航空の長距離路線Yは、食事やドリンクは無料ですが、サービス水準はLCC並みです。これは、経営の合理化を求める親会社の意向が色濃く反映しているのでしょう。

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Feriは、同社が厳しい状況に置かれていると感じたのは、日系航空会社では当たり前のように搭載されている機内エンターテインメントの番組紹介冊子が、全廃されたことです。

確かに、最近はオンデマンドで、個人画面で番組の検索もできるので、紙ベースの冊子は必要ないという考えなのでしょう。

逆に考えると、未だに豪華な機内エンターテインメントの番組紹介冊子を準備している日系航空会社は、甘いということになるかもしれません。

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日本線からは撤退してしまいますが、オーストリア航空でも、そろそろB777-200ERとB767-300の後継機問題が浮上すると思います。

同じB777シリーズでリプレイスされるのか、エアバスが巻き返してA350などが導入されることになるのか、興味深いところです。

また、B767シリーズについては、民間用は事実上、生産が終了しているので、B787クラスの次世代機へのリプレイスが想定されると思います。まさか、中古はないですよね。

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親会社のルフトハンザは、エアバスとボーイング、両方の機材を調達することで、メーカーから良い条件を引き出しているようです。

実際、A380を導入しながらも、数少ないB787-8Iのオペレーターでもあります。そして、A340の代替としてもA350-900とB777-9Xの両方を導入するようです。なかなか強かな会社ですね。

ただ、単通路の機材についてはエアバスのA320シリーズに統一するようですが‥

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一方、同じルフトハンザ傘下のスイス インターナショナル エアラインズ(受け皿会社となったのはコミューター航空会社だったクロスエアです。写真はクロスエアの機材です)は、MD-11の後継機として、A340を選びましたが、その後継機はB777-300になりました。

スイス インターナショナル エアラインズの前身スイス航空では、一時期、B747-300を運用していたことがありますが、B777-300は、久しぶりのボーイング系の機材になりました。

ところで、オーストリア航空の日本線撤退ですが、羽田への乗り入れが叶わなかったことが理由(いわゆる「成田縛り」。羽田に乗り入れるためには、成田線を維持しなくてはならないというルール)であると、同社では説明しています。

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しかし、実際問題として、利用者の大半が団体のお客さまが占めている現状を見ると、仮に羽田に移ったとしても、収益性はあまり変わらないような気がします。

機材をダウンサイジングして、正規料金のお客さまの比率を上げる工夫をしないと、収益性は上がらないのは明白です。

ちなみに日本航空がB787シリーズを国際線だけに投入している一つの理由が、長距離で燃費の良さが発揮されるというものです。さらに提供される座席数が少ないため、満席にし安というメリットもあるようです。

日本航空も、政府系の特殊会社の頃は、繁忙期、閑散期を問わずB747を飛ばしていましたが、今ではお客さまの需要に合わせて、柔軟に機材を入れ替えています。

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Feriがよく利用するフランクフルト線も、以前は通年B777-300が使用されていましたが、最近はB787-900やB787-800も入ることが多く、本当に混雑する時期だけB777-300に戻すようになりました。

こういった柔軟な機材繰りが収益性の向上につながっているようです。さて、あと1ヶ月ほどで、日本から撤退するオーストリア航空。

Feriは、再度、日本線が復活するかどうかのポイントを次のように考えています。

1.新設の香港線を含む中国線で高い収益が得られるかどうか
2.B777-200ERやB767-300ERに変わる新機材が何になるか

現状では、長距離用機材が圧倒的に少ないため、路線を新設するためには、既存の路線から撤退するしか方法がありません。中国線の利用率が芳しくなければ、再度、日本線という可能性もあるような気もします。

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ただ、今のオーストリアは、商業活動の面では、日本よりも中国との結びつきが強いようなので、実際はしばらく様子を見てみないと何とも言えませんね。

可能性があるのは、長距離路線用新機材導入の動向です。既存の機材を、そのまま置き換えるのか、これを機会に新しい考え方で機材整備をはじめるのかによって、路線も変わってくるでしょう。

ただし、親会社であるルフトハンザ・ドイツ航空の意向が色濃く反映していると思うので、その当たりは、様子見ですが‥

Feriとしては、新機材導入に積極的に投資し、新たな展開を期待したいところです。

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