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August 07, 2016

オーストリア航空 日本撤退に思う‥機材編(中)

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今日は昨日に引き続き、後1ヵ月で日本から撤退する「オーストリア航空の機材の変遷」をご紹介しましょう。

1987年から定期便の運行をはじめたラウダ航空はバカンスのお客さまを取り込むため、拡大路線を続け、1998年頃には、以下のようなフリートになっていました。

-B737-300:6機(2機は発注中)
-B767-300ER:6機
-B777-200ER:4機(3機は発注中、1998年10月以降、デリバリー)

興味深いのは、本来はラウダ航空が発注したB777のうち、3機はラウダ航空が健在なうちに引渡を受けましたが、4号機(OE-LPD)については、ラウダ航空がオーストリア航空に吸収されてから、引渡を受けた関係で、発注元もオーストリア航空に変更になっています。

そのため、ボーイング社のカスタマーコード(発注した航空会社を識別する2桁の記号)が1号機から3号機と4号機では異なっています。マニアックな話題ですが‥

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オーストリアの航空会社は、大規模な航空機事故とは、ほとんど無縁なのですが、唯一、乗客・乗員が全員死亡した事故が起こったのが、残念ながらラウダ航空です。

1991年5月、ラウダ航空004便(B767-300ER)がタイで墜落し、乗員・乗客223名が全員、亡くなっています。

この事故によって、ラウダ航空の経営状態が思わしくなくなり、結果としてオーストリア航空との経営統合に踏み切ることになります。

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なお、ラウダ航空自体は、名称を変えてチャーター専用の航空会社(Austrian myHoliday)として、再出発しています。

オーストリア航空との経営統合によって、同社のフリートは、大部分がオーストリア航空に引き継がれます。当初はB737などは、ラウダの塗装のままでしたが、その後、オーストリア航空の塗装に塗り替えられています。

しかし、使用する機材の種類が多いことは運航コストの面で降りになるため、B737については、2013年までに全機退役しています。

ところで、ニキ・ラウダ氏は、自分が立ち上げた航空会社がオーストリア航空に吸収されたのが面白くなかったようで、2003年にドイツのアエロ・ロイド航空のオーストリア子会社アエロ・ロイド・オーストリア(Aero Lloyd Austria)を買収し、LCCのニキ航空(NIKI Luftfahrt GmbH)を設立しました。

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その際、エア・ベルリンの支援を受けたことから、現在ではエア・ベルリンの傘下に入っています。しかし、このバイタリティには頭が下がりますね。

話をオーストリア航空に戻すと、同社も拡大路線をまっしぐら。フリートもエアバス系が増えて、充実してきました。

1998年頃のフリートは、以下の通りになっています。

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-Fokker70:6機
-MD-87:5機
-MD-81:2機
-MD-82:6機
-MD-83:2機
-A320:5機(3機は発注中)
-A321:7機(4機は発注中)
-A310-300:4機
-A330-200:4機(全機、発注中)
-A340-200:2機
-A340-300:2機(1機は発注中)

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新しいところでは、近距離路線用にオランダのフォッカー社製小型ジェット機Fokker70が導入されたことでしょうか。

後日、胴体を延長したFokker100も導入されており、現在でも短距離路線を中心に運用されています。なお、オーストリア航空では、フォッカー社のターボプロップ機Fokker 50も使用していましたが、こちらは1996年に引退しています。

さて、日本線に投入されたA310-300型は最終的に4機が導入されましたが、さすがに小型すぎたのか、1995年にエアバスA340-200型を新規に導入しています。ちなみにA310-300型は2004年に全機退役しました。

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A340-200型からは、当時、主流になりつつあった2クラス(C:36席、Y:227席)に変更されています。さらに胴体を延長したA340-300型の導入が1997年から始まりました。こちらも2クラス(C:30席、Y:261席)で、いずれも長距離路線での運行を目的とした機材です。

A340シリーズは、ワイドボディ機としては、数少ない4発で、その姿が、昔のB707やDC-8を彷彿させるため、ファンが多かった機材です。

同社では、さらに1998年からは、A340型の姉妹機に当たる双発のA330-200型の導入を開始しました(右の写真がA330型です)。

当初、エアバス社は、4発機のA340型を長距離路線向け、双発機のA330型を中短距離路線向けと位置付けていましたが、その後、改良などによりA330も長距離路線に就航できるようになりました。

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A340型は日本線に投入されていたので、ご利用になった方も多いのではないでしょうか。日本線は、原則としてA340型が投入されていましたが、希に関空線を中心にA330型が入ることもあったようです。

A330型は新しい機材だったのですが、同社ではA340とともに、2007年7月に全機、退役させています。

余談になりますが、アメリカの同時多発テロ発生前は、状況が許せば飛行中に操縦席を見学することが可能でした。

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好き者のFeriも、何回か操縦席におじゃましたことがありますが、その時、オーストリア航空のパイロットが、“A340が速度が遅いので、747などに抜かれてしまうからね”と言っていたのが印象的でした。

距離が短い路線の場合、巡航速度はあまり影響がありませんが、10000km近い路線になると、速度差は到着時間の差につながります。そういった背景もあって、巡航速度が速く、燃費の良いB777-200ERに機材を更新したようです。

短距離路線用も、当時、ヨーロッパではポピュラーな存在だったアメリカ・ダグラス社製のDC-9シリーズから、A320やA321といったエアバスの新造機に切り替えています。

オーストリア航空では、2004年からエアバスの単通路型では最も小型のA319型も導入しており、ラウダ航空を吸収する前、オーストリア航空がエアバス系に機材を統一しようという意図が感じられます。

まさか、後年、オーストリア航空の受け皿会社(運航担当会社)になるとは予想もしていなかったチロリアン航空も、ヨーロッパ内への路線の拡大にともなって機材が増えています。

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-DHC-8-100:6機
-DHC-8-300:16機(2機発注中)
-DHC-7:1機
-CRJ200LR:8機(2機発注中)
-DHC-8-400:5機発注中
-Fokker70:5機

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ターボプロップ機からスタートしたチロリアン航空ですが、ボンバルディア製の小型ジェット機CRJ200LRとFokker70を導入しています。また、その後、主力となるDHC-8-400も導入準備が進められていました。

CRJは日本国内でも地方路線で使用されているので、搭乗された方もいらっしゃるかもしれませんが、オーストリアではヨーロッパ内とは言え、機内食サービスも行われる国際線に投入されていたのですから、驚きです。

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Feriも、その昔、ウィーンーアムステルダム線で搭乗したことがありますが、こぢんまりとしていて良かったですね。

チロリアン航空については、コミューターえらラインであるところから、エアバス系を導入していないのが、興味深いところです。

これらの機材は、DHC-8-100とDHC-7を除いて、最終的にオーストリア航空のフリートに加わることになります。

独自路線を歩んでいたチロリアン航空ですが、オーストリアの航空再編の影響を受けて、1998年、オーストリア航空の傘下に加わます。

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さらに、2003年にオーストリア航空のブランド力強化の一環として、同社の機体と同じブランドのオーストリアン・アローズ(Austrian arrows)という商標・塗装を使用するようになりました。

会社としてのチロリアン航空は残っていますが、同社独自の塗装を施した機材は姿を消すことになります。Feriは、以前のチロリアン航空塗装に機材は好きだったのですがね‥

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ところで、航空会社が経営再建の際、コミューターエアラインを、運航の受け皿会社にする理由は、乗務員の賃金を安い水準に合わせるためです。人件費削減の「裏技」と言って良いでしょう。

そのため、乗務員からは不満が続出し、ストライキがしばしば行われていました。

またまた長くなってしまったので、最終回は、明日、お伝えしましょう。

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