« 「Die Zirkusprinzessin」(サーカス妃殿下)Premiereレポート(2) | Main | ÖBB「Nightjet」発進 ダイヤ改正レポート »

December 12, 2016

「Die Zirkusprinzessin」(サーカス妃殿下)Premiereレポート(3)

Img_2016_12_0527

本編に入る前に12月11日の様子をお伝えしましょう。10日の土曜日は、気温も高く穏やかな1日でしたが、11日の日曜日は、一転、風が強い1日となりました。

それでもクリスマス市には、大勢のお客さまが来場していました。商売繁盛‥と言うところでしょうか。気温は、さほど低いわけではないのですが、風の関係で体感温度が低いような気がします。

寒くなるとPunschやGlühweinが美味しく感じますね。アドベントも3週目になり、教会のリースには3本目のろうそくが灯りました。

この日、こちらのカトリック教会では「Fest des Lichtes」というミサが行われました。

教会によって式次第は異なるようですが、基本的に子供さんを中心としたミサで、通常のパイプオルガンによる伴奏はなく、ギター伴奏で聖歌を歌うところが多いようです。

Img_2016_12_0438

また、鉄道ファンの方にとっては、ÖBBのダイヤ改正が気になるかもしれません。昨年は、優等列車が全面的にHauptbahnhofへ移行した記念すべきダイヤ改正でしたが、今年は小規模なものに留まっています。

この話題についても、後日、改めてお伝えする予定です。

さて、「Die Zirkusprinzessin」(サーカス妃殿下)Premiereレポート第3回は、出演者の仕上がりや、関連するトリビア情報です。

○歌手の皆さんの仕上がりは‥
まず、Feriの独断と偏見で出演者の仕上がりをご紹介しましょう。Feriは、基本的に今回の出演メンバーはお気に入りの人が多いのですが、キャスティングが良かった気がします。

まず、Mister XのCarsten Süssさんですが、最近、出演したオペレッタ作品の中では、最も良い仕上がりになっていたと思います。

2016_11_28_khp1_zirkus_bp_580_press

ご本人の気合いが十分に伝わってきました。特に、1幕で自分の身を振り返り歌う場面などは見事でした。実際、お客さまの反応も上々。

「伯爵令嬢マリッツア」のタシロよりも、仕上がりは上といった感じでした。セカンドクルーには、Szabolcs Bricknerさんが予定されています。

一方、お相手でタイトルロールの「サーカス妃殿下」ことフェードラ・パリンスカのAstrid Kesslerさんも、「伯爵令嬢マリッツア」のタイトルロールを歌っているので、カールマンものには慣れていると思います。

マリッツアの時にも感じたのですが、声はあまりきれいな方ではないようです。ただ、声は出ており、歌、お芝居ともに期待通りの仕上がりで、雰囲気も合っていたと思います。

マリッツアの時は、華やかさが弱いのが気になりましたが、本作品では役柄の設定もあって、その点は、あまり気になりませんでした。

こちらのセカンドクルーは同じく「伯爵令嬢マリッア」のタイトルロールを歌っているUrsula Pfiznerさん。甲乙付けがたいだけに、セカンドクルーも聴いてみたい気がします。

余談ですが、Astrid KesslerさんとCarsten Süssさんのコンビは、2014年3月22日の「伯爵令嬢マリッツア」のPremiereで、マリッツアとタシロという形で実現しています。同じコンビで別作品のPremiereで主役というのも珍しい気がします。

トニを演じたブッフォのOtto Jausさんは、今回がハウスデビュー(Hausdebüt)です。

ウィーン出身の方で、ウィーン少年合唱団に入団し、その後、キャバレーにも出演しています。経歴を見ると多才な方であることがわかります。

2016_11_28_khp1_zirkus_bp_1195_pres

興味深いのは、フォルクスオーパーに出演する前、2014年にミュンヘン(Münchner Gärtnerplatztheater)で上演された本作品に、同じ役で起用されていることです。

そのため、役に慣れているのか、軽い身のこなしで、踊りは素晴らしいものがあります。

歌は、今後、レベルアップが必要だと感じるところもありましたが、ダンサーと踊る場面でも見事でした。これだけ派手に踊って息が上がらず歌えるのですから、たいしたものです。

今後、期待できますね。セカンドクルーには、「チャールダーシュの女王」のボニで素晴らしい演技を見せてくれているMichael Havlicekさんの起用が予定されています。さて、先輩と後輩の対決。どちらの仕上がりが良いでしょうか。

一方、メイベルを演じたスプレッドのJuliette Khalilさんは、「白馬亭にて」で見事なクレールヒェンを演じているだけに、この手の役はお手のものです。Feri、お気に入りのスプレッドの一人。

小柄でかわいらしい感じが、マーベルにピッタリ。Otto Jausさんに振り回される場面入っているなど、スプレッドの面目躍如です。Premiereでは、唯一、客席から花束が投げ込まれました。花束を投げ込みたくなる気持ちがわかります。

Img_2016_12_0437

なお、セカンドクルーにはElisabeth Schwarzさんが予定されていますが、彼女は「伯爵令嬢マリッア」のリーサに起用されているので、こちらも楽しみです。

本作品では、ヒール役になるセルギウス・ウラジミール公のKurt Schreibmayerさん。ただ、元々「良いおじさま」という感じがにじみ出ているので、憎たらしいヒール役になりきれません。

しかし、物語全体を通して見ると、フェードラに思いを寄せているものの、本当はフェードラの幸せを心から願っているような感じがします。

そのため、一芝居打って、フェードラに自分の気持ちに素直になるように仕向けたような気がしてきました(これはFeri、独自の解釈です)。

ある意味、フェリ・バチやポプレス公爵と一脈通じる役柄のような気がしました。とくにフィナーレで二人が結ばれるのを祝福する場面を見て、ほっとするのはFeriだけではないかもしれません。

カール大公ホテルのオーナーであるカルラ・シュタインベルガーには、大物のElisabeth Flechlさんが起用されました。

3幕のちょい役なのに、よく引っ張り出してきたなというのが、正直な感想。しかし、ベテランだけに存在感は抜群。ペリカンのRobert Meyerさんとの掛け合いは、見事です。

Img_2016_12_0436

唯一、歌を披露するのが3幕の前半。ここはなかなか聴かせます。ここで歌があるため、役者さんではなく、ソリストを起用したのでしょう。

同じく3幕だけの出番であるペリカンのRobert Meyerさんは、キャラが濃いため、正直、何をやっても同じに見えてしまいます。

今回のペリカンは、「伯爵令嬢マリッア」のペニチェク、「メリーウィドウ」のニグシュをごちゃ混ぜにしたような感じ。ただ、3幕は、ハッピーエンドに向けてお芝居が多いだけに舞台は締まりますね。

こちらも余談になりますが、2014年にミュンヘンで上演された本作品に、Robert Meyerさんもペリカンとして出演していました。他劇場で先にペリカンを演じていたとは‥

ちなみにミュンヘン公演でのミスターXはフォルクスオーパーでもおなじみのDaniel Prohaskaさん、フェードラにはAlexandra Reinprechtさん(2011年5月、現演出の「メリーウィドウ」のPremiereでハンナに起用された方)、カルラ・シュタインベルガーにはSigrid Hauserさんが起用されていたようです(彼女は適役でしょうね)。

このように見ると、ミュンヘンのGärtnerplatz Theaterは意外とフォルクスオーパーと関係が深いようです。

すでにミュンヘンでは上演していませんが、劇場のホームページに記録が残っていました。演出もなかなか楽しそうですね。

このほか、サーカスの団長スタニラフスキーのGerhard Ernstさん、セルギウス公に使えるGraf SaskusinのNicolaus Haggさん、Baron Peter Brusowsky, Adjutant des PrinzenのGeorg Wacksさんといった脇役陣が良い演技を見せてくれました。

フォルクスオーパーではPremiereの際に、開演前に飲食物の振る舞いや、終演後にお土産のプレゼントがあるケースが多いのですが、今回は、どちらもありませんでした。

20161209_x201_00001

○本作品は荒唐無稽なお話なのか‥
ところで、「貴族とサーカス団の曲技師の恋」というと非現実的な話のように感じますが、実は、当時、没落しつつある貴族が、莫大な相続遺産を維持するため、サーカスをはじめとする娯楽産業に参入したという事実があります。ここで、現在の「サーカスのひな形」が誕生したと言われています。

そんな中で、貴族の中にはサーカスの花形団員(特に曲馬師)に恋心を抱き、実際に結婚した例があるそうです(男女が逆転しているケースも含めて‥)。

ただ、身分違いの恋いということで、このオペレッタのように成就しなかったケースも多いとか‥そう考えると、決して、荒唐無稽なお話ではない訳です。

○カールマン作品の分岐点
ところで、カールマンの作品ですが「伯爵令嬢マリッア」までは、舞台にハンガリーが入っているケースが多かったですが、本作品でハンガリーを離れてロシアが舞台になりました。まぁ、フィナーレはウィーンですが‥

ある意味、カールマンは、オペレッタの背景を、自分の出身地である必ずしもハンガリーにする必要はないと証明したかったのかもしれません。

なお、楽器にバンジョーが入っているなど、すでに演奏がアメリカ風の味付けになっている点も注目したいところです。

Img_2016_12_0409

ちなみ同世代のオペレッタ作曲家であるレハールが「ロシアの皇太子」を初演したのは、本作品の1年後のことでした。このあたりから、オペレッタの舞台も大きく変わってきたと言えるでしょう。

ところで、最近、フォルクスオーパーではPremiereに合わせてホワイエに、過去の作品写真などを展示するのですが、今回も当日に「ホフマン物語」から「サーカス妃殿下」に展示が変わりました。

ただ、今回は過去の詳細な公演記録は掲載されず、概略だけだったのが、ちょっと残念。

紹介されていたのは1963年版、1988年版、1990年版でした。1990年版は1993/1994シーズンまで上演されていたようで、通算上演回数は33回のようです。

ちなみに、演出はRobert Herzlさんで、Premiereの指揮はRudolf Biblさん、フェードラはUlrike Seinskyさん、ミスターXはLaurenz Vinzenzさん、セルギウス公はPeter Minichさん、ミス・マーベルはElisabeth Kalesさん、トニはFranz Waechterさん、カルラ・シュタインベルガーにFritzi Pragerさん、ペリカンはRudolf Wasserlofさんと記載されていました。

なかなか良い歌役者さんを起用しているだけに、正直、観たかったところです。

最初にもご紹介したように「オペレッタらしいオペレッタ」に仕上がっている上に、お話も比較的単純なので、どなたでも楽しめる作品だと思います。

オペレッタファン以外の皆さまにもお勧めできる作品です。是非、フォルクスオーパーに足を運んで、ご覧になってください。軽快なメロディが耳に残り、きっと楽しい一夜を過ごすことができることでしょう。

最後に、今シーズンはグラーツ歌劇場でも「Die Zirkusprinzessin」の上演が予定されています。個性的なグラーツ歌劇場だけに、どんな演出にしてくるか興味がありますね。

こちらは2017年2月11日がPremiereの予定になっています。ただ、Feriがレポートできるかどうかはわかりませんが‥

※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります delicious

Br_decobanner_201105_v_02

オペレッタ |

« 「Die Zirkusprinzessin」(サーカス妃殿下)Premiereレポート(2) | Main | ÖBB「Nightjet」発進 ダイヤ改正レポート »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 「Die Zirkusprinzessin」(サーカス妃殿下)Premiereレポート(2) | Main | ÖBB「Nightjet」発進 ダイヤ改正レポート »