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December 10, 2016

「Die Zirkusprinzessin」(サーカス妃殿下)Premiereレポート(1)

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2016/17シーズンのフォルクスオーパーではオペレッタの新演出上演は2作品。一つ目は意表を突いた作品、Ralph Benatzky作曲の「Axel an der Himmelstür」(アクセル、天国の扉の前で)でした。

大変、楽しい作品に仕上がっていましたが、いわゆる通常のオペレッタとは位置づけが違うため、Feriも戸惑った1人です。

そして、2作品目はカールマンの「Die Zirkusprinzessin」(サーカス妃殿下)です。

ところで、Feriが頭を悩ましたのは、邦題。カールマンの作品には作品名に「貴族の称号」が頻繁に登場します。本作品は「サーカスの女王」、「サーカス妃殿下」、「サーカスの王女」などの邦題が見られます。

ちなみに本作品は英語の場合、「The Circus Princess」と表現されるのが一般的。直訳すると「サーカス姫」になってしまう訳ですが、どうもニュアンスが違うようなので、Feriは「サーカス妃殿下」を使うことにしました。

まず、今回の指揮はAlfred Eschwéさん。肩に力が入らない指揮ぶりが好きです。また安定感は抜群ですね。
制作スタッフは、以下のとおりです。

-演出:Thomas Enzingerさん

-舞台装置:Peter Notz さん(Sam Madwarさんのアイデアによる)

-衣装:Sven Bindseilさん

-振付:Bohdana Szivaczさん

-照明:Sabine Wiesenbauerさん

-合唱指揮:Holger Kristen さん

左の写真は、Premiere恒例となっているカーテンコールに登場した制作スタッフ。今回は制作スタッフに対するブーイングはなかったようです。

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そして、主な出演者は、以下のとおりです。

-Fürstin Fedora Palinska(フェードラ・パリンスカ):Astrid Kesslerさん

-Prinz Sergius Wladimir(ゼルギウス・ウラジミール公):Kurt Schreibmayerさん

-Graf Saskusin;Nicolaus Haggさん

-Baron Peter Brusowsky, Adjutant des Prinzen:Georg Wacksさん

-Direktor Stanislawski(サーカスの団長スタニラフスキー):Gerhard Ernstさん

-Mister X(サーカスの花形曲馬師):Carsten Süssさん

-Miss Mabel Gibson(メイベル・ギブソン、女性曲芸師):Juliette Khalilさん

-Carla Schlumberger(カルラ・シュタインベルガー、カール大公ホテルのオーナー):Elisabeth Flechlさん

-Toni Schlumberger(トニ、カルラの息子):Otto Jausさん

-Pelikan, Oberkellner(ペリカン、ホテルの老給仕長):Robert Meyerさん

-Ein Bolschewik / Ein Gast:Maximilian Klakowさん

-Barpianist(舞台上にピアニスト):George Freboldさん

-Akrobaten(曲芸師):Duo Aquarius

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出演者をご覧になるとわかるように、プレミアに出演した主役は、お二人ともフォルクスオーパーで上演されているカールマン作品に出演している方。

ある意味、カールマンの作品になれている方を起用した盤石な体制と言って良いでしょう。

なお、今回、フォルクスオーパーのRobert Meyerさんに舞台写真について、ご相談したところ、日本のファンの皆さまへ同劇場の作品を日本語で紹介するという趣旨にご賛同いただき、広報用の公式写真の使用が許可されました。

そこで、今回、上演中の舞台については、劇場提供の公式写真でご紹介することにします(公式写真なので、クレジットを入れています)。

また、公式写真なので、セカンドクルーが出演している写真もあります。その点は、ご了承ください。

では、全体的なFeriの感想から。

○「オペレッタらしいオペレッタ」
プレミアを観た感想を一言で表現すれば、久しぶりに観た「オペレッタらしいオペレッタ」です。何しろ「マイクアシストなしのオペレッタ」というのが嬉しい限り。

もちろん、「白馬亭にて」のようにマイクのアシストの有無と作品の楽しさは別なのは、理解していますが、やはり本来のオペレッタ歌手が、マイクアシストなしでアリアを歌うのは痺れます。

また、カールマンの作品らしく、しっかりとしたソロパートのアリア、甘いメロディのデュエット、大人数の合唱団による迫力あるコーラス、舞台に華を添える華麗なバレエ、そして心躍る演奏などなど‥

正に「オペレッタの王道」である三位一体となった作品です。そしてテーマは、オペレッタ定番の「身分違いの恋い」。それも二組。

本作品は「伯爵令嬢マリッツア」の2年後に初演された作品なので、雰囲気は似ていますが、舞台がロシアなのでカールマンの特長であるハンガリー色がありません。

しかし、曲を聴いただけでカールマンの作品とわかるほど、個性(カールマンのメロディ)が前面に出ています。

なお、本作品の翌年には、以前、フォルクスオーパーでも上演された「シカゴの侯爵夫人」が初演されています。

時代設定については、最近のフォルクスオーパーでは、オリジナルと変えてくるケースがありますが、今回は、ほぼオリジナルの設定でした。


○工夫を凝らした舞台装置
フォルクスオーパーの場合、諸般の事情から舞台装置を簡素化する傾向があります。

もちろん、簡素化しても雰囲気が出ていれば良い訳ですが、今回、舞台両側にある舞台装置は1幕から3幕まで同じ。ただ、照明や電飾で雰囲気を変えていました。

舞台奥については、吊し物を上手に使っていました。両側の舞台装置をつなぐブリッジが一つのポイントかもしれません。

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○衣装
衣装については、当時に雰囲気を感じさせるもので、雰囲気が出ていました。サーカス団の衣装については、かなり突飛なデザインもありますが、まぁ、サーカスの芸人さんなので良しとしましょう。

2幕では屋外の場面があるのですが、寒いロシアらしく白い分厚いコートが印象的です。

また、サーカス団員の中には特殊メイクをしている人もいましたが、違和感は少なかったような気がします。

それでは、例によって「あらすじ」に沿って、新演出の見どころをご紹介しましょう。カールマンらしい印象に残るメロディの繰り返しも多いのも特長です。

Feriお気に入りのカールマン作品だけに、例によって長くなりそうですが(笑)。

○第1幕
今回、演奏が始まる前から、緞帳の前でサーカス団員がウォーミングアップをしています。ミュージカル作品の「キス・ミー・ケイト」を思わせる演出です。

軽快な前奏曲が終わり幕が上がると、そこはサンクト・ペテルブルクのスタニスラフスキー・サーカス。

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ただし、華やかさはなく、建物は朽ちかけています。そこを訪れたスタニスラフスキー団長は、警備をしている守衛の問いかけに応える形で、輝かしい過去を振り返るのでした。このサーカス最大のアトラクションは、伝説的な曲馬師ミスターX‥

ここで、舞台は一気に華やかなミスターXが現役だった頃のサーカス小屋になります。

ただ、本作品は、他の劇場での上演例と同じく、1幕のサーカス小屋は、全て客席側ではなく、バックステージという設定です。

ステージに登場する順番を待つ団員が、バックステージでウォーミングアップをしている、贔屓筋がバックステージを訪ねてくる‥という展開です。ちなみに2枚の舞台写真は、1幕前半です。

サーカスの第一部が終わり、休憩時間。お客さまも休憩時間を楽しんでいる中、サーカスの芸人が飛び交っています。なお、客席通路にも芸人さんが登場します。

そこへやってきたのはミスターXをお目当てにしている富裕で気位の高い侯爵未亡人のフェードラ・パリンスカ。ここは「登場のアリア」が聴きどころです。

裕福な未亡人なので、「メリーウィドウ」のハンナと同じく、色々な男が言い寄ってきますが、彼女にとって魅力ある男性はいません。

実は、ロシア皇帝は、フェードラの資産が海外へ流出するのを防ぐため、彼女の再婚を要望しているのです。「メリーウィドウ」を彷彿させる展開ですね。

客席に移動したフェードラと入れ替わりにセルギウス公が副官を連れてやってきます。

彼はフェードラに思いを寄せているのですが、彼女からは色よい返事はもらえません。今日はサーカス小屋まで追ってきたのに、満席で客席に入れない事態に‥

満席の原因は、ウィーンからやってきた若いトニが客席を買い占めているためでした。そこで、副官をトニの元へつかわして、席を譲ってくれるように「上から目線」で要求します。

実は、トニのお目当ては女性曲芸師のメイベル・ギブソンなので、セルギウス公に席を譲ります。

セルギウス公に向かってトニは、ウィーンのカール大公の息子であると自己紹介。実は「カール大公」という名のホテルを経営するオーナーの息子なのですが、セルギウス公は、正真正銘の「貴族(カール大公)の子息」と知り合ったと思い込むのでした。オペレッタらしい展開ですね。

良い席を確保してフェードラを誘うことができるようになったセルギウス公はご機嫌。

一方、トニの前にお目当てのメイベル・ギブソンが現れます(メイベルはオリジナルでは女性曲馬師ですが、今回の演出ではローラースケートを履いて登場します)。

アメリカ娘のような名前の彼女に対し、トニはつたない英語でアタック。ここが楽しい場面です。ところが、イベル・ギブソンという名前は芸名で、彼女は、実はウィーン子であることがわかり、二人は一気に良い雰囲気になります。

踊りながら歌うデュエット「Wo ist Der Hinnel so blau wie in Wien」はブッフォとスプレッドの本領発揮です。トニが調子に乗ってメイベルにアタックをしますが、ピシャリと断られてしまいます。

場面はミスターXの楽屋に転換します。この場面では半透明ミラーの吊し物を使い、楽屋の雰囲気を出しています。

ミスターXが「Es ist noch Zeit」を歌います。実はミスターXは、フェージャ・パリンスキーと言い、かつてパリンスキー伯爵の婚約者フェージャに思いを寄せていると告白したため、侯爵から相続権を剥奪され、士官の道もあきらめ、数奇な運命を経てサーカスの騎手になったのです。

フェードラは、もちろん、ミスターXがフェージャであることは知りません。雰囲気としては、身分を隠してマリッツアの農園で働くタシロが歌うアリアに似ています。

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このような背景を踏まえて歌うアリアが「Zwei Märchenaugen」(あの夢物語のような二つの瞳)。一気に盛り上がる場面です。

そこへフェードラがお付きと一緒にやってきます。取り巻きが、覆面をとることを要求しますが、ミスターXは自分の身分がフェージャに知れることを恐れて断固、拒否。

しかし、フェードラは取り巻きを追い払い、二人だけになります。そして、ミスターXが彼女への思い込めて「Ich libe Sie!」(デュエット)を歌います。

本演出では、この時、フェードラがマジックミラーの向こう側に移動して、歌う展開です。最後にマジックミラーが上がり、二人が寄り添って歌います。

場面は、再びバックステージへ。トニがサーカスの可愛い子さんたちを連れて登場。「Dir kleinen Mäbel sim Trikot」を、バレエ団のメンバーと一緒に踊りながら歌う、ブッフォとしての本領を発揮する場面。

ここではちょっとした仕掛けがあるので、ご注目。左の写真が、踊り終わった場面です。

ミスターXがサーカスの舞台で演技をする場面は、ありませんが、団長が口上を述べて演技がスタートするという設定になっています。さて、団長はどこで口上を述べるのでしょうか。これは見てのお楽しみ。

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セルギウス公が用意したサーカスのロジェ席への招待を受け入れたフェードラ。ここでセルギウス公は、再度、彼女にプロポーズをしますが、“貴女より曲馬師の方がましよ”と冷たく断られてしまします。

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そこへミスターXが演技を終えて、バックステージに戻ってきます。自分に冷たいフェードラへの復讐を考えたセルギウス公は、ミスターXに接近。

セルギウス公は、ミスターXに“君をコロソフ公という貴族としてフェードラに紹介しよう”と持ちかけます。

フェードラに運命を左右されながら、今も彼女を愛しているミスターXは、差し当たり、この計略に乗ることにします。

セルギウス公は、サーカスの公演がはねた後、バックステージでパーティを催します。

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ここは、ソリスト、合唱団、バレエ団、さらにステージ上にサーカス楽団(実際に演奏しています)が登場するなど、出演者全員参加というフォルクスオーパーオペレッタらしい華やかな展開です。

左の写真は、打ち上げパーティの一場面。団員に囲まれてご機嫌のセルギウス公。華やかなパーティの雰囲気が伝わってくると思います。

そして、この時、本物のアクロバットが舞台中央で行われます。天井から吊り下げられた布に上った曲芸師さん2名が、華麗な技を披露します。正にサーカスの場面。大サービスですね(左の写真が、その場面です)。

盛り上がっている中、ミスターXが登場しますが、これは代役。そして、さっそうと奥から偽コロソフ公が登場し、セルギウス公がフェードラに紹介します。

当たり前ですが、フェードラに態度は、曲馬師ミスターXに対するものとは違っています。このあたり、身分や格式が色濃い貴族社会の習わしが反映しているようです。

1幕のフィナーレは、非常に華やかで、見事な展開です。

ここで、2幕へと暗転で場面が変わります。

2幕からは、明日、お届けします。

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