変わったお店シリーズ128 小さな街のChina-Restaurant
今日は変わったお店シリーズの一つとして「あるレストランの話題」をお届けしましょう。
日本では、ラーメンをはじめとする「独自の進化を遂げた中華料理」があるため、日本全国で中華レストラン(ラーメン店を含む)を見ることができますよね。
また、日本は「海外発祥の料理」が「家庭料理」として定着している「希有な国」なので、中華料理は、ある意味、日本人にとってポピュラーな料理の一つになっていると思います。
さて、オーストリアはどうでしょうか? 当たり前ですが、普通の「オーストリア人の家庭」では、中華料理が家庭料理として入り込んでいるケースはないようです。
しかし、中華料理店は比較的多く見かけます。日本食をはじめとするアジア料理全般を扱っているも「なんちゃって系の中華レストラン」もありますが、いわゆる本格的な中華レストランも多数、展開しています。
一般的に中国系の方が多く集まる都市に本格的な中華レストランが店を構えるというのは、理にかなっていると思うのですが、今日ご紹介するのは、そういったケースではありません。
今から30年ほど前、始めてザルツブルク州のイタリア側にあるLungau地方を訪ねた時のことです。
この地域には大きな街は少なく、小さな街が点在しています。その中でも、行政機関や学校などが集まる比較的大きな街がTamswegです。
「比較的大きな街」と言っても、これは周囲の街と比べれば‥という話で、実際には典型的なオーストリアの地方で見かける「小さな街」です。
観光で訪問する人は、隣接するイタリア人やドイツ人が多く、Feriのようなアジア系の人はほとんど見かけません。
当然、地方の小さな街で、大きな企業がないため、住んでいる人の大多数はオーストリア人です。
そんな中、始めて訪問した時に見つけてビックリしたのが、立派な中華レストランです。
写真のようにオーストリア風の建物の1階に入っており、屋号は「China-Restaurant MANDARIN」。ごていねいに「呂家園」という漢字の表記も‥
さすがにLungauまでやってきて、中華料理はないだろう‥という感じなので、利用することはありませんが、興味があったので、店頭に出ているMenüを見てみました。
すると日本人にも馴染みがある本格的な中華料理の名前が並んでいるではありませんか。つまり、「なんちゃって系」ではない本格的な中華レストランだったのです。
この付近に中国系の人が多く住むコミュニティや企業は存在しないので、恐らく利用者は地元のオーストリア人だろうと思われます。場所は、街の中心部にある広場の裏側で、人通りは決して多くはありません。近くには行政機関の事務所は警察署、学校はありますが‥
営業時間は、11時30分から14時30分、17時00分から23時00分までの2部制です。
30年前、初めて見たときは、正直、Feriは“場所柄、経営が厳しそうだな”と感じたのですが、何と、その後、30年間、閉店することなく、営業を続けているのです。
なお、建物の1階総てがレストランになっている訳ではなく、左側は別の店舗になっていますが、こちらは何回か、業態が変わっています。
利用したことがないので、オーナーシェフの方は存じませんが、Festの際などに、毎回、同じ中国系のご家族を見かけることがあるので、恐らく、このご家族が経営していると思われます。
Tamswegにあるレストランは、いわゆるオーストリア料理を中心としたレストランと、ピザ屋が中心。それ以外では、伝統的なベッカライやカフェはありますが、この中で「China-Restaurant MANDARIN」は異色の存在です。
観光客が多数集まるザルツカンマーグートならば、中華レストランでも十分採算が取れると思いますが、Lungauではねぇ‥
何か別に本業があって、その収入で生活を維持していて、このレストランは趣味で経営している‥というのならばわかるのですが、本当に不思議なお店です。
夏はシャニガルテンも開設していますが、地元の人で大賑わい‥という場面を見たことがありません。もちろん、休業している訳ではなく、基本的にいつも営業中です。
30年間、毎年Tamswegを訪れていると、廃業したお店、業態転換したお店も多数、存在します。
そんな中で、「こっそり、ひっそり、目立たずに」慎ましく営業している、この中華レストラン。本当に不思議な存在であると同時に、なぜ、どういう経緯で、この街で中華レストランを営業しようと考えたのかをオーナーさんのお伺いしたいところです。
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