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August 28, 2017

Zahnradbergbahnen in Österreich(その1)

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日本では、今年から8月11日が「山の日」の祝日になりました。

鉄道関連では、箱根登山鉄道や叡電など6社が参加している「全国登山鉄道‰(パーミル)会」が、「山の日」に合わせてグッズ販売などを行ったというニュースを耳にしました。

パーミルという単位は、一般の方には馴染みがありませんが、鉄道ファンの方はご存じのように千分率のこと。つまり、1000メートル進むと、何メートル昇降するかを表します。

パーミル会に所属する鉄道会社の中では、箱根登山鉄道が最急勾配80‰、一部区間に歯車を使うアプト式を採用している大井川鐵道が90‰です。

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さて、山岳国であるオーストリアには、現在、歯車式の登山鉄道が3箇所存在します。いずれも蒸気機関車が運行されているのが特徴で、今回は、この登山鉄道をご紹介することにしましょう。

Achenseebahn
最初はチロル州にある登山鉄道です。このブログでは、チロル州の話題はほとんど取り上げていませんが、実は、Feriが最初にオーストリアを訪問したとき、はまっていたのがチロルでした。

魅力的な鉄道が多かったこと、その理由ですが、何回か、訪問するうちに、お気に入りの街が増えてきて、毎年、夏には通っていたものです。ただ、オペレッタにはまってからは、ご無沙汰になっていますが‥

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さて、チロル州の州都Innsbruckにほど近いJenbach(標高560メートル)と高原の湖Achensee(駅名はSeespitz am Achensee、標高931メートル)を結ぶ、全長6.8kmの鉄道がAchenseebahnです。

軌間1000mmの狭軌鉄道で、最急勾配は160‰です。ラックシステムは、今回、ご紹介する鉄道の中では、唯一リッゲンバッハ式(Rigenbach)式を採用しています。

リッゲンバッハ式は、線路中央に敷設されているラックレールが「はしご型」になっているのが特徴で、スイスの技士ニクラウス・リッゲンバッハ氏により考案されました。

機関車を使った登山鉄道の場合、連結器破損によるリスクを軽減するため、山麓側に連列された機関車が、山頂側の客車を押し上げるスタイルです。Achenseebahnでは、通常、客車2両を押し上げます。

また、歯車式登山鉄道の場合、勾配がきついため、勾配区間でも蒸気機関車のボイラーを水平に保つため、斜めになっているのが特徴です。

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Achenseebahnの面白いところは、最も標高が高いところは終点ではなく、途中のEbenという駅です(標高970メートル)。つまり、Ebenから先は下り坂になる訳です。そのため、歯車式登山鉄道では珍しく、Ebenで機関車が列車の先頭に付け替えられます。

また、この後ご紹介するSchafbergbahn、Schneebergbahnが、終点が山の頂上であるのに対し、Achenseebahnは高原にある湖畔が終点。そのため、途中駅も含めて、登山鉄道ですが、比較的平坦な区間も存在します。

なお、道路が整備された現在では、麓から自動車でも容易に終点のAchenseeにアクセスすることができます。実際、Feriも、Achenseeに宿泊したことがありましたが、この時は、レンタカーで麓から湖畔まで登っていきました。

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さて、Achenseebahnですが、地元の皆さんが、産業振興を目的に建設を計画したもので、1889年6月8日に開業しました。今では観光鉄道ですが、建設当時はAchensee周辺で産出される木材の輸送も担っていました。

他の登山鉄道が、一時期、ÖBBの傘下に入っていたのに対し、Achenseebahnは終始、民間資金により運行されている点も特出すべき点です。このあたり、チロルの気風が反映されているのかもしれません。

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左右の写真は、始発駅であるJenbachです。左側は1996年当時のものなので、のどかな雰囲気になっていますが、現在は、近代的な駅設備に更新されているようです。

使用されている蒸気機関車は、1889年から1896年にかけて、ウィーンのLokomotivfabrik Floridsdorfで4台が製造されました。

しかし、4号機については、第2次世界大戦後、スペアパーツを確保するため、廃車になり、Feriが通っていた1990年代は、3台で運行されていました。

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機関車の運転台側面には、製造所の銘板に加えて、ラックシステムである「SYSTEM RIGGENBACH」の銘板も付けられています。

製造後、100年以上が経過しているため、老朽化が進み、ボイラーをはじめとする部品の交換も行われています。ただ、他の鉄道が機関車の置き換えを行ったのに対し、Achenseebahnは、現在も開業当時の蒸気機関車を使い続けています。

しかし、2008年、麓のJenbachにある機関庫で火災が発生し、1号機が被災してしまいました。

その後、ボイラーの更新を含む本格的な修復工事が行われ、現在では現役に復帰しています。

また、戦後、部品供給用として現役から引退していた4号機も、残っていた部品を活用して動態復帰を果たし、現在は、4台体制になっています。

また、各機関車には愛称が付けられていますが、現在は、下記のようになっています。

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-1号機:EBEN
-2 号機:JENBACH
-3 号機:ACHENKIRCH
-4号機:HANNAH

現存する3つの登山鉄道の中では、最急勾配がゆるいこともあり、全区間、ラックシステムを使う訳ではありません。

ÖBBと接続するJenbachは、有名な狭軌鉄道Zillertalbahnの始発駅でもあります。

Zillertalbahnの駅は、Achenseebahnの駅とは反対側にありますが、二つの魅力的な鉄道が発着する鉄道ファンにとっては、楽しいエリアです。

また、Innsbruckに近いこともあり、現在は、観光ルートになっています。

最初のご紹介したように、最近、Feriはチロル地方にご無沙汰で、Achenseebahnを最後に訪問してから30年近くが経過してしまいました。そのため、最近の写真を見ると、駅をはじめとする施設の変化には驚かされます。

ただ、特殊な構造の歯車式蒸気機関車を営業運転用に動態で維持するのは、想像を絶する資金と技術力が必要です。

にもかかわらず、Achenseebahnは、現在でも全列車を蒸気機関車で運行しています。そういう意味では、オーストリアでも希有な存在と言えるでしょう。


© Achenseebahn AG

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