「嵐」の季節
先日、このブログでお伝えしたように、今週末、ウィーンでは「Wiener Weinwandertag」(ワインハイキング)が開催されます。お天気に恵まれると良いのですが…
Wineがお好きな方はご存じのように、11月11日の「Martinstag(聖マルティヌスの日)」に向けて、この時期は新酒の仕込みが佳境を迎えています。
そして、この時期ならではの「お楽しみ」がSTURM。
STURMはドイツ語ですが、本来の意味は「疾風」といったニュアンスです。
このような「発酵途中のぶどうを原料としたアルコール飲料」をドイツでは、Federweißer(フェーダーヴァイザー、白い羽)というおしゃれな名前が一般的だそうです。
発酵途中で、ワイン酵母が残っており、白濁しているため、Federweißerというおしゃれな名前になったとか‥
同様の飲み物は、ワインを生産している地域で作られていますが、名称は様々。ご存じのようにオーストリアではSTURMという名称が一般的です。
この時期になると、ホイリゲやカフェ、レストランなどで「STURM」のポスターを見かけることが増えてきます。
発行途中のぶどうを原料としたアルコール飲料なので、時期によってアルコール分が異なるのがポイントです。
通常、アルコール分が4%程度になると販売が始まるようです(最低でも1%のアルコール分を含んでいます)。なお、ドイツでは白ブドウが原料のものが中心ですが、オーストリアでは赤ブドウの製品も店頭に並んでいます。
発酵途中の「作りかけワイン」なので、アルコール発酵後の酸味と、発酵前の甘味、さらに発酵中のアルコールの泡が加わり、絶妙な味わい。そのため、同じSTURMでも、時期によって微妙に味が違うようです。
STRUMですが、発酵が早く進むため、通常のワインのように長期の保存はできません。
さらに、発酵の過程で、炭酸ガスが発生するため、容器が破裂する危険を避けるためビンのふたは密閉されていません。
そういった「特殊な商品」だったため、以前はワイン生産地でなければ手に入りませんでした。
しかし、最近では冷蔵保存して発酵を遅らせることができるようになったことから、スーパーマーケットの店頭でも見かけるようになりました。
また、冷蔵しているためか、ペットボトル入りの製品も見かけるようになりました。風情はありませんが‥
STRUMは、ブドウの収穫時期によって、出回る時期が決まりますが、オーストリアでは8月中旬から10月まで出回っています。
ただし、法律上では8月1日から12月31日まで販売が許可されています。さすがに12月にSTRUMは見かけませんね。
一方、STRUMと似ていますが、MOST(モスト)という飲料も販売されています。
こちらは、ワイン用に絞ったブドウの果汁なので、年齢制限もなく、誰にも味わえる健康的なザフト(ジュース)です。
ウィーンでは、厳重に品質管理されたウィーン産のブドウのみを使ったものは、「ウィーナー・トラウベ」の名で商標登録されています。アルコールが苦手な方は、MOSTで季節感を味わってはいかがでしょうか。
今週末に行われる「Wiener Weinwandertag」でも、STRUMを飲むことができると思います。
ところで、なぜ、オーストリアではSTRUMという物騒な名前になったのでしょうか。きっと謂われがあるのだと思うのですが、Feriは詳しく存じません。どなたかご教授いただけると幸いです。
余談になりますが、世界で最も多く生産されている果物はブドウだそうです。ただ、その半数以上は、食用ではなく、ワイン生産用だとか‥
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