« 謎のピクトグラム 座らないでください | Main | 発展を続けるCar2go »

January 17, 2018

南チロル問題とは‥

20180107ss00001

昨年末、日本経済新聞に「オーストリア危険な火遊び」という記事が掲載されていたそうです。

「保守・極右政権 南チロル問題に介入」という副題がついていることからわかるとおり、第1次世界大戦後、オーストリアからイタリアに割譲された地域のお話。現在はイタリアのボルツザーノ州になっています。

今回、新政権が「南チロルのドイツ語とラディン語を母国語とする人にオーストリア国籍を与えたらどうか」というプランを持っているというもの。

日本人にはピンとこない話題なのですが、オーストリアの地図をご覧になるとわかるように、現在は、東チロルという飛び地が存在しますが、これは南チロルがオーストリア領だった頃の名残です。

つまり割譲以前は、南チロルは東チロルとつながっており、一つの絵エリアを形成していました。

20180116_x201_00002

そのように考えると、すっきりしますね。Feriは実際に見たことはありませんが、“南チロルをオーストリアへ戻そう”という運動は昔から行われているようで、一時期は、テロ行為のような過激な活動も行われていたという話を耳にしたことがあります。

ただ、“南チロルを忘れるな”ということは、国民の総意になっているようで、その証として、各地に「Südtiroler Platz」が存在します。

その中でも有名なのは、Wien Hauptbahnhof近くあるSüdtiroler Platzでしょう。このような背景を知っていると、Südtiroler Platzという地名を見ると、違った印象を抱くと思います。

オーストリア政府も、第二次世界大戦後、イタリアと交渉を重ねましたが、交渉は難航。

最終的に、イタリア政府は、ドイツ系地域とイタリア系地域を一体の「トレンティーノ」として自治権を認めることで、とりあえずの決着がついています。

Img_2014_12_9530

ところで、北イタリアにMeran(イタリア語ではMerano)という町がありますが、1420年にInnsbruckに首都が移されるまで、チロルの首都でした。

Meranを中心とする南チロルですが、現在でも「行政上の国境」ではなく、「チロル人」という意識が強いと言われています。

Feriが経験したわけではないので、真偽のほどは確かではありませんが、南チロルのホテルでは、イタリア語で話しかけると“満室です”と断られ、ドイツ語で話しかけると“はい、どうぞ”ということがあるとか‥都市伝説の類いのような気もしますが、こんな話が出てくる気持ちも、何となくわかるような気もします。

また、書店の旅行ガイドコーナーでも「南チロルの本」は、国内に展示されているところもあるそうです。

日本の北方領土に近いニュアンスかも知れませんね。ただ、南チロルに対する思い入れは、一般的な日本人の北方領土に対するものよりも、強い気がします。

20180116_x201_00001

余談になりますが、日本にもオーストリア料理を提供するレストランが沢山ありますが、その中に「南チロル料理」を自慢にしている三輪亭(東京都世田谷区)というお店があります。

現在はイタリアに属していることから、イタリア語での表記も多いですが、お料理は南チロル独特のもの。日本オーストリア食文化協会主催のイベントなども行われることから、オーストリアに含まれるようですね。ご主人は南チロルで修行を重ねた方なので、本場の味を楽しめます。

話を元に戻すと、日本で報道された政府の新方針は、何突拍子の無いもののように感じられますが、このような歴史的背景を考えると、さほど、驚くには値しない内容だと思います。

ただ、実際に行うとなると、隣国イタリアとの関係もあるので、そう簡単には話が進まないと思います。ただ、南チロル問題は、オーストリアが抱える領土問題として、これからも忘れられることはないでしょう。

政治的な話題ですが、理屈は別にして南チロルの素朴な生活を御所介したプロモーションビデオをご紹介しましょう。どちらの国に属していてもチロルには違いないことを実感する楽しい内容です。


400×225


※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります

Br_decobanner_201105_b_3

経済・政治・国際, in 旅行・地域, in 街角の話題 |

« 謎のピクトグラム 座らないでください | Main | 発展を続けるCar2go »

Comments

以前ウィーンの郊外電車で乗り合わせたご老人と、その頃ちょうど話題になっていた日本の北方領土のことを話していた流れで、南チロルの話になったことがありました。
オーストリアの人は、南チロルをオーストリア固有の領土と考えているみたいですね。ただ日本の北方領土と違って、軍事や資源の問題が絡んでいないだけ、歴史的な郷愁というか純粋な印象がしました。

Posted by: Hunger | January 21, 2018 23:12

南チロルのことで、知り合いのオーストリア人と先日話をする機会がありました。
南チロルに住んでいるドイツ語話す人達は、たとえばウィーン大学に進学する場合でも、外国人ではなくオーストリア人と同じ条件で進学できるそうです。それ以外にも実質オーストリア国籍を持っている人と同じようにオーストリアでは優遇されていることが、いろいろあるそうです。
第一次世界大戦後にイタリア領になったようですが、第二次世界大戦中は、ヒットラーとムッソリーニの間の駆け引きでかなりこの地域の人達は翻弄されたとも聞きました。
ただ敢えて今になって二重国籍付与とかこの問題を持ち出すのは遅すぎたと言われていました。

Posted by: Hunger | January 26, 2018 16:18

おそらくいま日本で最も有名なイタリア人の一人であるフィギュアスケート選手カロリーナ・コストナーはボルツァーノ出身です。
彼女が最初に出たオリンピックは2006トリノ大会でした。この大会のイタリア国内での関心は低いと報じられ、現地在住日本人ブロガーが無邪気に「イタリア代表がドイツ訛りのイタリア語話す地域出身ばかりだから」と書いていて、「だったらお前の周りのイタリア人に南チロルはオーストリアに返すよう言いな」と思った記憶が。

ボルツァーノやドロミテに行ったことのある人は「観光客が見事なまでにドイツ語話者ばかりだった」と言ってました。

Posted by: AK | February 04, 2018 13:07

南チロルの話題は、当ブログにしては珍しく、コメントが複数寄せられました。

コメントをお寄せくださった皆さま、御礼申し上げます。

Posted by: Feri | February 05, 2018 12:19

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 謎のピクトグラム 座らないでください | Main | 発展を続けるCar2go »