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May 29, 2018

番外編 日本の倶楽部活動に思う(上)

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今日は、番外編として「日本で行われている大人の倶楽部活動」についての雑感です。

先日、私の友人グループが「大人の遠足」と称して、千葉県成田市にある「成田ゆめ牧場」を訪問したという連絡をもらいました。

友人グループは、鉄道趣味が縁で集まったグループです。職業や勤務先なども全く異なりますが、時々、時間の合う仲間で日帰り小旅行や飲み会などをしているようです。

今回、「おじさんグループ」がファミリー向けの観光牧場「成田ゆめ牧場」へ行った理由ですが、ここには「まきば線」という名称がついたトロッコ鉄道が運行されているため、それを見学するため。

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「成田ゆめ牧場」は、元々、観光牧場として設立されたものではなく、明治時代から乳牛の育成と牛乳の生産を中心に行ってきた「本物の牧場」。その後、本物の牛乳の美味しさを広めるため、観光牧場に転身しました。

現在は、牧場内にファミリーで楽しめるアトラクションも多数、設営されており、その一つがトロッコ列車です。

このトロッコ列車ですが、開設の経緯がちょっと変わっています。というのは、「成田ゆめ牧場」が設置したものではなく、羅須地人鉄道協会(らすちじんてつどうきょうかい)という狭軌鉄道の動態保存を行っている鉄道ファンのグループが建設したものです。

同団体のホームページには、以下のように紹介されています。

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羅須地人鉄道協会(らすちじん てつどうきょうかい RASS)は、軌間12フィート(610mm)の軽便鉄道車輌、とくに蒸気機関車を動態保存し、その車輌を走らせる軽便鉄道を建設することを目的に、昭和48年(1973年)4月に結成された鉄道愛好者の団体です。

 私たち愛好者が夢見る蒸気機関車の走る軽便鉄道は、とうの昔に消滅してしまいましたが、軽便鉄道が織りなす鉄道情景の数々は、残された写真等の記録を通じて私たちの心の中に生き続けています。それはなにか人間臭く、また自然と文明とがしっくりと調和している、心和むあたたかい情景であると、私達は感じています。そして私たちは昔から「軽便蒸気機関車の走る鉄道情景を再現してみたい」「そんな鉄道を作ることはできないだろうか」と話し合ってきました。

 現に、欧米には鉄道愛好者のボランティア活動で、古い蒸気機関車を動態保存して走らせている『保存鉄道』が昔から数多く存在します。「日本でもできないはずがない」「まだ東南アジアや南米などに軽便蒸気機関車が残っているうちに行動しなければ手遅れになってしまう」と、私たちが活動を開始したのは、昭和48年(1973年)春のことでした。

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 因に会の名称の『羅須地人』は宮沢賢治が主宰した農民芸術活動団体『羅須地人協会』から拝借したもの。「ともに汗を流しながら、自分たちが美しいと思うものの表現あるいは実現を目指して活動していこう」というのが会創立の精神ですが、これは宮沢賢治の農民芸術運動の精神に影響されるところ大といっていいでしょう。

つまり、「成田ゆめ牧場」は敷地を提供しただけで、鉄道の建設・保守、車両の整備などは、羅須地人鉄道協会が行っている訳です。

ちなみに軌間610mmは、一般的な旅客輸送用ではなく、産業用狭軌鉄道(インダストリアルナローゲージ)で使われるものです。

現在、「まきば線」で使われている蒸気機関車も、台湾の炭鉱で使われていたものです(製造は日本の会社ですが)。また、保有している車両の多くが、砂防工事用鉄道や工場の専用線で使用されたいたのものです。

鉄道ファンの団体であるため、通常、トロッコ列車の運行は、ゆめ牧場の係員がディーゼル機関車を使って行っています。

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そして、年に数回、行われる蒸気機関車を使った特別運転の際は、同協会のスタッフが参加して、運営を行っています。これは、蒸気機関車の運転に際してはボイラー免許が必要なことも理由の一つになっているようです(遊戯施設なので、機関車の運転免許は不要です)。

好き者のFeriの友人グループは、この蒸気機関車が特別運転される日に「成田ゆめ牧場」を訪問したという訳です。

友人の中には、オーストリアの狭軌鉄道を撮影しているものもいますが、彼の感想によれば「日本にもオーストリアのClub760のような組織が存在しているのに驚いた」というものでした。

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Club760は、オーストリアで狭軌鉄道の運営と車両の保存(動態保存を含む)を行っている団体で、Feriが夏に訪れているLungauには、オーストリアを代表する鉄道ファン団体Club760が運営するTaurachbahn(Mauterndorf-St. Andrä間)という保存鉄道が存在します。

後半の写真、3枚はClub760が運営するTaurachbahnのものです。一見すると普通の鉄道会社が運営している観光鉄道のような印象を受けますが、ファン団体運営しています。

毎年、夏の間、週末に蒸気機関車を使った列車をClub760のメンバーが運行しています。実際、「成田ゆめ牧場」を訪問した友人の話では、雰囲気もClub760が運営しているTaurachbahnとよく似ており、スタッフの取り組み姿勢にも相通じるものがあるとのことでした。

つまり、会員メンバーが自分たちの持っている特技を発揮して、鉄道を運営している訳です。

しかも、羅須地人鉄道協会は、既存の機関車を動態保存しているだけでなく、新しく蒸気機関車を自ら作ってしまったというのですから、Feriも驚きです。

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友人達が訪問した日は、今年、新しく作られた蒸気機関車のお披露目だったそうです。スタッフの方のお話では、費用を抑えるため、極力、市販の部品を使ったそうですが、蒸気機関車特有の部品に関しては、ゼロから作ったそうです。

一般にはあまり知られていませんが、日本にも、このように「自分たちで鉄道を運営する」という「趣味の究極」とも言える倶楽部が活動していることは、Feriも素晴らしいことだと思います。

ただ、Club760が運営するTaurachbahnが、公共交通機関であるMurtalbahnの廃線となった区間を譲り受けて、整備の上、保存鉄道になっているのに対し、「成田ゆめ牧場」の「牧場線」は、「テーマパークの遊戯施設」という位置づけです。

世界的な経済大国である日本で、なぜ、Club760のような保存鉄道の運営が難しいのかは、明日、お伝えしたいと思います。


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