「120 Jahre Volksoper」KURIER特集号から
いよいよ2018/19シーズンが始まります。今年Volksoperのオープニングは9月1日の「120 Jahre Volksoper Wien - Ein Fest im Arne-Carlsson-Park」です。
ただ、Feriは諸般の事情があって、この催しには参加しません。という訳で、レポートはありません。
19時30分から野外コンサートがありますが、プログラムを見ると、今シーズン、上演される各種作品から楽曲が選ばれています。
Feriが注目するのは、以下の2曲。
-「Die Csárdásfürstin」 „Weißt du es noch”, Daniel Schmutzhard, Elissa Huber
-「Die Csárdásfürstin」 „Jaj Mamám”, Elissa Huber, Boris Eder, Jakob Semotan
ここで、ある程度、本番の出来が確認できる訳ですが、ある意味、行けなくて良かったかもしれません(意味はお任せします‥)。
ところで、先日、こちらの新聞KURIER紙に「120 Jahre Volksoper」という特別版が挟み込まれていました。同紙が独自に企画したものなのか、Volksoperからの「持ち込み企画」なのかは、よくわかりませんが‥
8ページの別刷りですが、その中でFeriが注目したのは、何と言ってもDirektorであるRobert Meyerさんと、2018/19シーズンのトップを飾るカールマンの名作「DieCsardasfürstin」で主役Sylva Varescuを演じることになったElissa Huberさんのインタビュー記事です。
今日は、この中からFeriの視点で注目される発言をご紹介したいと思います。まずは、Robert Meyerさんへのインタビューから。
冒頭は、Volksoperが建設されたときのエピソードが紹介されていますが、企画から竣工までの期間が非常に短く、夏期の天候が良かったため、何とか突貫工事で間に合ったというエピソードが紹介されています。
当初は1800席の劇場だったそうですが、ご存じのように現在は1330席。Robert Meyerさんとしては、現在の席数で満足している旨の発言をしています。ただ、多分にこれは経営上の問題を踏まえての発言だと思います。
というのは、補助金に関する質問で、補助金の大部分は約550名在籍するスタッフの給与に充てられているという話をしています。
“私も納税者ですから、補助金の金額についての愚痴は言いません”という健気な姿勢も見せています。
実際、経営幹部として、経費の節約にも努めており、今後、3年間、経営上は安泰であるとの見解を示しています。これはスポンサーなどの支援も含む話だと思います。
なお、現在、オーケストラメンバーの国籍は25ヵ国に及ぶそうです。確かに外国人の方が増えているのは知っていましたが、この事実はFeriも知りませんでした。
今シーズンからバレエの責任者がMartin Schläpferさんに変わったため、それに対する期待なども述べていますが、バレエは詳しくないので省略。
また、本人はうんざりしているようですが、2022年以降、続投の意思があるかどうかという質問。15年間というのはVolksoperでは珍しい長期政権。
それだけに、ご本人の考えも、まだまとまっていないようです。ただ、何もなければ次回の日本公演は2022年ですから、その際は、来日されると思います。
とにかくFeriとして気になるのは、オペレッタに関する発言です。それは、インタビューの中盤にありました。
“Muss man Operette entstauben?”という質問に対する答えです。
Robert Meyerさんは、“確かにオペレッタは埃をかぶっていて、酷い作品が多かった時期もある。色々な制約でオペレッタは殺されそうになっていた。ただ、死んだわけではない。私たちはオペレッタを復活させたい”という心強い発言。
紙面では、この発言だけ文字が大きくなっており、ウィーン子の代表としてKURIER紙も、望みを託しているような気もします。
また、オペレッタは、それなりの資金が必要であるとも述べており、やはりFeriが考えているように美しい舞台や衣装を念頭に置いていることは間違いないようです。
問題は、「どのようなアプローチで復活させるか」ということです。今まで、Robert Meyerさんがダイレクターになってから、新しい演出家の起用をはじめ、様々なアプローチがありましたが、残念ながら、お客さまから支持されて、「定番に昇華した作品」は存在しません。
もちろん、それなりに話題にはなっているのですが‥ そういう意味では、試行錯誤は続いていると考えて方が良いでしょう。
オペレッタに関する具体的な発言は、ここだけだったのですが、やはり何と言っても劇場稼働率の問題。
若いお客さまが減っている現実に対して、Robert Meyerさんは、「とにかく劇場で、生の作品を見ることで、興味を持ってくれる若い人が増える」ことを力説しています。
きっかけは子供さん向けの作品でもよく、16歳から30歳までの観客を増やすことが、今後の課題であると明言しています。はまっちゃているFeriさんは、先も見えているし、どうでもいいわけです(笑)。
インタビューの最後に、ダイレクターと俳優の両立は大変ではありませんか?という質問がありますが、ご本人は健康上の問題がないので、年間40~50公演の出演は可能であると豪語しています。根っからの俳優さんなのですね。
そして、短いですが、Elissa Huberさんへのインタビューも注目。
彼女は現在、KonzertTheaterBernでアンサンブルを勤めているそうです(2019年まで)。
「DieCsardasfürstin」の新演出は、気鋭の演出家Peter Lundさんが担当しています(Volksoperでは「Frau Luna」と「Axel an der Himmelstür」の演出も担当)。
タイトルロールのSylva Varescuを演じるElissa Huberさんですが、明言は避けていますが、戦争の影が及ぶ中、SylvaとEdwinの恋を強調した演出になっているようです。
また、必ずしもハンガリーにこだわっていないような発言も気になります(まぁ、演出家の意図でしょうが‥)。かつてGrazで超過激な演出を目の当たりにしているので、それ以上のショックはないと思います。
Elissa Huberさんはオペラなどにも出演しており、歌には自信があるような発言が目立つので、この点は期待できそうです。客演で主役を演じる訳ですから、それなりのレベルを期待したいものです。
ただ、すでに一部、公開されている舞台写真などを見ると、「やや暗い雰囲気」「世紀末的な雰囲気」が感じられます。後、2週間ほどで結果がわかりますが、それまではコメントは控えることにしましょう。
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