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September 16, 2018

「Die Csárdásfürstin」Premium Report(その1)

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2018/19シーズン、Volksoper120周年という記念すべきシーズンに演出改訂が行われた「Die Csárdásfürstin(チャールダーシュの女王)」のPremiumが9月16日に行われました。

Feriがオペレッタにはまった2作目の作品が「Die Csárdásfürstin」。Sándor Némethさんが演じるFerenc Ritter Kerekesこと、フェリ・バチの「粋なおやじ」ぶりに魅せられから、20年近い歳月が流れました。

前回の日本公演が、前演出での「最後の上演」となりました。Feriも、次に上演される時は、必ず新演出になると踏んでいたので、「ついに、この日が来た」というのが正直な感想です。

個人的な見方ですが、Volksoperでは、最近、いわゆる「定番オペレッタ」の改訂は、失敗する傾向が強いのが心配の種‥

制作陣は、以下のとおりです。

-演出:Peter Lundさん

-舞台装置:Ulrike Reinhardさん

-ビデオ:Andreas Ivancsicsさん

-衣装:Daria Kornyshevaさん

-振付:Andrea Heilさん

-合唱指揮: Holger Kristen さん

演出を担当しているPeter Lundさんは、過去にVolksoperでは、2013年に「Frau Luna」、2016年には「Axel an der Himmelstür」の演出を担当しているドイツ出身の若手です。

ついに定番の演出改訂に抜擢されてという訳です。定番の演出だけにプレッシャーはあったでしょうね。

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指揮はAlfred Eschwéさん。主な出演者は、以下のとおりです。

-Leopold Maria, Fürst von und zu Lippert-Weylersheim(レオポルト・マリア):Robert Meyerさん

-Anhilte, seine Frau(アンヒルデ):Sigrid Hauserさん

-Edwin Ronald, beider Sohn(エドウィン):Lucian Krasznecさん

-Anastasia Komtesse Eggenberg(アナスタシア):Juliette Khalilさん

-Eugen Baron Rohnsdorff(オイゲン):Christian Grafさん

-Boni Graf Káncsiánu(ボニ):Jakob Semotanさん

-Ferenc Ritter Kerekes, genannt Feri Bácsi(フェリ・バチ):Boris Ederさん

-Sylva Varescu(シルヴァ):Elissa Huberさん

-Sándor von Kiss(公証人):Nicolaus Haggさん

では、全体的なお話から‥

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ORFⅢがPremium当日に放送しました
今回、Volksoper120周年記念ということなのか、何と、ORFⅢが9月16日、20時から「Die Csárdásfürstin」を放送しました。

その前に、Wagner-Trenkwitz さんによる解説番組が入っています。ただ、実際にはPremiumの時間差生放送ではなく、9月14日に行われたÖffentliche Generalprobeの際、収録を行っており、この映像を流すようです。

そのため、通常、Öffentliche Generalprobeでは、オーケストラメンバーは私服で参加しますが、テレビの収録が入っていたため、Premiumと同じく、正装で参加していました。また、ORFⅢでも、盛んのCMを流していました。

当たり前ですが、Feriは、この時間帯、劇場に居ましたので、放送の模様はチェックできませんでした。

全面的な演出の変更
場面設定も含めて、全面的な内容見直しが図られました。まず、今までは、前奏曲のあと、ブダペストのオルフェウムで行われている「シルヴァのお別れ公演」の場面になりますが、今回はプロローグ付き。このプロローグは、ウィーンのリッペルト侯爵邸のサロンです。

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公式写真では、この場面はリリースされていないので、ご紹介することはできません。

ここから暗転で、ブダペストのオルフェウムになります。そのため、従来は公演が終わった頃、ウィーンから押っ取り刀で現れるエドウィンだったのですが、今回の演出では最初から劇場にいます。

2幕は、ウィーンのリッペルト侯爵邸なので、変更はありません。ただし、曲順も含めて、演出は大幅に変わっており、終始、重厚なサロンでのお芝居となります。

シルヴァが結婚の誓約書を取り出して、宣言する場面では、サロンの壁が開き、背後からシルヴァの巨大な肖像が現れる仕組みでした。

2幕でボニとアナスタシアが歌う曲はジャズ調に編曲されており、それに伴って、振付もアメリカ風。伝統的な重厚な曲と、ジャズ風に編曲された軽い曲を自由に演奏できるVolksoperのオーケストラの本領発揮といったところでしょうか。

今回、最も変わったのが3幕。ウィーンのグランドホテルから、何とびっくり、再びブダペストのオルフェウムへ。フィナーレはブダペストのオルフェウムになりました。その関係で、3幕は大きく内容が変わっています。

暗転で入る3幕では、間奏曲の演奏が始まるとスクリーンに戦争の様子を伝える新聞記事が投影されるなど、戦時下の雰囲気を色濃く反映しています。

もっともGrazで上演された「Die Csárdásfürstin」のように、戦場が舞台にはなっていないので、ご安心ください。これは唯一の救いでしょうかね。

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3幕では、楽曲の順番も一部、入換が行われている他、アンヒルデとフェリがデュエットで歌う場面が入りました。

「チャールダーシュの女王」と言えば、何と言っても3幕の「ヤイ、ママン」ですが、詳しくは、後述しますが、オルフェウムの楽屋で歌います。

そのため、ジプシー楽団が消えて、ピアノ伴奏。しかもリフレインはありません。

本来、ウィーンのグランドホテルで、“2度と歌わない”と駄々を捏ねるシルヴァをフェリ・バチが、“君は舞台の上で輝く。君の舞台を待ち望んでいる大勢のお客さまがいるよ”と勇気づける趣旨で歌われる「ヤイ、ママン」ですが、すでに楽屋でスタンバイしているシルヴァなので、何となく、イメージが‥

まぁ、シルヴァが、酒の瓶を持っており、やけになっている雰囲気は十分に伝わってきましたが‥そのため、盛り上がりが今ひとつでした。

この他、ウィーンの上級貴族とブダペストの庶民の対比を、従来よりも明確にしています。これは舞台装置にも格式を保ったリッペルト侯爵邸のサロンに対して、オルフェウムは場末の劇場感が強調されています。

衣装についても、2幕に登場する貴族は重厚な服を身にまとっているのに対し、オルフェウムに出演する踊り子は、かなり下品な感じがします。

1幕で舞台に登場するシルヴァのコスチュームは、かつてのマドンナを彷彿させるものでした。

恐らく「身分違いの恋」をビジュアルで表現したのだと思います。

フェリ・バチの位置づけ
演出の変更に伴って、出演者の性格付けも変わっているような印象を受けました。本作品で鍵を握る人物であると自分が考えているフェリ・バチ。

従来、比較的年齢の高い歌役者が起用されていたこともあり、「若いカップルの幸せを心から願っている粋なおじさま」という印象があります。

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前演出ではRobert Herzl さんは、フェリ・バチを「裏の主役」に設定し、彼の生き様に焦点を当てて演出していたきらいがあります。

Sándor Némethさんは40代からフェリ・バチを務めていらっしゃいましたが、演出の意図をくみ取り、自分が前面に出るのではなく、一歩引いた立場で、「身分が異なる若い2人の恋を成就させる」という「粋なおじさま」を演じていたのだろうと思っています。

年齢的にはBoris Ederさんも、Sándor Némethさんがフェリ・バチを初めて演じていた歳に近いと思いますが、人物設定が「単なる遊び人の下級貴族」に変更されているような気がします。

これは、お芝居の場面でも現れています。例えば、1幕のフィナーレで、1人劇場でシャンペンを傾けるフェリ・バチが、不条理を嘆いてグラスを叩きつける場面もなくなりました。

そして、3幕で、レオポルト・マリアに、アンヒルデの身の上話を何気なく話して、エドウィンとシルヴァの結婚を承諾させる場面もなくなり、フェリ・バチとアンヒルデが、派手に抱き合っている場面が入るなど、ストレートな演出に変わっていました。

フィナーレで、3組にカップルが踊る場面で、唯一、フェリ・バチだけがシャドーダンスを披露するのが粋な演出だったのですが、これもありません。

なお、演出家の考え方だと思いますが、全般的にストレートな表現が多くなっています。従来は、どちらかというと、「粋」な仕草が多かったのですが、それは無くなっていました。

なお、Premiereでのお客さまの反応は、非常に良く、カーテンコールで制作陣が出てきた時も、ブーイングはありませんでした。

もちろん、最近は「ご祝儀」もありますから、この反応だけで、成功とは言えないと思いますが、ある程度、地元の皆さまにも受け入れられたと思います。Feriとしては、予想外の盛り上がりで、ちょっと驚きましたが‥

明日は、1幕の模様を詳しくお伝えしますが、ネタバレが多数入っているので、楽しみにしている方は、ご覧にならない方が良いかもしれません。

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