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September 19, 2018

「Die Csárdásfürstin」Premium Report(その4)

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熱心なオペレッタ・ファン以外の皆さま、申し訳ございません。思い入れの多い作品なので、4回になりました。
今日は、注目の3幕とPremiere出演者の個人評をお届けします。

暗転で、3幕へ移りますが、間奏曲「これが恋というものさ」と「僕は踊りたい」が流れます。戦争を伝える新聞やニュース映像が投影されます。どうもエドウィンは、本当に戦地に送られたようです。

3幕 ブダペスト・オルフェウム劇場の楽屋
オリジナルは、ウィーンのグランドホテルのバーでしたが、今回はブダペスト・オルフェウム劇場の楽屋です。楽屋には、すでにフェリ・バチとボニ、シルヴァ、踊り子達がいます。

支配人が楽屋にやって来て、踊り子達を舞台に行くように指図します。楽屋でフェリ、シルヴァ、ボニの3人だけになったところで、3幕のお楽しみ「ヤイ、ママン」になりますが、今回は、ジプシー楽団は登場せず、ピアノ伴奏です。

そのため、フェリの「ジブシーよ、ヴァイオリンをとれ」が変な感じでした。

3幕のクライマックスだけに、従来はリフレインで盛り上がる場面ですが、今回は3人がそれぞれ歌ったところで、支配人がやって来てシルヴァに出番を告げます。

また、前演出では、舞台に立つこと拒否しているシルヴァを勇気づけるために、フェリ・バチが一芝居打つ(歌う)という想定ですが、すでに楽屋でシルヴァがスタンバイしているので、やけになっているとは言え、「ヤイ、ママン」の位置づけが変わってしまいました。

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どうも、戦争の影が色濃くなってきたため「今を楽しまなくては」というニュアンスで「ヤイ、ママン」を歌うというストーリーのようでした。

ご存じのように、前演出では、リフレインはドイツ語版、ハンガリー語版、英語・日本語版の3回行われたこともあります。お客さまが最も楽しみにしているシーンだけに、頭を抱えてしまったFeriでした‥

3人が歌い終わると、場面は劇場に転換します。ここで踊り子やお客さまも参加して「ヤイ、ママン」の大合唱。すでに戦争が始まっているため、お客さまに中にも軍服姿の方も‥

また、踊り子もヘルメットをかぶっています。人数は増えていますが、ちょっと物足りない感じ。皆さん、戦争でやけになって歌っているというイメージが強く出ています。正直、“えーっ、これで終わりなの”という印象でした。

踊り子やシルヴァ、お客さまがいなくなると、そこへエドウィンがやってきます。

何と、エドウィンは部隊から許可無く抜け出してきたのです。エドウィンは侯爵の息子ですから、将校のハズ。将校が戦場を離脱するのは、まずいですよね。

エドウィンはボニに、“何故、シルヴァを自分の妻だなどと言ったのだ”と食ってかかります。ボニは事情を話します。本演出では、そこへ、早々にアナスタシアがやってきます。従来は、ボニが電話でスタージを呼び出していましたが、エドウィンとボニを追ってやって来たようです。

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さらに、前演出では侯爵と侯爵夫人が別々にやって来ますが、今回は一緒に来ます。部隊からエドウィンがいなくなったことをローンスドルフ男爵から聞きつけて、心配して来たという設定です。

まぁ、ウィーンからブダペストに来るのですから、別々は非現実的です。

侯爵がエドウィンを説得するため退場したタイミングで、フェリ・バチが現れ、侯爵夫人とバッタリ。

従来は、フェリ・バチが侯爵に、“貴方は貴族の血筋をとかく重くみておられますが、貴方の奥方のヒルダさんは、かつてミスコルツ劇場に出ていた歌姫でした。その彼女に私はあこがれていましたが、家族に反対されたのです。そこで彼女は、パロニー知事と結婚しましたが、彼は狐狩りの時に死に、その後、ツェントラー・ゲーザと結婚したのですが、彼も決闘で死にました”と話す場面がありますが、今回は省略。

個人的には、フェリ・バチと侯爵のやり取りが、小粋で好きだっただけに、ちょっと残念。

代わりにフェリとヒルダが旧交を温める場面が加わりました。そして、フェリとヒルダが「それが恋というものさ」を歌って大盛り上がり、最後は2人が劇場内で抱き合います。

そこへ、侯爵とエドウィンがやってきて、夫人の素性を知るという展開になっていました。かなりストレートな演出で、正直、Feri好みではありません。

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例によって、侯爵が“これで、当家には歌姫が二人になってしまう”と嘆く場面は入っています。そして、二人は退場します。

代わりにボニとアナスタシアが現れます。ボニはアナスタシアから結婚の承諾を得て、大喜び。二人はジャズ調に編曲された「それが恋というものさ」を歌って、踊ります。振付もアメリカ風です。これは良いですね。

従来はシルヴァの本音を探るため、ボニが電話で自殺しそうなエドウィンを引き留める芝居をしますが、今回は新演出。

シルヴァが現れると、ボニはエドウィンに偽の電報を披露します。

シルヴァは、この電報を見て“私は彼を愛しています・エドウィンなしには生きられません”と告白します。

このタイミングで、エドウィンが現れ、彼女を抱きしめます。

ここでエドウィン、シルヴァ、ボニ、アナスタシアの四人が揃って喜びの四重唱「フラー、フラー、人生は一度限り」を歌います。

そこへ侯爵夫妻をはじめ、踊り子達や観客も参加して、賑やかなフィナーレとなります。

なお、前演出では印象的だったフェリのシャドーダンスはなくなっていました。これがフェリ・バチの心情を表しているだけに、ちょっと残念。

そして、背後には複葉戦闘機が襲来する場面が映し出されて、幕となります。さすがに空襲の前に幕なったので、ほっとしましたが‥

なお、3幕は25分ほどで、従来よりもテンポの良い演出になっている印象です。カールマンの作品は、3幕がお芝居中心で、ちょっとダレる印象があるのですが、今回はお芝居を単純化し、歌を増やすなど、変化をつけていたので、その点は良かったのかもしれません。

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あらすじに沿ってご紹介しましたが、劇場で使っているスコアを手元に置いている訳でもありませんし、ORFⅢの放送を録画して、チェックしている訳でもないので、曲順など、勘違いしている箇所があるかもしれません。

その点は、ご容赦ください。

歌手の仕上がりなど
Feriの独断と偏見による出演者の評価です。あくまでも個人の感想ですから、違う見方もあるのは十分、承知しています。その点は、お含み置きください。

まず、演奏に関しては、申し分ありません。指揮のAlfred Eschwéさんは、オーケストラの魅力を十分に引き出していたと思います。

今回のように、いわゆるオーソドックスな演奏スタイルに加えて、ジャズ風にアレンジした楽曲が混ざっている場合、難しい側面もあると思います。

その点、両方を魅力的な楽曲に仕上げているのは、たいしたものです。

次に、歌手の皆さまに関してですが、今回は、ワイヤレスマイクを使っていますから、歌唱力は顕著には出ません。オペレッタは、こういう時代に入ったのでしょうかね。その分、演技力、表現力などが問われます。

まずはタイトルロールのシルヴァを演じたElissa Huberさん。気性の激しいハンガリー女性を体現しようという姿勢は評価できます。

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ただ、冒頭の「ハイヤ、ハイヤ、私の故郷は山の中」の仕上がりが、今ひとつ。後半になるにつれて、調子が上がってきた印象がありますが、本作品は出だしが勝負。ここで、圧倒的な歌唱力を示さないと、劇場を代表する歌手にはなりません。

もっとも、本演出では場末の劇場なので、「チャールダーシュを歌わせたら、彼女に勝ものは無い」という設定ではなくなっているようなので、これでも良いのかもしれません。


続いて、エドウィンのLucian Krasznecさん。イケメンです。そういう意味では、役のイメージにピッタリ。優柔不断な感じは十分、伝わってきます。歌の仕上がりは、次第点と言ったところでしょうか。

アナスタシアのJuliette Khalilさんは、小柄な方で、舞台上では雰囲気が出ていました。この役はスプレッドで、かつてはMartina Dorakさん等も務めていました。

清楚な感じがポイントですが、本演出では、後半は快活な女性を演じていました。これは、演出の関係だと思います。歌手としての踊りは合格点でしょうか。

ボニのJakob Semotanさん。本作品ではブッフォになりますが、身体が大きいので存在感は抜群です。

演出の都合なのか、青年貴族らしいは「はつらつさ」が押さえられており、アナスタシアに一目惚れしてからは、ストーカーのような行為をするなど、ちょっとねぇ‥ 


ただ、身体が大きいにもかかわらず、身のこなしは見事でした。お相手のJuliette Khalilさんが小柄なので、振り回すシーンは楽勝といった感じ。カーテンコールでも、拍手が多かった歌手のひとりです。

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レオポルト・マリアのRobert Meyerさんは、いつもながらのMeyer節。ただ、今回の演出ではアンヒルデに頭が上がらない夫という想定なのか、若干、抑え気味でした。

アンヒルデのSigrid Hauserさんは、女版Robert Meyerみたいな方です。声も大きく、アクションも派手。

お相手がRobert Meyerさんですから、ベストカップルと言えるでしょう。元歌手ですから、多少下品な部分があっても良いのかもしれません。そういう役は上手です。

フェリ・バチのBoris Ederさん。憧れのSándor Némethさんと比較するのは、無謀です。Boris EderさんはFeriがお気に入りの歌役者のひとりですが、本演出での性格付けが、Feri好みではありません。

何しろ下級貴族とは言え、ポニーテールはないでしょう。Boris Ederさんの仕上がり云々ではなく、演出上の問題と申し上げておきましょう。

Feriが初めて見たSándor Némethさんのフェリ・バチの生き様を体現したすばらしさは、永遠です。その後、Kurt Schreibmayerさんに変わりましたが、彼もSándor Némethさんとは違う「粋な男」を演じていたのが印象的です。

と言う訳で、性格付けが変わってしまったこともあり、カーテンコールの拍手も今ひとつでした。これは、わかる気がします。

新聞評など
3幕では戦争の影を色濃く反映させて、そんな時代だから、「この生活がいつまで続くかわからない。だから、今を楽しまなくては‥」という発想はわかります。また、オペレッタ定番の「身分違いの恋」がテーマの作品なので、衣装や舞台装置で「身分の違い」を明確にした点も評価できます。

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ただ、Feri個人の見方ですが、いわゆる「粋な演出」が姿を消して、ストレートな表現になった点が今ひとつ。

わかりやすいと言えば、そのとおりですが、ウィーンらしい「粋な雰囲気」が好きだっただけに、この点は「不満」です。

ただ、今を生きるお客さまには、こういったストレートな演出の方が喜ばれるのかもしれません。これは、単純に個人の好みの問題ですから、何とも言えませんね。

さて、こちらの新聞評ですが、kurierも die presseも好意的な評価でした。

見出しを見ると、全体的な傾向がわかりますが、 presseは「Tausend kleine Engel singen, entzückend!」。名曲に引っかけた粋な見出しです。ちなみに、kurierは星4つ半です。

ということは、「今の感性」に合っている演出という評価だろ思います。

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前演出を観ないで、この作品を観れば、それなりに楽しめると思います。

ところでPremiumなので、有名人も多数、ご招待。その中にはSerafinさんのお姿も‥たまたま、Robert Meyerさんとご歓談中だったところへ、Feriも乱入。ツーショットを撮らせていただきました。

明日からは、再び、通常モードもどり、多方面の話題をお届けする予定です(笑)。

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