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October 29, 2018

鉄道民営化に思う

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28日に行われたテニスの「Erste Bank Open」ですが、皆さまもご存じのように錦織 圭選手は、Kevin Anderson選手にストレートで敗れ、優勝を逃しました。今大会に初出場の錦織 圭選手は調子が良かっただけに、残念無念。

本大会で優勝すれば、ロンドンで開催されるATP Finalsに出場できる可能性があっただけに、優勝して欲しかったのはFeriだけではないと思います。

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今日は「こちらの鉄道民営化の話題」です。

日本では、台湾で発生した特急列車脱線事故が大きく取り上げられたと思います。しかし、10月12日、ドイツでも大変な鉄道事故が発生しています。ケルンからミュンヘンに向かっていたドイツ鉄道のICE511列車が走行中に火災をおこし、1両が全焼してしまいました。

幸い、軽傷者が5名発生したものの、約500名の乗客は無事、避難することができたそうです。

その後、「変圧器の故障」という事故原因が発表されました。しかし、事故発生後、事故現場周辺は運転が抑止され、21日頃、ケルン-フランクフルト間の高速新線の運転が、片側運行で再開されました。

当然、単線運転なので、運転本数は3分の2に制限されているようです。その間、幹線に当たるケルン-フランクフルト間が運休になっていた訳で、お客さまも困ったようで、テレビのインタビューでも激怒している様子がわかります。

なお、復旧に時間がかかったのは、出火した車両の損傷が激しく、現場からの搬出が困難だったため。

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まず、損傷の少なかった車両を切り離し、ディーゼル機関車で回送。そして、損傷した車両は現地で解体の上、撤去されたもようです。

今回の事故に限らずドイツに在住の方によれば、最近は列車の遅延や運休が多発しており、予定どおりの目的地に行くことができないケースが増えているとか‥

1980年台のドイツ(旧西ドイツ)を知るFeriとしては、正直、信じられないような事態です。

Feriが、ドイツに傾倒していた1980年台前半、ドイツ連邦鉄道(いわゆる国鉄ですね)では、鉄道が徐々に復権し、インターシティ(IC)のネットワークが充実してきた時期でした。

それまでもインターシティは運行されていましたが、オール1等で、限られたお客さまの乗り物。それが、1979年、2等車が連結されるようになり、合わせてネットワークが充実しました。

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写真の時刻表は1982年夏ダイヤのものですが、主要都市を結ぶネットワークがおわかり頂けると思います。しかも、特定の駅では、同一プラットホーム上で、別方面のインターシティに乗り換えることができるように工夫されていました。

当然、長距離を走るため、列車が遅延することもあります。その際、接続待ちをしていると、ダイヤの乱れが拡大するため、一定の接続時間を過ぎると、定期列車のインターシティは発車。

遅れて到着したインターシティのお客さまは乗り換えるべき列車は既に発車していますが、ドイツ連邦鉄道が考えたのは、そのお客さまを救済するための臨時列車の運転です。

当然、予備車両の準備に加えて、乗務員の確保など、費用と手間がかかる訳ですが、当時、アウトバーンや航空機から鉄道にお客さまが戻りつつあった時期なので、あえて、お客さまの利便性を第1に考えたのでしょう。

当時、このような運行形態を見たFeriは、「質実剛健。正確無比なドイツ」という印象を強く持ったものです。

さて、時は流れて、Feriが最初にヨーロッパへ出かけた1970年台後半には信じられなかった「ベルリンの壁」崩壊をきっかけとした、東西ドイツの統合が、1990年に実現。

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鉄道も1994年1月、旧西ドイツのドイツ連邦鉄道(DB)と、旧東ドイツのドイツ国有鉄道(DR)が統合・民営化され、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG ドイチェ・バーン、略称:DB)が誕生します。会社は民営化されましたが、株式は国家の保有となっているのは、オーストリア連邦鉄道と同じです。

また、EUの場合、国鉄民営化は、上下分割方式が基本なので、ドイツ鉄道も列車を運行する会社(しかも、長距離旅客会社、地域旅客会社、貨物会社などに別れました)と、設備などを維持・管理する会社などに別れました。ただ、親会社はドイツ鉄道なので、日本の国鉄民営化とは趣が異なります。

その後、EUの規制緩和の波にのって、ドイツ鉄道も規模拡大に邁進します。

順風満帆に見えたドイツ鉄道に衝撃が走ったのは、1998年6月3日、ニーダーザクセン州エシェデ付近で発生したICE884列車の脱線事故です。200km/hで走行中、車輪のタイヤ(外輪)が外れ、駅のポイント部分で脱線し、列車は道路橋の橋脚に激突しました。

100名以上の死者を出すドイツの鉄道にとっては、悪夢とも言える大惨事になってしまいました。

根本的な原因は、乗り心地工場のために採用した弾性車輪に無理があったことがわかりました。しかし、民営化による検査・保守体制の弱体化も遠因になったような気がしています。

その後、2009年7月にはハノーファー中央駅でICEの先頭車(機関車)機械室から出火、2011年にホーフドルフで貨物列車と旅客列車の正面衝突事故、2014年はにマンハイム中央駅でユーロシティと貨物列車の衝突脱線事故(貨物列車の機関車はÖBBのものでした‥)、など、かつてのドイツでは考えられなかった鉄道事故が発生しています。

この他にもエアコンやトイレの故障が多発するなど、保守体制が劣化している傾向をうかがわせる事案が発生しているという話です。

いくら株式は政府保有とは言え、民営化されると利益優先の体質になるのは、避けられないこと。その結果、かつてのように列車が遅れた場合の救済列車運行などは考えられなくなりました。

また、折り返し列車の遅れを防ぐため、途中駅で運転打ち切りというケースも増えているようです。当然、その先は、お客さまが自分でルートを開拓する訳です。

日本でも、分割民営化後、死傷者を伴う鉄道事故が発生していますが、やはり根本的な要因は同じような気がします。

運賃がほとんど上がっていないというメリットは享受できたものの、最近ではすぐに列車が止まる上に、復旧までに時間がかかるケースが増えているようです。

善し悪しは別にして、旧国鉄時代は、沿線各地に基地や施設があり、職員が待機していました。そのため、事故などが発生すると、直ちに現場にかけつけて、復旧にあたることができました。

しかし、現在では、それの多くが廃止され、しかも実際の作業は別の会社に委託しているという話を耳にしました。要するに、「事故の発生確率を考えたら、払い戻しや振り替え輸送をした方がコストパフォーマンスが良い」という考え方が根底にあるのでしょう。

鉄道ではありませんが、ヨーロッパでは、航空管制も民営化が進んでおり、2002年ドイツ上空で旅客機同士の空中衝突事故も発生しています。この時はスイスの民間航空管制会社が管制を行っていたのですが、担当していた管制官への過度な負担から誤った指示を出したことが要因の一つになっています。

最近は、各国で社会インフラの民営化が急速に進んでいますが、安全面が担保されるかどうか、気になります。

今回のICE火災事故のニュースに接して、ふと、そんなことを考えたFeriでした。それにしても、ニュース動画を見ると、不謹慎ながら、本当に良く燃えているので、びっくりしました。

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