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November 30, 2018

番外編 映画「Strategic Air Command」再見

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11月最後の話題は、オーストリアともウィーンとも全く関係の無い「映画の話題」で申し訳ございません。実は、是非、紹介したいDVDが手に入ったもので‥

実は先日、日本の友人から“Feriさんが探していた映画のDVDが日本で発売になっているよ”という貴重な連絡をもらいました。

その映画とは1955年制作のハリウッド映画「Strategic Air Command」です。当時、アメリカに創設された戦略空軍団を描いた航空映画ですが、軍隊が舞台であるにも関わらず、戦闘のシーンが全くないという異色の作品です。

監督はAnthony Mann(アンソニー・マン)、音楽はVictor Young(ヴィクター・ヤング)という、当時のハリウッドの大御所(アメリカ映画に詳しい先輩曰く、「ハリウッドの一流どころ」のお二人)。

主演はJames Stewart(ジェームズ・スチュワート)とJune Allyson(ジェーン・アリソン)。映画通の方はご存じのように1954年制作の「グレン・ミラー物語」でも、トリオを組んでいます。

内容は当時の時代背景を反映したアメリカ戦略空軍団の完全な広報作品(プロパガンダ映画)です。

というのは、第2次世界大戦が終結し、多くのアメリカ国民が戦争は終わり、平和な時代が来たと思っている時期に、ソビエト連邦との冷戦が深刻化。核兵器による戦争抑止を東西両陣営ともに考えます。

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1946年、アメリカ陸軍航空軍は大規模な組織再編を行いますが、この時、戦術航空軍団(TAC)、防空軍団(ADC)とともに主要軍団として戦略航空軍団(Strategic Air Command、S AC)が設立されました(メジャーコマンドと呼ばれます)。

戦略航空軍団の使命は、核兵器を搭載できる長距離爆撃機(アメリカ本土から無着陸でソ連中枢部まで飛行できる性能を持っています)を運用し、核兵器による戦争抑止です。

その他にも海軍も核兵器を運用する潜水艦や航空母艦を就役させていますが、ここで空軍と海軍の予算、奪い合いが発生しているという背景もあります。

東西冷戦と言えば、オーストリアやウィーンも関係がない訳ではありませんが‥(超こじつけ)。

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その後、1947年に空軍が、陸軍から独立した際、戦略航空軍団も引き継がれています。

特に1949年から1957年まで、戦略航空軍団司令官であったカーチス・ルメイ(第2次世界大戦中、日本への無差別爆撃を推進した人物)は、戦略爆撃能力・核攻撃能力の拡充に努めました。

本作品ではホークス司令官という人物が登場しますが、カーチス・ルメイがモデルであったことは間違いありません。

しかし、米国民には実際に戦争が発生していないため、水面下で東西対立が激化しているという「冷戦の実感」がなく、軍備拡張に関して国民の理解が得られません。そこで、このような映画が作成されたようです。

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映画の解説によると主演のジェームズ・スチュワートが戦略空軍団を見学し、その使命に感銘を受けて、本作品を企画したと言われています。

ちなみにジェームズ・スチュワート自身も、第2次世界大戦中は従軍しており、B17やB24の機長として活躍しており、戦後は空軍予備役大佐でした。

さらに、ベトナム戦争でもオブザーバーとしてB52に搭乗して、参戦しています。本映画の主人公のように、根っから飛行機の操縦が好きだったようです。

事実上の広報映画なので、物語は凝ったものではありません。第2次世界大戦で爆撃機B29の機長だったロバート・ホランドは、退役後、MBLのセント・ルイス「カーディナルス」で、プロ野球選手(三塁手)として活躍しています。

ところが、予備役に登録していたことから、経験豊富な指揮官が不足している新設された戦略航空軍団から召集がかかります。

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野球選手としての選手生命も、あと数年。それだけに21ヵ月、チームを離れることに抵抗を示すのですが、復帰命令は拒否できず、新妻サリーとともにテキサス州カーズウェル空軍基地に赴任します。

人物はいずれも架空ですが、球団名やスプリングキャンプ地、空軍基地などは、全て実在のものです。そのため、臨場感が半端ではありません。

新婚夫婦の生活シーンなどは、正に「古き良き時代のアメリカ」そのものです。

その後、各種の訓練などを経てすぐれたリーダーとしての資質を発揮し、大型戦略爆撃機B36Hの機長に就任。試験飛行や訓練飛行など様々な任務をこなします。

その間、夫婦の間に子供が生まれるエピソードも盛り込まれています。さらに任地も、自宅があるフロリダ州マクディール空軍基地へ移ります。

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21ヵ月間の兵役後も戦略航空軍団の重要性を実感したホランドは戦略空軍軍団に残る決意をします。しかし、兵役が終われば野球選手に戻ると思っていたサリーには、大きなショック。夫婦間に溝が生まれます。

ホランドが、新鋭ジェット爆撃機B47を率いて、日本への部隊展開訓練中、サリーは基地を訪問し、ホークス司令官に苦言を呈する場面も盛り込まれています。

テレビ放映時にはカットされていたような記憶がありますが、夫が肩を痛めていることを知っていることを思うアメリカ女性らしい場面です。

最後はB36Hの耐寒試験飛行中、グリーンランドの不時着事故で肩を痛めたことが理由で、ホランドはパイロットから外されますが、飛ぶことにこだわりを持つホランドは空軍を退役すること決断。司令官室にサリーがやって来て、夫婦の関係も元に戻ります。

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Feriが生まれた直後の1956年に日本で公開された映画なので、映画館で見たことはありません。子供の頃、テレビで1回だけ見たことがあるのですが、その空撮映像の素晴らしいこと。

当時、VFXなどはありませんから、多くは戦略空軍の全面協力による空撮です。事故シーンなどは模型ですが‥
高空をコントレールを引きながら飛行するB36大型爆撃機の姿は、本当に美しく、Feriを虜にしました。

実は、B36は、決して美しいスタイルの機体ではないのですが、それを見事なカットで映像化したキャメラマンに脱帽です。
また、その後継機となるジェット爆撃機B47が紹介されるシーンのカットも見事。

メーカーであるボーイング社のハンガー内で、ホークス司令官に案内されホランドが実機に接するというストーリーなのですが、俯瞰撮影で、B47のスマートな機体を際立たせます。しかも、そのライティングが見事。暗闇に光るジュラルミンの機体。

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ある意味、航空機を美しく見せることを熟知したキャメラマンが撮影していることは、間違いありません。

今回、記事をまとめるに当たって、気になっていたキャメラマンのWilliam Daniels(ウィリアム・ダニエルズ)について調べてみました。

William Danielsは、1901年にオハイオ州クリーブランド生まれで、1919年、映画界に入ります。1922年がキャメラマンとしてのスタートで、1970年まで50年間、活躍していた伝説の人物。

黒澤明監督の下、長年、キャメラマンとして活躍した木村大作さんのようなイメージでしょうか。

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そして、本作品では映画の普及促進に関する活動を目的とする非営利団体ナショナル・ボード・オブ・レビュー(National Board of Review of Motion Pictures、NBR)から、本作品の空撮が特別表彰を受けています。Feriの感性にマッチしたのは、当然ですね。

ちなみにFeriが、今まで見た航空映画の中で、これほど登場する飛行機を美しく撮影した作品は見たことがありません。そして、飛行シーンに流れるヴィクター・ヤングの音楽が、これまたピッタリ。

このように航空ファンから見ると素晴らしい作品なのですが、空軍の広報作品的な性格が強かったためか、何故かアメリカ本国でVHSが発売されてたいただけで、DVD化はされていませんでした。

また、テレビ放送も、深夜枠で何回かあったようですが、いずれも短縮版で、Feriが見たかったシーンはカットされていました。

今回、フルバージョンのDVDが発売されたという話を耳にして、友人が取り寄せてくれました。テレビ放映とは異なる高額質の作品を見て、再び感激が蘇りました。

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この作品ですが、日本公開時の邦題が「戦略空軍命令」という意味不明のもの。これは軍事知識に疎い方がタイトルを決めた典型で、「Strategic Air Command」は固有名詞なのに、Commandの部分を「命令」と直訳してしまったのです。

そのため、印象に凝っているというファンもいらっしゃるとか‥

また、B36の就役中、朝鮮戦争が発生しましたが、出撃した記録はありません。同機は「ピース・メーカー」という皮肉な愛称がついていますが、実戦に投入されなかった軍用機の代表です。

日本では馴染みのないB36ですがかつてのFeriの上司は、B36を日本国内で見た経験を持っている希有な人物。プロペラが後ろに就いている独特の形状から間違えるハズはありません。

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朝鮮戦争停戦後、アメリカが力の誇示を目的にB36を日本(横田基地)に派遣したことがあったそうなので、その時、目撃されたのでしょう。

Feriは、この映画でB36という爆撃機に興味を持ちましたが、如何せん、実機はアメリカ本国に、数機しか保存されていません。

2006年、アメリカに行く機会がありましたが、当時、アメリカ駐在だった友人に懇願して、B36Jが良い状態で保存されているオハイオ州デイトンのアメリカ空軍博物館に連れて行ってもらいました。

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そこで、「Strategic Air Command」に登場したB36、B47の実機と対面することが叶いました。大型爆撃機を空調の効いた巨大なハンガーで展示している姿に接し、アメリカの底力を実感したものです。

その時の感激は、映画でボーイング社のハンガーでB47と対面したホランドの気持ちと相通じるものがありました。ちなみに、同博物館は外国人も含めて入場無料でした。

「Strategic Air Command」のノーカットバージョンをDVDで観て、色々な思い出が蘇ったFeriでした。

実は、Feriが飛行機にはまったのは、この映画が大きなきかっけになりました。オペレッタもそうですが、素晴らしい作品を見ると、それが引き金となって、その世界にのめり込んでいくのが、Feriのパターンのようです。

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