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December 17, 2018

深刻なVolksoperの集客状況を憂う

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今日はFeriのホームグラウンド「Volksoperの話題」をお届けしましょう。

実は、現在、Volksoperは深刻な集客力不足で悩んでいます。写真の座席表は2018年12月19日に上演予定のオペレッタ「Der Opernball」のものです。

一見すると、Galerieが完売しているので、大盛況のように見えますが、実は、このフロアは閉鎖しており、チケットは販売されていません。つまり、意図的にBalkon、Parkettなどにお客さまを誘導している訳です。

Galerieを閉鎖している理由は、ズバリ「お客さまが集まらないから」。以前も、一部のバレエ作品などでは、このようなケースはあったようですが、Adventで観光客が沢山来ているかき入れ時に、オペレッタ作品で、Galerieを閉鎖せざるを得ないというところに、現在のVolksoperが深刻な状況に置かれていることが現れています。

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実際、先日、ご紹介した「Die Csárdásfürstin」は、さすがにGalerieの閉鎖はありませんでしたが、週末にもかかわらず、Parkett後方や、Balkon、Galerieには空席が目立ちました。

ミュージカルについては、ある程度、席が埋まっているようですが、「特に悲惨なのがオペレッタ」というのが、Feriにとっても悲しい出来事です。

ちなみに、現在、Volksoperの演目で、ほぼ満席となるのはÖffentliche Generalprobe(有料公開ゲネプロ)の時。一律15Euroですから、当然かな。

先日、ORFでBadenのDirektorを招いて「ウィンナオペレッタの現状」を語る番組が放送されました。残念ながらFeriは所要があって外出していたため、視聴することはできませんでしたが、「Volksoperのオペレッタはコマのようだ」というのがキーワードだったそうです。

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ここから先は、ひとりのファンとしての意見ですから、異論をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。その点は、ご了承ください。

まず、12月という繁忙期に、このような状況になってしまった最大の要因は、Feriは、プログラム構成の問題だと考えています。

つまり、観光客の皆さま(一見さん)が、“Volksoperも楽しそうな演目がかかっているから観てみようか”と思えるような演目がラインナップされていないと思います。

前回のVolksoper日本公演では、珍しくオペレッタが3作品上演されました。

ただ、演目は「こうもり」、「メリーウィドウ」、「チャールダーシュの女王」だったので、「定番作品ではなく、もっと他の演目を観たい」というご意見をお持ちのオペレッタファンもいらっしゃったかもしれません。

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しかし、現在の日本で、あれだけに公演回数を行い、かつ興行的にある程度、成功させるためには、一般のお客さまに対して知名度の高い作品でないと、集客は困難であると主催者側が判断した結果だと思います。

さて、常設劇場であるVolksoperに話を戻すと、正直、どこに的を当ててプログラム構成をしているのかが、わからなくなる時があります。

ミュージカルに関しては、ブロードウェイ・ミュージカルを完全ドイツ語版で上演しているところから、明らかに地元の皆さまを強く意識しているのは間違いないでしょう。そのため、集客も含めて、ある程度は成功しています。

難しいのはオペラとオペレッタです。オペラに関しては、正直、ウィーンでは、事実上、テーマパークと化しているWiener Staatsoperが抜群の知名度と集客力を誇っていますから、同じ作品を上演しても太刀打ちできません。

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あえて同じような演目を上演する場合、“地元の皆さまにお手頃な価格で”というコンセプトになりますが、正直、今のVolksoperは決して、チケット料金も上がり、気軽に行く訳にはいきません。

逆にWiener Staatsoperにも「立ち見」という最後の手段があるので、本当にオペラが好きな方は、そういった選択肢をとった方が、コストパフォーマンスは良いでしょうね。

従って、オペラの場合、劇場規模が小さいことを逆手にとったプログラムの方が良さそうな気がします。また、定番の「魔笛」については、Wiener Staatsoperでの上演回数が多くないので、観光客の集客にもつながると思います。

Volksoperでは、何とかオペレッタを継続上演するために、色々と知恵を絞っていることはわかるのですが、何となくチグハグな感じがします。

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例えば、9月にPremiereが行われた「Die Csárdásfürstin」は当日に時間差でテレビ放送するという思い切った手に出ました。

が、出来が余り良くなかったゲネプロで収録したものを流したこと、劇場以上に暗い舞台というイメージを視聴者に持たれたことから、その後の集客には大きく貢献しなかったようです(逆に足を引っ張ったという見方もあります)。

継続上演となった「Der Opernball」は、作品そのものは好きなのですが、如何せん、設定を現代に置き換えた今回の演出は、どうしても好きになれず、オペレッタにはまっているFeriですから、足が向きません。

以前も、このブログでかいたことがありますが、現在のVolksoperには「お客さまを呼べる主役級の歌役者(オペレッタ歌手)」は存在しません。

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そのため、出演者で観客動員を高めるという手法は全く使えません。アンナ・ネトレプコが出演すれば、どんな珍演出で、チケットが高騰しても満席になるオペラとは訳が違います。

これは、10年以上にわたり、オペレッタ歌手の育成を怠っていたツケが回ってきた結果と言えるかも知れません。

もっとも、オペレッタ歌手を目指すオーストリア人歌手が激減したことも大きいのですが、演出が妙なので、すぐにお客さまに飽きられてしまう→オペレッタの地位が相対的に低下する→有望な歌手が抜けてしまう→ますますオペレッタの魅力が低下してしまう‥という悪循環に陥っている気がします。

プログラム構成という観点で考えてみると、Feriが、初めてVolksoperを訪問してオペレッタを観たのは1998年12月ですが、その時、偶然見つけた「メリーウィドウ」だったから、初めて足を運んだ訳です。仮に、今シーズンのような演目だけだったら、確実に行っていなかったでしょう。

当時は、オペレッタの上演が多く、短期間の滞在でも何回かオペレッタを観るチャンスはありました。舞台も明るく、華やかで、華のある歌役者さんが主役を張っており、客席と一体になって盛り上がる、オペラとは全く違う舞台芸術であると実感したものです。

そして翌年、Sándor Némethさんが出演した「Die Csárdásfürstin」。この時、お開きになってガルベロージェでお客さまが笑顔で語り合っている姿に接して、完全にはまりました。

つまりFeriの感性に合っていたということなのでしょう。そうすると、このように期待を込めて20年間も通ってしまう訳です。

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補助金があるとは言え、各劇場が民営化されている今日、以下に稼働率を上げるかは、劇場にとっては死活問題です。

ご存じの方も多いと思いますが、現在、Volksoperでは、様々な割引を実施して、稼働率向上に努めています。

そして、若い地元のお客さまを呼ぶことで、「次世代のお客さま開拓」も並行して行っています。しかし、そういった施策も、今ひとつ効果を上げていないのが現実のようです。

事実上、ウィーンで唯一、常時、オペレッタを上演していることがウリだったVolksoperが岐路に立っているのは、間違いないところです。

事実上、ウィーンで唯一、常時、オペレッタを上演していることがウリだったVolksoperが岐路に立っているのは、間違いないところです。


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