“Stille Nacht”誕生200年
先週、VolksoperのDirector Robert Meyerさんから、クリスマスカードが届きました(Feriも送ったので、その返礼ですが‥)。
今年は、何と「Die Csárdásfürstin」の第2幕、リッペルト侯爵邸のサロンがクリスマス仕様になっているスペシャルバージョン。
シーンはオイゲンがシルヴァの素性をバラして、皆が苦笑いする場面のようです。このカードのデザインは、Feri好み。良い感じですね。
さて、今晩は「Heiligen Abend」ですが、それにふさわしい話題をお届けしましょう。
今年は日本でも有名な賛美歌“Stille Nacht”(きよしこの夜)が生まれて200年になります。
“Stille Nacht”は、ご存じのようにオーストリアで生まれ、世界各国(300ヵ国と言われています)でうたわれている名曲。
ザルツブルクでは、4年前から200年祭に向けて委員会を設立し、入念な準備が進められていました。実際、11月から「誕生の地」であるOberndorfでは、各種行事が盛大に行われているそうです。
まぁ、本来は「現地取材」の上、記事をお届けするのが筋ですが、その点はご了承ください。
なお、Feriは1991年12月24日にOberndorfを訪れたことがあります。当時から、バスを連ねた観光客の皆さまで大賑わいでした。今年は、さぞやすごいことになっていることでしょう。
“Stille Nacht”が最初に演奏された場所として有名なのがザルツブルク近郊、ドイツに国境を接しているオーベルンドルフ(Oberndorf bei Salzburg)。“Stille Nacht”は、この街にある聖ニコラウス教会で、1818年に初演されました。
ご存じの方も多いと思いますが、「きよしこの夜」には、有名な逸話があります。
クリスマス・イブの前日、教会にあるオルガンが音が出なくなり、クリスマスに歌う賛美歌の伴奏ができなくなりました(オルガンから音が出なくなった理由は諸説あるそうです)。
神父のヨゼフ(Joseph Mohr、1972年~1848年)は、自分で書いた“Stille Nacht”の詩を、オルガニストのグルーバー(Franz Xaver Gruber、1787年~1863年)に渡し、ギターで伴奏できる讃美歌を作曲してくれるように依頼しました。
なお、このブログでも2013年12月1日の記事でご紹介しましたが、ヨゼフ神父はザルツブルク州LungauにあるMariapfarrという街のPersönlichkeiten(巡礼教会)赴任中の1816年に“Stille Nacht”を作詩しました。
この事実が判明したことから、現在、Mariapfarrは「きよしこの夜のふるさと」として、教会に隣接した広場は「Joseph Mohr Platz」と銘々され、ヨゼフの胸像が乗った噴水が立てられています。また、小さな記念館も作られています。
現在では、「世界300以上の言語で歌われているクリスマスソング」ですが、Feriは、やはり賛美歌だと思います。
宗教色のないクリスマスソングはアメリカが発祥の地で、ヨーロッパにも沢山、入ってきています。しかし、これらはキリスト教の教会で歌われることはありません。
オーストリアの教会では12月24日の深夜(Heiliger Nacht)に行われるクリスマス・ミサでは、必ずギターの伴奏で“Stille Nacht”が歌われます。この「ギター伴奏」というのがポイントなのです。
“Stille Nacht”が初めて歌われたザルツブルク州のローマ・カトリック教会フランツ・ラクナー大司教は、200年祭委員会設置後、「“Stille Nacht”がザルツブルクで生まれ、世界中で歌われていることは誇りだ。この歌が世界の平和を促進するものであってほしい」と述べたそうです。
ところで、“Stille Nacht”の詩は6節から成り立っていますが、今では3節から5節を飛ばして、1節、2節、6節を歌うのが一般的です。
ちなみに「きよしこの夜」の日本語歌詞は由木 康氏によるもの。1909年に発行された賛美歌集に掲載されました。
また、日本のカトリック教会では、別訳の「しずけき」(カトリック聖歌集111番)として親しまれています。両方を聴くと、結構、雰囲気が異なります。
カトリックとプロテスタントでは、平素、礼拝で歌われる賛美歌や聖歌は異なりますが、クリスマスの時だけは、同じ楽曲が歌われます。
今晩のクリスマス・ミサでは、式次第は教会によって異なりますが、オーストリア各地の教会で“Stille Nacht”が厳かに歌われることでしょう。
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