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March 02, 2019

FLEXITY試乗・見学記

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2月28日、恒例の「オペラ座舞踏会」が予定どおり開催されました。今回、友人が参加したので、昨日の記事に写真をご紹介しました。ご興味のある方は、ご覧になってください。

今日はWiener Linien自慢の最新路面電車「FLEXITYの試乗・見学記」です。

昨年12月、クリスマスに合わせて営業運転を開始したBOMBARDIER製の路面電車FLEXITY(Wiener Linienの型式はType D)。

営業運転に投入された路線が、こともあろうにウィーン郊外の67系統(Otto-Probst-Platz-Reumannplatz間)だったこともあり、なかなか乗りに行くチャンスがありませんでした。

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せっかくの新型路面電車ですから、1系統や2系統のような目立つ路線に投入すれば良いのに‥と思うのですが、何か事情があるのでしょうかね。

とは言っても、鉄道ファンのFeriは気になっていたので、先日、時間をつくって見学に行ってきました。

ただ、現在、FLEXITYは先行試作車2編成が完成しているだけで、実際、営業に使用されているのは1編成だけのようです。そのため、「行っても、来なかった」という可能性も‥

さて、Feriは地下鉄U2でReumannplatzへ行ったのですが、地上区間では、現在、Oberlaa方面の軌道撤去作業が急ピッチで進められていました。

また、旧路面電車のターミナルですが、屋根のある停留所は残っていましたが、すでに一部は軌道が撤去されており、近い将来、ターミナルの撤去を含む再開発が行われるのでしょう。

工事現場を見学していたところ、すぐにOtto-Probst-Platz方面からFLEXITYがやってきました。くじ運が悪いFeriですが、今日はラッキーデー。

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さっそく乗車用停留所に向かいOtto-Probst-Platz行きのFLEXITYに乗車。ちなみに当日、運用されていたのは302号車でした。

Feriは一番後ろの席に座ることができましたが、最初の印象は「座面が高い」ということ。少なくとも体感上はULFよりも座面が高いと思います。列車はすぐに走り出しましたが、乗り心地に関しては、ULFと大差はない感じでした。

この路線は、終点近くに大学キャンパスがある他、住宅団地も多く、結構、混雑します。さすがに終点近くになるとお客さまはだいぶ少なくなりましたが‥

ここで、FLEXITYの仕様を、改めてご紹介しましょう。

-全長:34.0m(34.5m)

-全幅:2.4m(2.4m)
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-定員:211名(207名)

-床高さ:215mm(197mm)

-車いすスペース:2箇所

-ベビーカー用シート:8席

仕様的には、ULFのロングバージョン(Type B)と、ほぼ同じです(括弧内はULFロングバージョンの仕様)。

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お客さまが少なくなったところで、車内の観察を。まず、車内上部には、新型連節バスでおなじみの横長LEDを使用した情報ディスプレイが取り付けられています。路線案内はもちろん、各種PR動画を配していました。

現在、ウィーンの公共交通機関は安全性確保の観点から車内には監視カメラが取り付けられていますが、本形式は最初から取り付けられているため、数が多いような印象を受けました。基本的に死角はなさそうです。

乗降用ドアは、ULFと同じタイプのプラグインドアで、一旦、外側移動してスライドします。また、現在では標準仕様となっているドア開閉時の警告灯(警告音付き赤色LED)が上部に取り付けられています。

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車内を歩いて気づいたことは、出入り口部分だけ床が少し低くなっているという点です。逆に言うと、それ以外の場所は床が若干高く、その間はスロープになっています。

ULFが、床が完全フラットであるのとは対照的です。これは、構造上の問題からきているものです。

ULFは連節部分に車輪があり、駆動用のモーターも連節部分に縦に搭載されています。そのため、床面を極限まで下げることができました。

一方、FLEXITYは、通常の台車方式です(ただ、左右の車輪はつながっていないようです)。その関係で台車分の構造上、若干、床を上げざるを得ません。

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そして、台車の上には座席が取り付けられています。恐らく座席の座面が若干高くなっているのも、台車部分の座席と高さを合わせているためと思われます(採寸した訳ではないので、ご容赦を)。

しかし、停留所のプラットホームとの車両床の段差を極力少なくするため、出入り口部分のみ床を下げるという構造にしたのでしょう。

実際、プラットホームがない場所でベビーカーを載せる場面を見ましたが、やはりULFよりは、若干、大変そうでした。

そして、床が最も低くなっている中間の出入り口がある車体に車いすやベビーカーを搭載するスペースが設けられています。そのため、この部分の座席は折りたたみ式。

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ULFは連節部分に駆動用モーターが搭載されていたため、内側は金属製のカバーで覆われていましたが、FLEXITYは写真のように通常の幌。雰囲気としては連節バスに近いですね。

FLEXITYは、落成時からエアコン装備ですが、寒い時期なので、エアコンの効き具合は実感できませんでした。この他、Feriが乗車した日は車内放送が聞き取りにくかったですね。故障していた可能性もあります。

67系統は、郊外に行くと、道路上ではなく、専用軌道を走る区間が増えてきます。俄然、実力を発揮するFLEXITY。専用軌道では、旧型車よりは、格段に乗り心地が良いのは言うまでもありません。

車内を見学している内に、列車は終点のOtto-Probst-Platzに到着。降車ホームと乗車ホームが別れていますが、降車ホームに停車中、続行のULFが到着し、鉄道ファンがお好きな「並び」が実現。

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この場面が冒頭の写真です。このように並んだ姿を自分の目で見ると、やはりFLEXITYは「馬面電車」であることがよくわかります。

また、FLEXITYがすっきりしているのは、ULFと異なりバックミラーがないこと。バックミラーの代わりにビデオカメラが取り付けられています。

ULFの乗務員がさっそくFLEXITYへやって来て運転室を訪問。運転台に座って、同僚から説明を受けていました。
運転室はドア越しに見ただけですが、ULFに近いシンプルなシステムになっていました。

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その後、FeriはFLEXITYの出発シーンを撮影するため、徒歩で移動。ReumannplatzのFLEXITYを見送りました。その後、市内に戻る途中、もう一回、路面区間で迎撃。好きですねぇ‥ ただ、このあたりは決して治安が良い場所ではないので、常に周囲に対する警戒は必要です。

今後、量産先行車の営業結果を踏まえて、量産車がBOMBARDIERで製造されることになっています。

現在、投入予定編成は119編成(別途、オプション契約が37編成)で、24年間のメーカー保守契約も含む調達費用は5億6200万Euro。

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置き換えの対象となる旧型のType E1は41編成、Type E2は119編成が現役として活躍しています。そのため、在来車の完全置き換えには、まだ時間がかかりそうです。

一方、FLEXITYと並行して使われることになるULFは、試作型を含めて332編成(Type A:1~131、Type B:601~801)が製造されました。

初期量産車が落成したのは、1997年ですから、運用年数も20年を越えます。恐らく更新工事を行いながら、しばらくは使用されることになるでしょう。

余談になりますが、ルーマニアのOradeaにも、2008年から2009年にかけてULF(Type A1)が10両導入されました。正面窓下の紋章こそ異なりますが、外観の塗装はWiener LinienのULFと全く同じです。


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Comments

はじめまして。来月初旬ウィーンへ旅行する予定です。
Flexityをぜひ見たいと思っていますが、現在でも67系統のみでの運用となっているのでしょうか? ご存知であればお教えいただければ幸いです。

Posted by: metropolis | July 15, 2019 23:51

metropolis様

現時点では、FLEXITYが他線区で営業運転しているという情報は入っておりません。私は現車を確認していませんが、2019年5月に量産車2両(303、304号)が落成し、Wiener Linienに引き渡されました。こちらも、67系統に投入されたという情報があります。
以前よりはFLEXITYを見かけるチャンスは増えたかも知れません。
良いご旅行を。

Posted by: Feri | July 17, 2019 04:27

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