立派な建物の意外な付属施設
5月4日は皇居で一般参賀が行われ、多くの国民が集まったようですね。また、令和グッズも色々と発売されているとか‥
さて、今日は日本の「こどもの日」にちなんで「古い伝統的な建物にまつわる話題」をお届けしましょう。
最近はスクラップアンドビルド方式が増えてきたウィーンですが、まだまだ、伝統的な建物を再利用するというスタイルも健在です。
さて、皆さまは、冒頭の写真に写っている建物は、何だと思いますか? 場所は16区、Ottakringer墓地に隣接するところです。
煉瓦造りの円形タワーの上に、開閉式のドーム屋根。天文台の趣ですね。
実際、正面に回って見ると、タワーの上部には「M.v.KUFFNER SCHE STERNWARTE」という文字が描かれていました。
ここは1884年に完成した私設のKuffner-Sternwarte(クフナー天文台)です。Moritz Kuffnerという実業家(Ottakringer Brauereiを父親から引き継いで経営、右の写真の人物)が、私費を投じて天文台を建て、天文観測に乗り出しました。
個人で天文台を運営してしまうというのは、当時のオーストリアには経済的に豊かな人物がいたことの証かも知れません。
ちなみにFranz Ritter von Neumann juniorという人物が設計を行っています。
Kuffner-Sternwarte は、その後、1928年には科学アカデミーと施設利用に関する契約を交わすなど、公的な調査・研究にも貢献しています。
そして、第2次世界大戦中の1944年9月、建物と周辺エリアは帝国科学教育省に売却されました。戦後は社会人教育施設として、クフナー天文台は再開されます。
現在、施設は「Freunde der Kuffner-Sternwarte」という団体が運営にあたっています。
有料のガイドツアーも組まれており、観光客の皆さんも内部を見学することができます。
古い天体観測機器なども保存されているようで、天文観測に興味のある方には、必見の施設かもしれません。
と、まぁ、ここまでは天文台の経緯に関するお話のですが、先日、Feriが訪問したとき、クフナー天文台の正門脇には「天文台の案内」ではなく、「Kindergartenの案内」が掲げられていました。
この記事をまとめるために、ちょっと調べたところ、現在は、同じ敷地内に民間の幼稚園(保育園、名称は「KIDER IN WIEN」)が併設されていることがわかりました。
「天文台併設の幼稚園」というのは、珍しいですね。対象となるのは0歳から6歳までの子供さんだそうです。
Feriが、近くを通りかかったときは、残念ながら園児の姿を見ることはできませんでしたが、広い敷地なので、伸び伸びとした保育ができそうな気がします。
このように一見すると「全く畑違い」の施設を併設し、運営しているところにウィーンらしさを感じた次第です。
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