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June 08, 2019

Volksoper「Orpheus in der Unterwelt」(上)

Orpheus_001今日は Rathausplatzで恒例の「Life Ball」が開催されます。 Rathausplatzでは準備も整い、夕方からは路面電車を含むRingで交通規制も行われます。さて、最近は「オペレッタもの」の記事が少なくなってしまった当ブログ。何か寂しい気持ちです。

2018/19シーズンも最終月になりましたが、VolksoperではJacques Offenbach作の名作オペレッタ「Orpheus in der Unterwelt」(地獄のオルフェ)の再演が始まりました。

かつて、日本の運動会では定番曲だった「天国と地獄のギャロップ」。「Orpheus in der Unterwelt」というオペレッタは知らなくても、この曲を聴いたことのない日本人は少ないかも知れません。

最近の運動会でもかかっているかは存じませんが、友人の話ですと、この時期、日本のスーパーマーケットでは店内のBGMで流れていることが多いとか‥

本作品は2007/08シーズンにPremiereが行われましたが、このシーズンはRobert MeyerさんがDirectorに就任したシーズンでもあります。

ただ、就任直後でしたから、実際の演出などには関わっていなかったと思われますが‥ある意味、過渡期の作品と言えるでしょう。

 演出はHelmut Baumannさん、舞台装置はMathias Fischer-Dieskauさん、衣装はUta Loherさん・Conny Lüdersさんと、2008/09シーズンで上演された時と同じです。

Orpheus_006指揮はGuido Mancusiさん。Feriが観た日の出演者は、以下のとおりです。なお( )内は再演初日のメンバー。Feriが観たのはセカンドクルーという訳です。
-Pluto (Aristeus/プリュント):David Sitka(Vincent Schirrmacher)さん
-Jupiter(ジュピター):Martin Winklerさん
-Orpheus(オルフェ):Thomas Sigwald(Carsten Süss)さん
-Hans Styx(ハンス・スチュクス):Boris Eder(Robert Meyer)さん
-Merkur(メルキュール):Gernot Krannerさん
-Mars(マルス):Heinz Fitzka (Daniel Ohlenschläger)さん
-Eurydike(オルフェの妻ウリディース):Julia Koci(Rebecca Nelsen)さん
-Diana(ディアヌ):Birgid Steinbergerさん
-Öffentliche(世論):Regula Rosin( MeinungRegula Rosin)さん
-Venus(ヴェニュス):Annely Peeboさん
-Cupido(キューピット):Jakob Semotanさん
-Juno(ジュピターの妻ジュノン):Christian Grafさん
-Minerva(ミネルヴ):Elvira Soukopさん
-Eine Schülerin des Orpheus: Una Stanicさん

当たり前ですが、10年前に観た時とは、メンバーが変わっていますが、OrpheusにはThomas Sigwaldさんが再起用されたのは、正直、驚き。

Orpheus_021ちなみに2008年9月に観た時は、PlutoはChristian Bäumgartelさん、JupiterはKurt Schreibmayerさん、OrpheusはThomas Sigwaldさん、Cupidoは怪演が光ったGerald Pichowetzさんでした。
Feriも10年前に観た作品なので、記憶が十分ではないのですが、当時のブログ記事を見てみると、ほぼ同じ舞台装置、演出のようです。

Volksoperの場合、ある程度、期間が空いた再演の場合、新演出に切り替えるケースが多いのですが、本作品は異例中の異例。舞台装置や衣装は10年間の保管してあったのでしょうか。10年以上経過した演出の作品を、ほぼそのまま再演した理由をRobert Meyerさんに伺いたいところですね。

そして、最近、Volksoperで上演されるオペレッタは、ほとんどワイヤレスマイクを使っていますが、今回は久しぶりにマイクのアシストなし。出演者の実力が問われますが、やはりこちらの方が良いですね。

なお、今回のVolksoperの公式写真を借用いたしましたが、ファーストクルーの映像が中心なので、記事の中身とマッチしない点はご容赦ください。

本作品のオリジナルは、古代ギリシャをベースにしていますが、実態は倦怠期に陥った中年夫婦のお話(実際は、男女の色事に関する生々した話)という、オペレッタらしい内容です。

Orpheus_007今回の演出は「完全な現代劇」です。そもそも、天国も地獄も、想像の産物ですから、現代劇にしても別に問題はありません。

せっかくなので舞台の流れに沿ってご紹介しましょう。

「序曲・プロローグ」は、地獄の場面です。のっけから、地獄の住人の扮装をしたバレエ団が大挙して登場しました。通常、世論が出てくるらしいのですが、今回は出てこなかったようです。

地獄から第1幕第1場へ移動する際は、奈落を上手に使い、短時間で場面転換を実現します。プロローグの最後は、ご存じ、「天国と地獄」のギャロップで締め括ります。場面転換の際、地獄の炎が上盛大にがり、ちょっとびっくり…火薬を使った派手な演出は健在です。

第1幕第1場は、本来、神話時代のギリシャ・テーバイ郊外の野原ですが、本公演では「現代の集合住宅」です。
Orpheus_002オリジナルでは、アノステ(実はプリュント)は羊飼いという想定ですが、現代の都会に羊飼いは居ませんので、革ジャンを着た「かっこいいイケメンのお兄さん」といった出で立ちで登場。このコスチュームが、もしかすると今回は変わっていたのかも知れません。

自分の音楽学校に通う女性生徒に目がないオルフェと、アノステと浮気中のウリディースが、夫婦げんかをする場面や、ウリディースをヴァイオリンの演奏で責め立てるシーンは、オリジナルと同じ進行です。

本演出では、オルフェ本人がヴァイオリンを弾くのではなく、教え子(本物のヴァイオリン奏者)が弾きます。

オリジナルはウリディースは毒蛇に噛まれて倒れることになっていますが、今回の演出では、アノステがドラッグをウリディースに吸わせ、意識がもうろうとなったところで、怪しげなお酒を飲ませて、ノックアウトするという形。今の世相を反映した「女性の落とし方」です。

Orpheus_004オルフェが、妻がいなくなったと喜ぶシーンは、はじめは泣き顔で歌い出して、後半は笑顔に転換するだけに見所です。しかし、世論に、「後世のためにもジュピターに頼んで妻を黄泉の国から取り戻しなさい」と命じられて、渋々天国へと向かうことになります。

ここで、暗転により第2場へ。第2場は「天上のオリンポス」。非常に短時間で舞台転換をするのですが、明るい天上を巧みに表現しています。天上へ地上からエレベーターが通じているところが本演出のポイント。

朝帰りのベニュスとキューピットが眠っていますが、皆さん、なかなか特徴的な衣装を身につけています。神々は、男女とも前に金属製の鎧のようなものをつけて、地獄の住人と差別化を図っているようです。

ディアヌが、恋人のアクテオンがいなくなってしまったと訴える場面では、アリア「ディアヌが野原に降りてみると」が歌われます。ただし、悲しいにしては愉快そうに歌う彼女に、ジュピターは、処女のシンボルであるディアヌが情事にふけられては神々の体面が傷つくと、アクテオンを動物に変えてしまったと説教をします。

さらに、ジュピターとジュノーも夫婦仲が悪いという設定になっており、天上も、地上同様に風紀が乱れています。

天上では、ウリディースを誘拐したのは、ジュピターだという噂が流れていますが、調査から帰ったマーキュリーが、プリュントが犯人だと報告。

Orpheus_0030022その後、プリュントがお付きをつれて天上にエレベーターに乗ってやってきます。プリュントはシャンペンを手みやげに持ってくるのですが、天上の神様もシャンペンには目がなく、銘柄を見てはしゃいでいました。

ジュピターが、お付きの者をコントロールしていると言って、ジュノンを安心させようとするのですが、逆に神々の反乱を招き、プラカードを掲げて抗議運動が起こります。

皆から「プレーボーイ」呼ばわりされますが、この場面では「お堅いアルクメールを惑わすために」が歌われ、なかなか楽しいシーンになっていました。

また、ジュピターが怒って雷を呼ぶシーンがありますが、ここで手に持った鏃から火花がでるようになっています。

その後、世論と共にオルフェが天上にやってきます。オルフェウスは、グルックのアノアをもじり、「妻を返してほしい」と歌いますが、プリュトンは断固拒否。

しかし、結局、プリュントはウリディースを返すことに同意しますが、それが本当に行われるかを検証するために、神々が全員、エレベーターの乗り、地獄へ到着したところで、第1幕がお開きとなります。

しかし、地獄の歓迎に神々も、まんざらでもないというところが、オペレッタらしいところ。第2場は、お芝居の部分が多いのですが、なかなかテンポの良い展開で観ていて飽きることはありません。

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