AIRPOWER19 - Österreichs größte Airshow
日本では、今週末(9月7日、8日)、千葉県幕張でRedBull AirRaceの最終戦が行われます。今まで、世界各地を転戦していたRedBull AirRaceですが、観客動員が伸び悩んでいることなどから、2019シーズン途中で、打ち切りが決まったようです。
その最終戦が、CHIBAというのは、何とも皮肉なもの。
今日は「オーストリアでは珍しい航空ショーの話題」をお届けしましょう。
9月6日と7日、シュタイヤマルク州Zeltwegにあるオーストリア連邦軍Hinterstoisser基地で「AIRPOWER19」が開催されます。
この航空ショーは、オーストリア連邦軍がシュタイヤマルク州とRedBullと協同で開催するものです(開催費用を3者で分担負担)。費用がかかるため、毎年、開催することは困難で、前回は2016年開催でした。
ちなみに連邦軍は、軍人のリクルーティング(オーストリアは徴兵制を採用していますが、パイロットなどは職業軍人ですから)が目的で、シュタイヤマルク州はインバウンド需要を狙っています。
日本と異なり、ヨーロッパで開催される航空ショーは、自国の航空機だけでなく、海外からデモンストレーションチームや各種航空機が参加するのが常。今回は、約200機が参加する予定です。
通常、この手のイベントは日曜日が入るのが普通ですが、金曜と土曜の開催。これは、もしかしたら教会への配慮かもしれません。
ミサが終わった午後からのフライトディスプレイならば良いのですが、今回は朝から夕方まで通しで行われます。何しろ、それなりに騒音が発生しますから‥
もちろん、全機がフライトディスプレイ(展示飛行)を披露する訳ではありませんが、フライトディスプレイは9時から始まり、4のセクションに分けて、18時まで行われます。
一般の方にも人気が高いデモンストレーションチームですが、今回は、空軍と民間の双方から、以下のチームが参加します。
-Frecce Tricolori(イタリア空軍)
-Patrouille Suisse(スイス空軍)
-Patrulla Águila(スペイン空軍)
-Luftstreitkräfte(オーストリ連邦軍)
-Breitling Jet Team(民間)
-Team Blanix(民間、グライダーのアクロバットチーム)
-Krila Oluje (Wings of Storm、民間、クロアチア)
-RED BULL Aerobatic Triple(民間)
-Czech Aerobatics Team(民間)
-Red Bull Skydive Team(民間、スカイダイビングチーム)
この中で、何と言っても一番人気は、ヨーロッパの三大チームの一つである「Frecce Tricolori」でしょうね。イタリア人らしい破天荒な展示を披露します。Feriも、その昔、イタリア国内で「Frecce Tricolori」のデモフライトを観たことがありましたが、イタリア人の熱狂ぶりには、参りました。
このほか軍用機では、Eurofighter Typhoon(オーストリア連邦軍)、Boeing F/A-18 HORNET(スイス空軍)、Saab 105OE(オーストリア連邦軍)、Northrop F-5(スイス空軍)、Lockheed Martin F-16(ギリシャ空軍)、Saab JAS-39 GRIPEN(ハンガリー空軍)、Aero L-39 Albatros(民間)、CASA C-101 Aviojet(スペイン空軍)などがフライトディプレイを行うことになっています。
オーストリア連邦軍では、AIRPOWER19の開催に合わせて、Eurofighter Typhoonにスペシャルマーキングを施しています。気合いが入っていますなぁ。
こちらでは、ビンテージ航空機を使ったヘリテイジフライトも盛ん。特にオーストリアでは、RedBullが、ビンテージ航空機を多数所有しているため、意外と多く、フライトを披露します。Douglas DC-6B、Lockheed P-38L LIGHTNING、Chance Vaught F4U-4 CORSAIR、Boeing PT-17 STEARMANなどなど‥
現役の軍用機も含めて、日本ではお目にかかることができない航空機が多数。
また、フライトディスプレイを披露しない地上展示にも、興味深い航空機がラインナップされています。例えば、TORNADO(ドイツ連邦軍)、Saab 105OE(オーストリア連邦軍)、Mig-29 FULCRUM(スロバキア空軍)、Lockheed Martin F-35A LightningⅡ(米軍だと思いますが‥)。
ステルス戦闘機F-35Aが、オーストリアで公開されるのは、初めてかもしれません。
この他、各種ヘリコプター(S-70 BLACK HAWK、Agusta Bell AB-212など、いずれもオーストリア連邦軍)や輸送機(AIRBUS A400M ATLAS)、早期警戒機(E-3A)、哨戒機(P-3C Orion、P-8 Poseidon)ビンテージ航空機(Antonov AN-2、Douglas DC-6B、Jakowlew YAK-11 MOOSEなど)も展示されることになっています。
地上展示機の中には、フライトディスプレイを行うものもありますが、地上展示だけという機種も‥
実は地上展示の機材に関しては、当たり前ですが、ホームベースから自分で飛んで会場までやってきます(これをFly inと言います)。そのため、熱心なファンは、到着や帰投を基地外から撮影します。
今回、飛行展示を行わない機材の中には、オーストリアでは珍しい機材も多いため、恐らくAIRPOWER19の前後は、基地周辺に熱心なファンが展開していると思います。
ところで、これだけ大規模なイベントですが、今回、入場無料となりました。これは、有料入場券で問題が発生したことから、無料に踏み切ったようです。
ただ、航空ファン向けに撮影エリアに入場できる「SPOTTER-TICKET」は別途、販売があったようですが、速攻で、売り切れました。
この他、招待者向けのVIPゾーンは、別に設定されています。なお、会場内にある子供向けの遊戯施設を備えたゾーン(Kinderbereich)だけは、1日6Euroの入場料がかかります。これは、専門の保安要員などを配置しているためだと思われます。
物騒なご時世なので、入場時には手荷物検査が実施されるようで、持ち込み禁止品のリストが公開されています。
武器類やレーザーポインター、花火、ドローンなどはもちろん禁止。また、ビーチパラソルも持ち込み禁止(通常の雨傘はOK)。これは観覧を妨害するからでしょうね。手荷物検査で、違反品が発見された場合、入場はできないようです。
日本では、自衛隊の航空祭でも航空無線を受信できるエアバンドラジオの持ち込みは制限されていませんが、こちらでは無線機(受信機も含めて)は一切禁止です。入り口で預けることもできないと紹介されています。
ビデオで、連邦軍のパイロットが手荷物検査と違反品の概要を紹介していますが、なかなか面白い作りになっていました。
興味深いのは、ホームページで飛行禁止エリアを公開していることです(地図の赤いゾーン)。これは、会場外であっても、ドローンなどの飛行を制限するためのようです。
オーストリアでは、スポーツ航空が盛んですから、グライダーなどが、飛行禁止空域に入ると危険なので、そういった観点でも公開している可能性もありますね。
また、ペットの入場は禁止ですが、「車内にペットを放置しないでください」という注釈がついているのは、お国柄でしょうか。
オーストリアとしては、大規模な航空ショーなので、シュタイヤマルク州以外の連邦軍部隊から兵士や軍用犬が多数動員され、その準備や警戒にあたっています。
「AIRPOWER2019」ですが、はっきり言えば、ヨーロッパの航空大国で開催されるエアショーに比べれば、参加するチームや機材は、若干、寂しいですが、それでもオーストリアという国を考慮すれば、精一杯頑張っていると思います。なお、主催者は300000人の人出を見込んでいるようです。
さて、会場への移動手段ですが、アウトバーンS36号線が横を通っていますから、自動車で向かうのが一般的です。が、大渋滞は必至。そこで、ÖBBでは、臨時列車を設定し、列車の利用を呼びかけています。実は、ÖBBのZeltweg駅から会場までは、徒歩でも、あまり時間がかかりません。
駐車場は会場周辺にも設けられますが、大規模駐車場は会場から離れたKraubathに開設されます(S36号線のインターチェンジ近く)。
そこで、ÖBBでは大規模駐車場があるKraubathとZeltweg間に臨時シャトル列車(無料)を15分~25分間隔で設定します。この駐車場は駅にも近いため、Park+Rideという作戦です。
更にRailJetなどの優等列車を利用する乗客のため、Bruck/Mur -Unzmarkt間で通常の2倍にあたる臨時列車を設定します。これらの臨時列車の輸送力は32000名になるとÖBBは公表しています。
そして、「隠し球」は、オーストリア各地からZeltweg間の割引運賃。これを利用すれば、かなり安く行くとができます。
この他、7日にはÖsterreichische Gesellschaft für Eisenbahngeschichte(オーストリア鉄道歴史協会)が「Sonderzug ab Salzburg zur "Airpower"」という歴史的な電気機関車を使った臨時列車Salzburg-Zeltweg間(復路はKnittelfeld発)に運転します。
鉄道ファンと航空ファンを兼ねているFeri向けの列車ですなぁ‥
いずれにしても主催者としては、極力、公共交通機関を使って来場してもらいたいようです。
飛行機も好きなFeriとしては、本当は夏休みの時期をずらして、観に行きたかったのですが、仕事の関係があり、泣く泣く、断念。
そのうち、YouTubeなどに当日の模様が紹介されることでしょう。

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