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November 24, 2019

Volksoper「König Karotte」PremiereReport(中)

20191123021今日は「König Karotte」の休憩後、後半の様子をお届けしましょう。なお、後半は45分なので、場面転換も早くテンポが良く、冗長な感じはありません。

第3幕
前奏曲の最中から、緞帳の前に「にんじん王」が登場します。緞帳が開くと「宮殿広間」で始まります。本来の4幕版では、3幕の冒頭は宮殿広間ではないそうです。なお、3幕版の第3幕は「にんじん王の宮殿広間」で始まるので、このパターンを踏襲しているようです。

にんじん王はジャムに夢中。そこへ、ロバン、ロゼ、ピペルトリュンクは東洋から来た商人に扮して「にんじん王」に接見。様々な貢ぎ物を「にんじん王」に差し出しますが、その中には巨大なスライサーも‥ これで「にんじん王」のカラダを削る場面も‥

皆が立ち去ると、フリドランが現れ、キュネゴンドを見つけます。魔法のため「にんじん王」の愛人になっているキュネゴンドは「自分は被害者だ」と訴え、フリドランを油断させます。そして、「ソロモンの指輪」をフリドランから奪い取ってしまうのでした(3枚目の写真が、その場面です)。

なお、舞台写真を見るとわかるようにフリドランが王座に座るときは、ちゃんと椅子は正規の形に戻します。

20191123022「にんじん王」を失墜させる作戦は失敗。一行は宮殿から姿を消します。

場面は「」。ロゼはフリドランの「最後の救い」である「魔法の四つ葉のクローバー」を手に入れます。ただ、「魔法の四つ葉のクローバー」には掟があります。最後の葉を摘んで願いを叶えると、使った人間は死んでしまうのです。ロゼはフリドリンに会うため、最初の葉を抜くのでした。健気なロゼ。

なお、「森」の場面は、舞台上ではなく、プロンプターボックス経由で宮殿から逃げたロゼとロバンが、オーケストラピットの中でお芝居を展開します。

その間、舞台には森をイメージしたスクリーンが降りています。そのため、オーケストラピットが見えない席だと、何が起こっているのかよくわかりません。

場面は「アリの王国」に変わります(ここも公式写真が入手できませんでした)。映像を駆使した幻想的なシーン。アリ軍団は、ライトサーベルのような武器を手にしています。そこへロバンとロゼがやってきます。

クローバーの威力でアリ軍団のリーダーはフリドリンとトリュックを解放し、魔女との戦いを支援する準備を整えます。

20191123024アリ軍団は魔女コロカントを捕らえます。そして、ロゼは2番目のクローバーの葉をはぎ取り、フリドリン、ロバン、トリュックと逃げます。

この場面は、後半の見せ場の一つ。オリジナルでは「虫のバレエ」が披露される箇所で、オッフェンバックはかなり苦労したようです。今回、バレエダンサーは出演せず、合唱団がアリ軍団に扮しています。どのようなバレエだったのか、正直、観たかった箇所でもあります。

第4幕
暗転で、第4幕へ。一行の冒険は続きます。場面は「猿の島」。3番目のクローバーは、「猿の島」で難破した一行を救うために使われます。

「アリの王国」から漂流してきた一行が「猿の島」にたどり着きます。ロゼをかついで島に上陸したフリドリンは、男装をしていたロゼが若い女性であることを知り、彼女に愛情を抱くのでした。

ここでトリュックが「猿の王」に襲われて大騒ぎ。実は「猿の王」を捕獲することが、「にんじん王」失客につながるため、トリュックは猿の真似をして、「猿の王」を油断させます。そして、仲間と協力して、「猿の王」の捕獲に成功。

この「猿の王」の動きは見物です。時間の関係で、この場面、若干、省略していると思います(初演の際は「耐えがたい長さ」という論評があったそうです)。

森氏の論文によると、台本は2ページ半。しかも、複数の猿が出てきて、トリュックが何かをするたびに、猿たちがそれを真似るというパントマイムが展開されるそうです。今回は、「猿の王」一頭だけの出演なので、時間短縮ができたのでしょう。ちなみに3幕版では、「猿の島」の場面はありません。

20191123025場面は「宮殿広間」へ転換。「にんじん王」は、魔女の加護がなくなったため、目に見えて元気を失っており、大臣達は、その対策をキュネゴンドに依頼します。

キュネゴンドは自慢の色気と歌で「にんじん王」を元気づけようとしますが、元気にはなりません。もはや「にんじん王」に往事に勢いはなくなっています。初演当時、観客の多くは、この場面を見て、「にんじん王]がナポレオンで、衰退の一歩をたどっていると勘違いしても不思議ではありません。

場面は再び「マルクトプラッツ」。クロコディヌの民衆は「にんじん王」の統治(物価高)に不満を募らせており、「卵の値段」から物価高に不満を抱く人々が集まり、合唱を行います。

ただ、内心は激怒していますが、魔法のせいでおとなしいまま。トリュックは最後に残った「魔法の粉」を使い、民衆を魔法から解き放ちます。魔法から目覚めた国民を変奏したピペルトリュンクが反乱を煽動します。

この場面は、民衆を反乱に駆り立てるため、過激な歌詞が特徴。ブルジョア、暴政、暴君といった言葉が入っています。そして、「にんじん王」一派に対する反乱が始まります。

表面的には「帝政を覆る民衆の反乱」に見えますが、本作品では「にんじん王」が王制を覆す勢力。つまり、民衆が改革派を打倒するというストーリーになっているのです。

今の時代で見るとたわいないお話ですが、第二帝政から第三共和政へ移行する時期にリアルタイムで上演されたことを考えると、意味深いものがあります。

最初は「にんじん王」の軍隊に鎮圧の命令が下りますが、民衆の勢いに押されて、寝返ります。最後に「にんじん王」側についていた王女キュネゴンドをはじめ大臣も、国民の反乱に「白旗」を揚げて降伏。本当に白旗を揚げて出てくるというわかりやすい演出。

そして、フリドラン側につき、宮殿に向かって行進を始めました。集まった民衆が、武器ではなく、農作業の道具を持っているのが、意味深です。そして、フリドランが再び民衆の頂点に立ちます。この場面は、合唱の迫力が素晴らしいところ(この場面も公式写真が入手できませんでした)。

なお、この最中、魔女コロカントがロゼを密かに連れ出します(見逃しやすい場面)。「にんじん王」が自ら緞帳を下ろし、幕引きを図ります。

緞帳の前に「にんじん王」と魔女コロカントが現れます。落ち込んで魔女コロカントに泣きつく「にんじん王」。コロカントは“人間には、あなたの命を左右することはできない”と言うのでした。

幕が開くと「宮殿の菜園」。ロゼが「四つ葉のクローバー」を持って一人だけいます。魔女コロカントがロゼに、“最後の葉を使ったらおまえは死ぬ”と脅しますが、ロゼは「にんじん王」を完全に失脚させるため「四つ葉のクローバー」の最後の一葉を使う決心をします。

この時、妖精ロバンが「猿の王」を連れてきます。そして、「猿の王」がロゼから「四つ葉のクローバー」を奪い取り、葉を抜き、「にんじん王」にとどめを刺すのでした。そして、魔女コロカントも消えます。

場面は「宮殿広間」。民衆が集まってきます。キュネゴンドは、嫌気がさしてスマホで連絡して自国へ戻っていきます。そして、フリドランは王位に戻り、民衆に祝福されロゼと結婚するのでした。

第二帝政から第三共和政へ移行する時期、王政復古を連想させる物語を展開したオッフェンバックとサルドゥは根性がありますね。

明日は出演者の仕上がりを含めた雑感をお届けします。

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