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January 05, 2020

ÖBBの夜行列車拡大計画

20200104008日本では報道されていないかもしれませんが、オーストリアでは中道右派「国民党」(ÖVP)と左派「緑の党」(GRÜNE)の連立交渉が合意に至りました。

今後、1月7日にも大統領府でバン・デア・ベレン大統領のもとで宣誓式を行い、初の「国民党・緑の党」連立政権がスタートする予定です。

ところで「国民党」と「緑の党」では、難民政策などで大きな開きがあり、マスコミの中には「政治的実験」という見方をしているところもあります。正に「オペレッタ国家」の面目躍如‥と言ったところでしょうか。

今回、連立交渉の中で、環境保護政党である「緑の党」の主張に配慮して、近中距離航空便を利用する場合、一律12Euroの環境税が加えられることが決まったようです。

さて、今日はCO2排出削減で注目されている「長距離夜行列車の話題」です。

20200104007このブログでもお伝えしたように3年前、2016年にÖBBはドイツ鉄道(DB)の夜行列車事業を引き継ぎました。2019年も「NightJet」の利用者が増加するなど、ÖBBの思惑通り、事業は順調に推移しています。

具体的にはウィーン-フェルトキルヒルートでは、20%利用者が増加しました。また、ウィーン-チューリッヒ間、ミュンヘン-ミラノ間では、前年より利用者19%増え、平均して、すべての目的地で乗客が11%増加しました。

これを受けて、ÖBBでは、現在、新しい目的地への運行を目指して各国の鉄道会社と交渉を行っています。

20200104003まず、2020年1月19日から、ウィーン-ブリュッセル間に「NightJet」が週2便、運行されます。そして、2020年12月のダイヤ改正では、ウィ-ン-アムステルダム間の「NightJet」運行が計画中です。ÖBB幹部によると、2026年までにパリ、バルセロナ、北欧への「NightJet」運行を計画しているとのことです。

現在、ÖBBは「Nightjet」ブランドで夜間列車18本を運行しています。さらに、パートナーによりブダペスト-チューリッヒ間など8本が運行されています。

20200104005現在は、従来の寝台車を使用していますが、2022/23シーズンには近代化された新しいタイプの寝台車(カプセルタイプ)投入され、更に魅力がアップします。

「NightJet」の特徴は、オール寝台ではなく、「価格に敏感な旅行者」をターゲットに座席車も連結されている点です。

その昔、日本の国鉄でも初代ブルートレイン20系が就役した頃、座席車を連結していましたが、それと同じ発想だと思います。

20200104002ÖBB幹部によると、各国との交渉で問題になっているのは路線使用料です。特に国によっては、高速列車用の料金カテゴリーを提示してくるところもあり、ÖBBとしては夜行列車なので、別のカテゴリーを設定するように要求しているようです。

また、国際航空便には付加価値税は課税されませんが、鉄道運賃には付加価値税が課税されます。この点についてもÖBB幹部は、競争力確保の観点から見直しを図るように要求しています。

さらに、工事などにより夜間、路線が閉鎖されると迂回せざるを得なくなり、ダイヤ維持が困難です。従って、夜行列車運行路線の夜間保守をどうするかも、問題になっています。

20200104004注目されるのはKoralmとSemmeringのトンネル建設です。Semmeringトンネルについては、難工事であるため工事が遅延しているようですが、Koralmトンネルは順調に掘削工事が進んでいます。

2025年12月にはKoralmトンネルの営業運転が開始される予定で、その場合、ウィーン-ヴィラッハ間の四用時間は、従来の4時間25分から、約3時間半に短縮される予定です。

このように国際夜行列車の運行が可能な理由は、ヨーロッパの国鉄が、上下分割方式で民営化されたことが最大の要因です。

20200104001つまり路線を保有するインフラ会社は、自社の収入を確保するため、多くの列車を運行させる必要があります。つまり自国内の列車運行会社だけでなく、国際夜行列車や国際貨物列車の運行も大歓迎という訳です。

それに加えて、ヨーロッパ全体がCO2排出量削減に「前のめり」になっていることも、夜行列車復建の追い風になっているようです(ただ、実際には鉄道と航空機では、インフラ建設や保守を含めるとCO2の排出量は大きく違わないという説もありますが‥)。

20200104006なお、ÖBBは、現在、全ての電力を再生可能エネルギーでまかなっています。

振り返ると日本の国鉄は、上下一体での分割民営化されたため、会社間の利害が対立し、結果的に会社間をまたがる夜行列車の運行は、ほとんど消えてしまいました。

そして、自社内だけを走るクルーズトレインが唯一の夜行列車に‥もう、クルーズトレインは公共交通機関ではありませんよね。

逆に、夜行高速バスが活況を呈しているという話を耳にしました。リーズナブルな値段であれば、バスよりもゆったりできる列車を好むお客さまも多いと思われるだけに、ちょっと残念な気がします。

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Comments

個人的にかなり意外だったのがNJのブリッセル乗り入れです。アムステルダムは前々から話はあったけど、ブリッセルは夜行列車の発着がここ最近は無く、「今後も無いんじゃないかな?」と思っていただけに、今回の週2ながらも乗り入れ開始には驚きました。恐らく、ロンドン行きのユーロスターへの接続も考慮していると思われるので、今後の状況次第では毎日運転に拡大される可能性はあります。ただ、今後アムステルダム行きと両立出来るのかどうか気になりますが…2本立てになるのかもしれませんけど。

また気になるのはパリ行き復活やスペイン・バルセロナ行き、北欧行きも気になります。パリ行きはCNL時代はベルリン、ハンブルク、ミュンヘンから出ていましたけど、これも同様に復活するだけか、はたまた他都市から発着するのか気になるし、スペインの方は広軌と標準軌の幅を変えられるタルゴ式列車導入か、はたたま列車をそのまま標準軌の高速新線に乗り入れになるのか、北欧の方はCNL時代のコペンハーゲンだけか、それ以外の都市にも乗り入れるのか、気になる所です。

ÖBBのNJばかりではなく、他の格安系鉄道会社も夜行列車の運転に前向きと聞いていますし、フランス国内でもフレックストレインが国内夜行列車に参入する話があります。今後どうなっていくのか楽しみではないでしょうか?まぁ、昼間よりは夜行の方が夜出発で朝到着というので、競合し難いという事情もあるかもしれませんが、さて・・・

Posted by: おざきとしふみ | February 09, 2020 12:46

おざきとしふみ様

コメント、ありがとうございます。現在はDBなどから譲渡された車両なども使ってNightJetを運行していますが、本格攻勢に出るとすれば、新型車両の導入後になるような気がします。

フランスに関しては、他国と異なり、現在も国鉄なので、交渉に手間取りそうな気がします。上下分割方式で民営化されたメリットを生かしているのが、NightJetですが、今後の動向も見守りたいと思います。

Posted by: Feri | February 09, 2020 17:16

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