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February 16, 2020

2020年のWiener Linien事業計画

20200215003今日は先日発表された「Wiener Linienの2020年事業計画」についてご紹介しましょう。

現在、ウィーン市およびWiener Linienが力を入れている公共交通機関利用促進の切り札「年間パス」の利用者が2019年は過去最高の852000名となりました。

これは、自家用車から公共交通機関へのシフトを意味するもので、Wiener Linienでは年間1.5トンのCO2削減が期待できると発表しています。

写真入り記名式年間パスの料金は365Euro。つまり1日1Euro。ご存じのようにウィーン市内の1回券は2.4Euroですから、その半額以下。1ヵ月パスの料金が51Euroであることを考えると、とてもオトク。1回券を152回使えば元が取れる計算です。

20200215007実際の換算レートとは異なりますが、1Euroは日本の100円に近いイメージ。つまり36500円で東京23区内のJR、私鉄、地下鉄、都営交通、各社バスが使い放題という訳です。

東京の場合、ラッシュ時は公共交通機関が輸送限界に近いですから、モーダルシフトをこれ以上進めるつもりはないかもしれませんので、この手の施策は出てこないと思います。

20200215006ウィーンの公共交通機関の利用率ですが、昨年は38%でした。ちなみにミュンヘンが24%、ハンブルクが22%ですから、高い比率を確保していると言えます。また、昨年、ウィーンの自動車通行量は4%減少しました。

Mobile Split2019を見ると、1993年と2019年の利用交通機関比較グラフが掲載されていますが、この四半世紀の間に公共交通機関の利用者は38%に増加しました(プラス9%)。逆に自家用車は25%に減少しています(マイナス15%)。自転車利用も4%増の7%です。興味深いのは徒歩が30%も占めている点です。さすが、コンパクトシティ・ウィーン。

ウィーンで公共交通機関と自家用車の利用比率が逆転したのは、グラフを見るとわかるように2015年のことです。

20200215011Wiener Linienでは、この流れを加速するため、2020年は3億6800万Euroユーロの投資を行うと発表しました。ちなみに2019年は「トラムの年」でしたが、今年、2020年は「エコバスの年」として、バスの充実に力を入れます。

○2020年は「エコバスの年」
Wiener Linienでは、現在、環境性能に優れたEuro 6バス414台、電気バス12台、自律型電気バス2台を使い、年間2億人の乗客を輸送しています。

環境性能に優れたバスに更新することで、20パーセントのエネルギー消費が抑えられたほか、CO2排出量も44%削減されました。

20200215009このブログでもお伝えしているように現在、旧市街を中心に運用されている電気バスですが、2020年は運用範囲拡大に向けた計画がスタートします。旧市街で使用されている電気バスは8メートルですが、市街地では12メートルクラスが使用されます。

電気バス専用の車庫がSiebenhirtenに建設されることが決まり、2023年には60台の電気バスが運用される予定です。いよいよ旧市街以外でも電気バスが運用されることになるため、大きなマイルストーンになります。

20200215008一方、水素を使った燃料電池式バス(全長12メートル)の実用化試験が、6月から39A(Sievering-Heiligenstadt間)で開始されます。

燃料電池バスのテストが成功した場合、レオポルダウ発電所に隣接した場所にWiener LinienとWien Energieが協同で水素ステーションを建設することになっています。

計画では、39Aは2023年には全車が燃料電池バスに置き換えられる予定です。

20200215010一方、内燃機関を使ったバスについては、エコ燃料の導入を進めます。エコ燃料は、廃棄物から生成されるもので、Wien Energieや民間企業と共同で事業を推進することになっています。

2019年6月以降、Seestadtで運用テストが行われている自動運転バスですが、現在までに4000kmを走行し、4500名の乗客を輸送しました。テストプロジェクトは2020年夏に終了し、テストの検証が行われます。

○停留所の緑化プロジェクト
Wiener Linienでは、都市の温暖化防止にも力を入れています。その一つが、停留所待合室の緑化です。

すでにプロトタイプによるテストも行われています。また、Wiener Linienが管轄するビルディングの緑化も推進されます。

20200215001○U2×U5の建設推進
地下鉄は環境負荷の少ない乗り物であるため、2020年もU2×U5建設が推進されます。両線は都心部がルートになっているため、既存の地下鉄の下に建設されます。オーストリア得意のシールド工法で建設されますが、難易度の高い工事です。

現在、U5については新規建設区間はRathaus-Frankhplatz-Altes AKH間ですが、Hernalsへの延伸も検討課題の一つです。

ただ、こちらについては、連邦政府の認可が必要になるため、再度、プレゼンテーションを行う予定です。

20200215012○U2の新駅建設
現在、U2のAspernstrasse-Hausfeldstrasse間に新駅が建設されています。駅名はAn den alten Schanzen(仮称)で、周辺のOberes Hausfeldでは再開発に合わせて、新しいアパートが建設中です。

新駅が開業するとOberes Hausfeldの住民は、新駅からU2に直接アクセスできるようになります。なお新駅の完成は2024年の予定です。

○路面電車路線延伸
2020年はO系統がPratersternからNordbahnhofviertel再開発地区まで1.4km、延伸されます。建設は2020年春から始まり、2020年秋に開業予定です。

途中には4つの停留所が新設されます。同時に環境保全対策の一環として、専用軌道区間で、軌道緑化も推進されます。右の写真はD系統で軌道が緑化されている区間の様子です。

20200216001○WienMobil-Stationenの拡充
ウィーン市とWiener Linienが協同で進めているプロジェクトが、公共交通機関の駅から自宅までのアクセス改善です。

現在、公共交通機関の最寄り駅まで自家用車でやってくる住民も多いため、これをカシェア自転車、スクーターなどに置き換え用というものです。この目的で建設されたのが、このブログでもお伝えしたWienMobil-Stationenです。

現在、Simmering、Ottakring、Rochusmarktに設置されていますが、2020年は3箇所増設される予定です。

○地下鉄・路面電車車両の整備
先日、このブログで製造過程をご紹介したX-Wagenですが、2020年夏にWiener Linienに引き渡され、テストが開始されます。

20200215002そして、営業運転の許可を得て、2022年からU1、U2、U3、U4の各路線で営業運転を開始する予定です。2025年にはU5で完全自動運転が始まります。

独自の車両を使用しているU6ですが、2020年夏までに全車にエアコンが装備されます。

路面電車では、Flexityが増備されます。現在、8編成が6系統で運用されていますが、2020年は18編成が投入されます。投入線区は6系統と11系統で、床が高い在来車と置き換えられます。

○セキュリティの強化
Wiener Linienは警察と緊密に協力し、車内や駅の保安教化を行っていますが、2020年末までにセキュリティスタッフは130名まで増員されます。 20200215005さらに監視カメラも増強されます。現在、地下鉄の駅には約2700台の監視カメラがありますが、2020年には約180台、増設されます。なお、最近では車内に監視カメラを設置しているため、Wiener Linien全体では13000台以上の監視カメラが設置されています。

○U-Bahn-Starsの活動
Wiener Linienではストリートミュージシャンの支援も行っています。 20200215004現在、Westbahnhof、Karlsplatz、Praterstern、Landstraße、Spittelau、Neubaugasse、Stephansplatzの7駅に演奏場所が開設されており、2019年は、90組のミュージシャンが演奏を繰り広げました。2020年は演奏場所の増設が計画されています。

2020年度の投資額は3億6,800万Euroです。内訳は地下鉄路線拡張に9500万Euro、地下鉄路線の近代化に7200万Euro、車両の導入に5200万Euro、駅・車両基地・車庫などの近代化に2600万ユーロとなっています。

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