« 心機一転 再スタート | Main | 「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その2) »

February 29, 2020

「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その1)

Zigeunerbaron_ohp_001コロナウイルスの蔓延で自粛ムードの日本ですが、ウィーンは平常モード。2月29日、2019/20シーズンで注目のオペレッタ「Der Zigeunerbaron」(ジプシー男爵)のPremiereが盛大に行われました。

Volksoper得意のシュトラウスもの、かつ定番オペレッタだけに、楽しみでもあり、心配でもあります。

何しろ、2005/06シーズンでPremiereが行われた「Der Zigeunerbaron」では、3幕で出征した兵士の子供が遊ぶなか、兵士達が全員英霊となって帰還するという、オリジナルを冒涜するような演出でした。

さて、今回、演出を担当したPeter Lundさんは、過去にVolksoperで「Frau Luna」(2012/13シーズン)、「Axel an der Himmelstür」(2016/17シーズン)、そして「Die Csárdásfürstin」(2018/19シーズン)の演出を担当しています。

作品毎に演出の詳細は異なりますが、共通しているのは「映像」(動画)を多用する傾向にあること。また、ドイツ出身であるためか、Feri個人としては反戦志向が強いように感じます。

Zigeunerbaron_ohp_005まぁ、自分が原作を考えた作品であれば良いのですが、自分の思想でオリジナル作品を改編するのは、正直、Feri個人としては抵抗があります。何しろ作品が生まれた時代背景が違いますから‥

本作品は1885年(明治18年)10月24日、アン・ディア・ウィーン劇場で初演が行われました。当日はシュトラウスの60歳(還暦)の誕生日前日。1885年と言えば、自由の女神像がニューヨーク港に到着した年。

短期間で書き上げたといわれる「こうもり」と異なり、シュトラウスはこの作品を2年の歳月をかけて作曲しており、オペラに近い作品です。

実際、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフⅠ世は、本作品気に入り、劇場の皇帝席にシュトラウスを呼び寄せ、“シュトラウス君、君のオペラを余は、とても気に入った”と言ったという逸話も残っているようです。皇帝にオペラと認められたことがシュトラウス本人も嬉しかったようです。

制作陣は演出がPeter Lundさん、舞台装置がUlrike Reinhardさん、衣装がDaria Kornyshevaさん、振付がFlorian Hurlerさん、映像がAndreas Ivancsicsさん、合唱指揮がThomas Böttcher さんです。

Zigeunerbaron_ohp_007指揮はAlfred Eschwéさん。主な出演者は、以下のとおりです。なお( )内は公開ゲネプロに出演したメンバー(リザーブ組)です。
-Sándor Bárinkay, ein junger Emigrant:Lucian Krasznecさん(Marco Jentzschさん)
-Czipra, Zigeunerin:Martina Mikelićさん(Annely Peeboさん)
-Saffi, Zigeunermädchen:Kristiane Kaiserさん(Katrin Adelさん)
-Kálmán Zsupán, ein reicher Schweinezüchter im Banat:Kurt Rydlさん(Gerhard Ernstさん)
-Arsena, seine Tochter:Anita Götzさん
-Mirabella, ihre Erzieherin:Regula Rosinさん(Elisabeth Flechlさん)
-Ottokar, ihr Sohn:David Sitkaさん(Johannes Straußさん)
-Conte Carnero, königlicher Kommissär:Boris Ederさん
-Graf Peter Homonay:Marco Di Sapiaさん(Morten Frank Larsenさん)
-Páli, Vorarbeiter :Hubertus Reimさん

余談ですが、バイリンカイの名前はSándorなのです。思わずFeri憧れのおじさまSándor Némethさんを思い出してしまいます。やはりハンガリー色の強い作品です。

Zigeunerbaron_ohp_021実は27日に公開ゲネプロがありました。通常、Premiereと同じ歌手が起用されるのですが、今回は上記のようにリザーブ組(セカンドクルー)。唯一Premiere組だったのはアルゼーナのAnita Götzさんだけでした。

Volksoperの場合、リスクテイクの観点からリザーブ組の方に安定感がある歌手を起用するケースが多く、そういう意味ではPremiereはちょっと心配。

なお、今回は公開ゲネプロ(今回はリザーブ組が出演)に加えて、公式写真撮影も含めたPremiere組を使ったゲネプロも、別途、行われたという話を耳にしました。

Feri個人の感想ですが、トータルで見るとリザーブ組の方が仕上がりは良かったような気がします。歌手の仕上がりについては、別途、ご紹介する予定です。ただ、さすがにVolksoperだけあって、ヨハン・シュトラウスものは強いですね。演奏はすばらしいの一言。さすがAlfred Eschwéさんです。

興味深いのは、最近のオペレッタ新演出では、ワイヤレスマイクを使うケースが多かったのですが、今回は使用されませんでした。これは、本作品がオペラに近いことから実現したものと思われます。それだけに歌手の実力が良くわかります。

Zigeunerbaron_ohp_045最近のオペレッタの例に漏れず舞台装置は比較的シンプルで、回り舞台を使っていますが、メインは建物の壁です。それに小道具を組み合わせて変化をつけるというパターンです。

また、一部、奈落を上手に使っている場面もありました。ジブシーのキャンプなどは、全体的に暗い感じにしており、成金ジュパーン達とは対比を明確にしている感じです。

あえてオーストリアが支配下に治めたハンガリーでは、民族が二極化しているという背景をモチーフにしているように感じました。

Zigeunerbaron_ohp_047また、衣装についても暗く哀愁を帯びたジプシーと、趣味の悪い派手なジュパーン一族(いかにも新興成金らしいセンスの悪い衣装とメイク)で対比しています。

そして、ジブシー達にとって「期待の星」が、舞い戻ってきたバイリンカイ‥という筋書きです。

少なくとも2005/06シーズンの演出よりは、王道を行っている感じがします。それでは、あらすじに沿って内容をご紹介しましょう。

まず、有名な前奏曲の演奏中から映像で、オスマン・トルコを駆逐し、ハンガリーを支配下に治めたいきさつ(ベオグラードの戦い)が紹介されます。

そして、マリア・テレジアの勅命を、なぜかカラスがハンガリーへ運んできます。カラスが落とした勅命を拾って焼き捨てるジプシーの人たち。途中、二羽のカラスが双頭の鷲のようなスタイルになりますが、一羽は撃たれて、あえなく墜落‥

Zigeunerbaron_ohp_054第1幕 18世紀半ばのハンガリー、バルト地方の街、テメシュヴェール
なお、今回、カルネロが、一部でストーリーテラーのような役割を果たしています。

ジュパーンとオットカールはトルコ太守が、この地を追われたときに隠したと噂される財宝探しに余念がありません。ジプシーの子供たちが、隙を見てはオットカールの荷物を盗もうと狙っています。

ジプシーのツィプラが通りかかり、「いくら探しても見つかるものか」と嘲笑います。そこにバリンカイが政府委員カルネロとともにやって来ます。

バイリンカイの父は、この土地の所有者だったのですが、トルコ軍と通じていると疑われ、亡命した後、他界。

最近、その疑いが晴れたので、政府委員カルネロと共に父の土地を継承するために故郷に戻ってきたのです。小さいときから孤児となり、サーカスを渡り歩いてきた彼は「それでも私は気軽な若者だった」と、その生い立ちを歌います。ここは最初の聴かせどころ。

Zigeunerbaron_ohp_062カルネロはバリンカイが正統な統治所有者であることを証明する人を捜すため、ツィプラに彼がこの土地に来た目的を話します。

ツィプラは私の予言は当たったと言い、まずバリンカイの手を取り、貴方は愛する人との初夜の後に夢のお告げがあり、宝のありかを教えてくれるでしょうと占い、カルネロには、貴方は失った宝は酒樽のようになり、もう一つの宝は細長い棒のようになっているのを今日にも見つけるでしょうと占うのでした。

ジプシーの占い師ツィプラの演技が良い雰囲気を出しています。この間も、抜け目のないジプシーの子供たちがカルネロの荷物を狙っています。

Zigeunerbaron_ohp_0752人は占いと頭から信ぜず、とにかく証人として、この証書に署名してくれと言いますが、字の書けないツィプラは十字の署名を行います。

次にジュパーンが登場。同じく証人として署名を求められますが、「自分は読み書きが専門でない、豚が専門」と言い放って豚の絵を書名します。ただ、舞台上でのお話なので、署名は見えません。

成金ジュパーンは、本演出では養豚家ではなく、食肉加工業も営む企業家。食肉加工工場が出てきますが、なぜか従業員(合唱団)は全員豚の特殊メイク。豚が豚を処理するという奇々怪々な演出です。食肉加工工場の舞台装置は、血が滴って、かなりリアル。

ジュパーンは、バリンカイがこの土地の新しい領主になるなら自分も娘を娶らせるのが得策と考え、早速、娘アルゼーナを呼びます。

Zigeunerbaron_ohp_078そこにアルゼーナの家庭教師ミラベルが現れ、カルネロを見て昔の恋人ロドヴィーコであることを発見。彼女はビヤ樽のごとく太り、息子オットカールは細長い棒のように成長していて、ツィプラの占いは大当たり。

ただ、オットカールは頼りない青年を演じていますが、ひょろひょろという感じではありませんでした。

アルゼーナは心に思う人がいるので、もしも見初められたら困っちゃうわと呟きながらも、古式に従い見合い菓子の配られるお見合いをします。食肉加工工場がお見合いの場に変わります。

バリンカイは、アルゼーナを一目で気に入ってしまいます。そのため、変なお菓子も平らげるのでした。

一方、オットカールに思いを寄せるアルゼーナは、「私の夫は少なくとも男爵でなければいや」と生意気なことを良い、この場を逃れます。スプレッドのアルゼーナの本領発揮という場面です。

誰もいなくなると、ジプシーの娘ザッフィが1人寂しげにジプシーの歌「世の中にジプシーほど悲惨で忠実な者はない」を歌いながら出てきます。

バリンカイが、「この歌には聞き覚えがある、母さんがよく歌っていた」と呟くと、ツィプラは、そうでしょうとも貴方のお父さんはジプシーの男爵と言われた人なのだから、と応えるのでした。このあたりは、ジプシーの悲哀が表現されており、なかなか良い仕上がりです。

Zigeunerbaron_ohp_091一方、オットカールはジュパーンの館にハシゴをかけて、アルゼーナの元へ。が、ひ弱なオットカールは部屋までたどり着けません。ここで二人の「愛の証」である貴金属が渡されます。

ツィプラはジプシーのキャンプでバリンカイを、故郷に戻ってきた我らが主人と紹介します。バリンカイは、それでは、成金ジュパーン一族を呼び出してくれと命じます。

夜中に何事かと出てきたジュパーン達の前で、アルゼーナに私はジプシー男爵だ、これで求婚の資格は出来ただろうと叫びますが、彼女はジプシーなんていやと断るのでした。

Zigeunerbaron_ohp_093バイリンカイは、ザッフィを捜し、私の妻はこの人、高貴な娘なんてまっぴらだとやり返すので大変な騒ぎとなります。

政府委員カルネロはジプシーの娘と結婚するなんてとんでもないと怒り出し、ジュパーン側とジプシー側の二派に別れての大騒動となります。

ここまでが前半。時間は1時間20分ほどです。後半のご紹介は明日‥

※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります 😃

Br_decobanner_201105_v_02

| |

« 心機一転 再スタート | Main | 「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その2) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 心機一転 再スタート | Main | 「Der Zigeunerbaron」PremiereReport(その2) »