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February 20, 2020

ÖBB-ROLAがブレンナー峠で活躍中

20200220001今日は恒例の「第64回オペラ座舞踏会」(64. Wiener Opernball) ですが、当ブログの記事をアップしたのは日本時間の20日午前5時なので、ウィーンは、まだ19日です。日本だったら、時節柄、中止という判断が下ったかもしれません。

さて、5001件目の記事ですが、Feri「お得意のジャンル」の一つ、鉄道ものです。「環境保全を目的としたモーダルシフトの話題」です。

ご存じのように最近では環境保護の観点から、大型トラックをアルプスを通過する高速道路から締め出す動きが出ています。これは、イタリア方面とドイツ方面を結ぶ貨物輸送の場合、スイスやオーストリアは単に通過するだけで、両国にとってメリットが少ないためです。

オーストリアでもブレンナー峠で2020年から大型トラックの通行が制限されています。しかし、鉄道だけで全ての貨物輸送を担うことは困難です。

そこで、峠の区間を、大型トラックを搭載し列車を運行する列車フェリー方式が採用されています。

20200220002オーストリアでも峠を越える道路がない区間には列車フェリーが運行されており、大型トラックだけでなく、一般の乗用車なども運搬しています。

運行を担当しているのはオーストリア国内のみならず、ヨーロッパで貨物列車の運行を行っているÖBB Rail Cargo Group。

ブレンナー峠を走る大型トラック搭載列車フェリーですが、「ROLA am Brenner」という名称で、専用の超低床式車運車を使い運転されています。運転区間はBrenner - Wörgl間、Trento – Wörgl間、Wels – Maribor間で、最大46列車が運行されています。

20200220004ちなみに2019年は、この列車で、151274台のトラックが輸送されました。

3区間の中で、メインとなっているのがBrenner - Wörgl間です。平日は、深夜も含めてほぼ1時間間隔で運転されています。所要時間は2時間40分ほどです(上下で所要時間が異なります)。

搭載できるトラック(トレーラーを含む)は全長18750mm、全幅2600mm(車輪幅は2520mm)、全高4000mmです。また、電化区間を走行するため、車高よりも高いアンテナ類の使用は禁止されています。

20200220005超低床式の専用車運車を使用しているため、トラックは、基地でチェックインの後、ドライバー自身の手で自走して列車に搭載します。

その後、ブレーキをかけて、車止めでトラックを固定します。走行中の安全確認を行った後、トラックドライバーは併結されている客車に乗車し、移動します。

トラックドライバーは基地構内を徒歩で客車に移動するため、安全確保のため、反射ベストの着用が義務づけられています。

20200220006興味深いのは列車で移動中の時間、トラックドライバーは法廷休憩時間になることです。

日本と同じく省略形が好きなオーストリアなので、正式名称はRollenden Landstraße ですがROLAと呼ばれています。

ROLA利用のメリットですが、トラックの走行距離削減、待ち時間の削減、ドライバー負担軽減、環境負荷軽減などです。

気になる料金ですが、Brenner発Wörgl行きの場合、トラックのサイズによって事なりますが、トラックドライバー(2名分)の運賃も含めて、2tが100Euro、3tが110Euro、4.05tが136Euro、4.2tが192Euro、4.4tが226Euroとなっています。

興味深いのは上下で料金が異なっている点です。Wörgl発Brenner行きの方が運賃が高くなっています。

20200220003この列車をフルに活用すると、ブレンナー峠を通行するトラックを1000台削減することができます。

ただ、大型トラックを搭載するため、専用車運車からの騒音も大きな問題になります。そこで、ディスクブレーキを装備した騒音が少ない新型車運車の導入の積極的に進めています。

現在、2/3が新型車運車に更新されていますが、EUのレギュレーションにより2024年までには、全ての車運車が低騒音タイプに更新されます。

超低床式車運車は、車輪経が小さいため、回転数が高く技術的にも難しいようです。長年の運行実績を踏まえて技術を確立しているのでしょう。

日本に例えると、関越道のトラックを通行禁止にして、JRで輸送するようなものですが、日本の場合、「国をまたがったトラック輸送」という例がないため、この手の施策には積極的ではないのでしょう。

また、日本の場合、在来線は車両が小さいため、大型トラックを効率的に輸送することができません。

一時期、日本でも専用中型トラックを搭載してトラックだけ運ぶピギーバック方式の貨物列車が運転されていたことがありますが、輸送効率の問題で、運行取りやめになりました。

新幹線ならばサイズ的には大型トラックの運搬も可能ですが、新幹線は、旅客列車線用として地上設備を造っているため、重量列車には対応できないようです。

一時期、青函トンネルで、列車フェリー構想が検討されていましたが、オーストリアやスイスの取り組みを見ると、日本でも長距離トラックのドライバー不足が問題になっている昨今、新しい取り組みに期待したところです。

最後に、同社が公開しているプロモーションビデオをご紹介します。これを見ると、極めてスピーディーに車運車に搭載している様子がわかります。

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