« 幻のU2/U4乗り入れプロジェクト(後編) | Main | Starbucks(スターバックス) »

April 04, 2020

新型コロナウイルス雑感 オーストリアの状況

20200403006ディープな地下鉄の話題が2日間続いたので、今日は新型コロナウイルスに関するオーストリアの状況をお伝えします。

外出制限が開始されて17日を経過し、感染者は1万人を越え、10967人(4月2日、15時現在)となりました。ただ、感染者の拡大率は10%を割り込み、政府の強力な対策が効果を上げつつあることがわかります。

政府の追加対策発表を受けて、色々な動きがあります。オーストリア医師会会長は、一部の薬局で行われている簡易検査キット販売の中止を訴えています。これは簡易キットによる検査は精度が低く、陰性になった人に誤解を与える恐れがあるというのが理由です。

一方、政府は人的接触が多い職業の人(スーパーマーケットの従業員、医師、看護師、介護スタッフなど)、1500名に対してPCR検査を実施しました。

これは自覚症状のない感染者の割合を調べるためのテストだそうです。テスト方法の詳細や結果については、発表されていません。

20200403002イタリアでは治療に当たっていた医師69人が死亡、救急隊員1万人が感染しているため、このような事態の発生を防ぐための対策を立案するデーターとするのでしょう。

なお、オーストリアではスーパーマーケットは営業中ですが、お客さまは入店時、入り口でマスクの着用が義務づけられました。ただ、専門機関は、マスクの着用義務づけには懐疑的なコメントを出しています。また、開店から1時間を高齢者などの買い物優先時間に設定しています。

現在、国外への移動は原則禁止されていますが、国外に滞在しているオーストリア人も多く、政府は4月8日にトルコ在住のオーストリア人の帰国を支援するためオーストリア航空の緊急臨時便をイスタンブール-ウィーン間に運行することを発表しました。定期便については、全面運休が5月3日まで延長されています。

20200403004ヨーロッパでは各国で感染者の増加にともない、医療崩壊が進んでいますが、皆さまは、その理由の一端が保険制度にあることをご存じでしょうか。

一時期、日本ではヨーロッパの保険制度を高く評価している識者がいらっしゃいました。

オーストリアだけではありませんが、ヨーロッパでは国民皆保険制度で、高額な社会保険料を強制的に徴収される代わりに、公立病院での各種治療は入院費も含めて無料です。

一見すると、理想的な制度で、受給のバランスがとれているうちは問題ありません。しかし、無料故に患者が大量に来院し、診察・慎重までに長時間、待たされるのが当たり前です。

要するに予約がなかなか取れない‥という訳です。場合によっては、急患でも長時間、待たされるケースがあるようです。

更に原資が社会保険料であるために、今回の新型コロナウイルスに限らず、高齢化や移民の増加なので、患者数が増えてくると資金不足に陥ります。

20200403005とくに低所得者の場合、保険料は低額ですから、人口は増えても原資が余り増えないという事態になっています。

その結果、医療設備やスタッフの増強が難しく、日本では信じられないほど、貧弱な設備で治療しているようです。

日本では、中規模病院でも導入しているCTやMRIなどの数が少ないというのも、このような背景があるようです。数が少ないですから、検査のための順番待ちも長くなります。検査待ちの間に手遅れになるケースも‥

これは、以前、友人から聞いた話ですが、胆石で某公立病院へ行ったところ、日本で増えている「内視鏡による除去」や「体の外から衝撃波を胆石に照射して胆石を砕く方法」(体外衝撃波胆石破砕療法)に使用する機器がないようで、開腹手術しか選択肢がなかったそうです。

20200403003逆に自由診療を原則とする民間病院は、治療費は全額自己負担なので高額ですが、設備も充実しており、待ち時間も短いのが特徴です。

こちらについても、後日、健康保険から何割かが支払われますが、その割合は申請しないとわかりません。さらに、当座は、患者本人が全額支払いますから、民間の医療保険に加入していないとお手上げというケースもあります。

イタリアやフランスが医療崩壊に陥っている背景には、このような保険制度の問題が絡んでいるようです。

それに対して、日本は皆保険制度ですが、患者本人が何割かを負担するシステムなので、医療機関も収益を上げることが可能ですし、これを使って医療設備の充実などを図ってきたのだろうと思います。それがCTなどの高額医療機器の充実につながったのでしょう。

こんなオーストリアですが、陣頭指揮に立っている弱冠33歳のSebastian Kurz首相の評価が上がっています。イタリアとチロル州の国境をいち早く封鎖する一方、外出禁止、学校休校を実施。国民の失業を受けて最大380億Euroの経済支援策を発表しました。

そして先日のマスク着用義務化など次々と対策を打ち出しています。国民に直接、訴えた演説なども効果を上げているのでしょう。

また、最近行われた世論調査では、Sebastian Kurz首相が党首をつとめる政権与党オーストリア国民党(ÖVP)の支持率が上がっています。

しかし、日本のニュースを見ていると、与野党を越えて国難に対処するというより、政権与党の足を引っ張る野党や、何かにつけて政府の対策に文句を付けるマスコミが多く、正直、辟易します。

中には、この非常時に総理を辞任しろという無責任な発言をした元首相もいるとか‥

20200403001更に政府の非常事態宣言の阻止を目的とした集会も計画されているとか。これで感染者が増えたら、冗談では済みません。

しかし、非常事態宣言が出されても、日本では、要請(お願い)レベルなので、オーストリアから見ると「生ぬるい対策」しか打てません。

このような状況を考えると日本では、オーストリアのように強制力を持つ対策など絶対に政府が打てないでしょう。足の引っ張り合いをしているうちに、感染が拡大するという発想は野党やマスコミにはないのでしょうか。

ところで、強かな中国(共産党)は、医療物資をヨーロッパに援助することで、恩を売ろうとしているようです。

ウィーン市では、3月31日に行われた医療物資贈呈式の公式写真をリリースしています。この写真、よく見ると笑顔の中国関係者に対して、オーストリアの皆さまの表情が硬いこと。

市長の笑顔も引きつっているように見えます。恐らく内心は複雑でしょう。お察しします。

※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります
Br_decobanner_austria_001

|

« 幻のU2/U4乗り入れプロジェクト(後編) | Main | Starbucks(スターバックス) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 幻のU2/U4乗り入れプロジェクト(後編) | Main | Starbucks(スターバックス) »