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May 05, 2020

オーストリア ロックダウン50日の記録

2020050403日本も、今まで経験したことのない「ゴールデンウィーク」になっていると思いますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

KURIER紙が新型コロナウイルス対策がフェーズ2へ移行したのを受けて、ロックダウン50日の記録をまとめています。同紙では“歴史に残る50日間”という表現を使っています。

日本では、政府の対策が後手後手と批判されるケースが多いですが、これを見ると、オーストリアでも、その場の状況に合わせて逐次、対策を追加してきたことがよくわかります。

これは、今までに経験したことのない事態であるため、試行錯誤の連絡であったことを伺わせます。

ただ、日本と異なるのは、今後、事態が収束した段階で批判が出ると思われる「法令に基づく強制力を持った対策」を矢継ぎ早に打ち出した点でしょうか。

○第1週目 緊急事態宣言
3月15日、連邦政府が突如、緊急事態を宣言し、当日の劇場の公演中止をはじめ、翌16日からレストランやカフェ、一般商業施設、ふっとネスクラブ、美術館・博物館、大学などが一斉に閉鎖。

あるカフェでは、ウエイターが客さまに急な営業停止命令で廃棄することになった果物を無料で配布したエピソードが紹介されています。

そして、外出制限と出国制限が実施されました。当然、失業者が急増し、連邦政府も支援策を打ち出しますが、決して、十分ではありませんでした。

2020050404○第2週目 財政支援発動
EU拡大にともなって、加盟国は財政規律が強く求められるようになりました。しかし、この緊急事態に対応するため、連邦政府は赤字国債発行を決断します。

Sebastian Kurz首相は380億Euroの支援パッケージを発表。Gernot Blümel財務相は、3月20日、“私の世代がこれまでに経験した中で最大の危機を克服することについて”いう演説を行っています。

対策は、民間銀行による無利息融資、企業に対する給付金支給、短時間非正規労働者への支援、個人事業主や降りランサーに対する給付金支給などが支援策の柱です。

○第3週目 マスクのある生活
欧米では、特別な場合を除き、マスクなどで顔を隠すという習慣はありません。

さらにオーストリアでは、テロ対策の一環として顔を隠すマスクの着用は法令で禁止されていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大は「この常識」を覆しました。

4月6日、スーパーマーケット利用者はマスク着用が義務づけられました。当たり前ですが、マスクをする習慣がないため、自宅にマスクをストックしている人は、いません。そこで、大手スーパーマーケットチェーンでは、来店したお客さまにマスクの無料配布を実施。

しかし、その後、お客さまが自分で準備することになりました。マスクの値段ですが、当初、3枚で3Euro程度でした。スーパーマーケットでは10枚7Euro、50枚38Euroなどで、販売されるようになりました。

しかし、日本でも問題になったように、使い捨て方式の場合、すぐにストックがなくあんります。それを受けて、マスクを自作する作る取り組みが国家的な規模で始まりました。

新聞やインターネットには、布製マスク製造方法が紹介され、企業や個人がマスクを作り始めます。中には、救急隊員用のマスクを自作して、寄付する人も出てきました。

4月14日から、マスク着用の範囲が広がります。公共交通機関や自動車(同一世帯で生計を営む人を除く)利用時にもマスク着用が義務づけられました。

5月中旬に学校が再開されますが、授業中以外は、通学時も含めてマスク着用が義務づけられるようです。

2020050401○第4週目 「旅行の自由」との別れ
バカンスが好きなオーストリア人にとって、マスク着用とともに、衝撃的だったのは「旅行の自由制限」です。

Elisabeth Köstinger観光相は、記者会見で“私たちは、旅行の自由に対する大規模な制限に備える必要があります”と述べました。つまり鎖国状態が解除される見込みが立たない‥という訳です。

今夏、EU内を含めて海外へのバカンスは絶望的です。連邦政府は、オーストリア国内での休暇を求めています。

ヨーロッパの空域で4月初め、フライトをしていた航空便は通常よりも90%減少しています。外務省は海外渡航中止勧告のエリアをさらに拡大しました。

オーストリアはインバウンド需要で経済が回っている国でもあります。特に夏はオペレッタ「白馬亭にて」ではありませんが、ドイツからのバカンス客が増えます。今まで、夏のバカンス客の70%がドイツ人だったという分析結果もあります。

しかし、ドイツは隣国との国境を閉鎖したままです。そのため、今夏、オーストリアでは、ドイツ人バカンス客は皆無になると予想する専門家もいます。

○第5週目 一部店舗の営業再開
オーストリアの皆さんは、日曜大工がお好きです。日曜大工と言っても、日本以上に本格的。何しろ自宅を建ててしまう人がいるくらいですから‥

そのため、塗装を含む部屋の模様替えなどはお手のもの。そのため、スーパーマーケットとともに必須なお店が、大規模なDIY店。日本流に言えばホームセンターですね。

2020050407それを裏付けるように4月中旬、イースター明けにDIY店の営業が再開された時、各店舗には多くのオーストリア人が買い出しに来店し、長蛇の列が‥つまり外出制限で自宅にいる時間が長いため、これを使って自宅のリフォームや修繕をしようと考えたのでしょう。

ただ、入店制限があるため、マスクをしたお客さまが、店外でソーシャルディスタンスを確保して、並んでいました。

また、マスクを自作するための材料を買い求めて、営業を再開した手芸用品店の前にも行列ができました。

この他、ウィーンでは、営業禁止の関係で売り上げが激減した小規模スーパーマーケットや個人商店が、日曜日営業に踏み切ったケースが報告されています。

ご存じのように、オーストリアでは日曜・祝日の食料品店営業は特別許可がない限り、禁止されています。4月26日には、ウィーン市当局が日曜営業を行っている食料品店に対して査察を実施(右の写真が査察の模様)。問題がある場合は、即刻、営業が禁止されました。

厳しいようですが、ルール違反を放置すると、追随する店舗が出てくるので、それを防止するための対策です。

2020050405連邦政府とウィーン市が管轄する公園も、入場制限はありますが、再開されました。ロックダウン一部解除後、幸いなことに、今のところ感染者の急増はみられません。ただし、道路の通行量は格段に増えました。

○第6週目 学校再開に向けて
オーストリアでは、3月16日、全国の学校5500校が閉鎖され、110万人の生徒・学生、30万人の幼稚園児が自宅待機となりました。

突然の発表だったため、当然、混乱は起こりましたが、連邦政府は家庭での教育と遠隔授業の利用を推奨しました。

2020050406実は、世界的なパンデミック発生時、学校の運営をどのように行うかというマスタープランは、存在しませんでした。そのため、泥縄式の対応にならざるを得なかったのです。

ロックダウンが解除され、まもなく卒業を控えた生徒が学校に戻ります。その後、感染拡大対策をとりながら段階的にクラスが再開されます。そして、数週間後には、8週間の夏休みに入ります。

オーストリアでも、今回の教訓から、遠隔授業のシステムや制度構築に向けた動きが加速しそうです。

○第7週目 ロックダウンの解除、新しい日常生活
4月27日、オーストリアは共和国再建75周年を迎えました。本来ならば、盛大に行事が行われるところですが、今年は時節柄、Sebastian Kurz首相らがKranzniederlegung im Weiheraumで献花式を行ったのにとどまりました。写真のように首相はもちろん、衛兵もマスク姿です。

5月3日現在、新しい感染者はオーストリア全土で48名に留まっており、入院患者は1761名です。ただ、経済のダメージは大きく、4月の失業者数は史上最高の58%にのぼりました。

2020050402MA48が運営しているリサイクルショップ48er Tandlerも5月6日から営業を再開します。また、昨日、ウィーンの地下鉄が5月11日から通常どおり運転されることが発表されましたただし、週末の終夜運転は行われません。これはレストランなどの営業時間が23時までに制限されているためです(路面電車とバスは5月18日から通常運転開始)。

5月15日から、教会での宗教行事も再開されます。ただし、感染拡大を防ぐため、信者間の距離や零杯中のマスク着用など一定のルールが課せられます。

そして、同日からレストランやバーの営業が許可されます。もちろん、議論になっている利用制限の下ですが‥その後、5月29日からホテルと公共プールの営業も始まります。

2020050502今回の新型コロナウイルス渦は、「歴史的に過去の危機と比較することは、不可能だ」というのがKURIER紙の見解のようです。連邦政府は、手探りの中で、よく各種対策を行ってきたと思います。

また、最近、連邦政府が提示した外出制限の条件について、異議を唱える弁護士らも出てきました。もちろん、問題点が皆無な訳ではありません。事態が収束した後、検証する必要があることは言うまでもありません。

日本でも新しい生活様式の提言がなされているようですが、こちらでは、批判はあるものの「新しい生活様式」は当たり前になっているような気がします。左はÖVP(オーストリア国民党)が始めた新しいキャンペーン「Mutig in die neuen Zeiten」(新しい時代の勇気)。

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Posted by: trip partnerスカウトチーム | May 05, 2020 01:52

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