« Badner Bahnの車内放送 | Main | Bundestheater-Holding がVolksoperの新しい経営陣を公募中 »

June 21, 2020

祝Koralmtunnelが貫通

2020062001 鉄道関連の話題が続いて申し訳ありませんが、今日は「ÖBBが進めている大規模プロジェクト」という「まじめなの話題」です。

2020年6月17日、シュタイヤマルク州とケルンテン州を結ぶ新しい幹線の要とも言えるKoralmtunnel(北トンネル)が貫通しました。まず、最初にKoralmtunnelを含むKoralmbahn(コラムル線)のおさらいから‥

航空輸送から鉄道への転換を積極的に進める方針を打ち出している連邦政府が期待を寄せているプロジェクトが「鉄道の高速化」です。特にオーストリアの場合、峠がネックになり、距離の割に所要時間がかかるケースがあります。

一般的にはウィーンとグラーツを結ぶ南路線の要セメリング線(セメリングベーストンネル)に注目が集まりますが、実はグラーツとクラーゲンフルトを結ぶKoralmbahn(コラムル線、127km)の建設を忘れてはなりません。

グラーツとクラーゲンフルトは、現在、Bruck an der Mur、Leoben経由となるため、RailJetでは乗り換えが必要。所要時間も2時間54分もかかります。

2020062006そのため、ÖBBではIC Busという乗り換え不要の高速バスを同区間に運行しており、こちらの所要時間は2時間です。

ウィーンからクラーゲンフルトまでの所要時間も、現在は、RailJetで3時間55分ほどかかります。

そこで、ÖBBは、シュタイヤマルク州とケルンテン州の両州都ダイレクトに結ぶ新路線Koralmbahn(コラムル線)の建設を2001年から開始しました。

2020062003ルートはグラーツから南下し、ルートはグラーツから南下し、KORALPE(Kor Alps)を長大トンネルで抜け、グラーツとクラーゲンフルト結ぶものです。

途中12の駅が予定されていますが、このプロジェクトの中心となるのがコラムルトンネル(Koralmtunnel)。延長約32.9kmで、完成するとオーストリアで最長の鉄道トンネルとなります。

20200621031コラムルトンネルは単線並列(北トンネルと南トンネル)で2008年から掘削が始まりました。そして、南側ルートは2018年8月14日に貫通。北側ルートが2020年6月17日に貫通しました。

ちなみに最も深いところは、山頂から1200メートル下を掘っています。

トンネル経は3.95メートルで、北トンネルと南トンネルは40メートル離れて建設されており、両トンネルは概略図のように500メートル毎に連絡トンネルで結ばれており、非常時には移動できるようになっています。

2020062004このほか、トンネル中央部には、非常停車エリアが設けられています。そのため、非常停車エリアのある部分だけは、両トンネルの間が50メートルになっているそうです。

トンネルには換気およびメンテナンス用の縦坑が数箇所設けられており、非常時には縦坑を使って、外部へ脱出することも可能です。

2020062007オーストリア得意のトンネルボーリングマシン(Mauli 1、Mauli 2と命名されています)を使ったシールド工法で工事が行われていました。大規模な工事なので、建設現場付近にシールドを作る工場も建設しています。

余談になりますが、青函トンネルが、このような単線並列で建設されていたら、現在、問題になっている新幹線の高速運転も容易に実現できたと思うだけに、残念です。

今回のコムラルトンネル貫通により、同線建設工事の山場は超えたことになります。今後、仕上げを含む関連する工事が進められますが、稼働開始は2025年12月に予定されています。

2020062002ÖBBが提供している公式写真を見ると、貫通の際、作業員の皆さまが万歳をしていますね。

また、安全祈願のためのマリア像を渡している姿が印象的です。こういった行事にはお国柄が強く反映される見本のような事例。

同線は、ÖBBでは珍しい新しく、ほとんどの区間が新規に建設される高速鉄道であるため、線形が良く、最小曲線半径3000m、最急勾配8‰、最高速度250km/hです。

日本の新幹線ならば300km/h運転が可能な仕様ですが、エネルギー効率、車両の開発などを考えて、無理をしないのでしょう。

2020062008ところで、同線はオーストリア国内にとどまらず、イタリアとスロベニア、ポーランドを結ぶバルト海・アドリア海回廊ルート(1800km)の一部になっています。そのため、EUから5700万Euroの支援を受けて、工事は進められています。

コラルム線を利用すれば、ウィーンからクラーゲンフルトまで2時間40分、グラーツからクラーゲンフルトまで45分で快適に移動することができます。

ところで、Koralmbahnはグラーツ国際空港の脇を通ります。現在、S Bahnが運行されている区間がKoralmbahnで、現在は空港から若干、離れた場所に駅が設置されています(Feriも1回だけ利用したことがあります)。

以前、このブログでもお伝えしたように、ウィーン国際空港のようにグラーツ国際空港の直下に駅を作るというプランが存在します。最近、近距離航空路の鉄道転換が強く叫ばれるようになったことから、この計画が現実味を帯びてきました。 2020062009ÖBBによると技術的には問題はなく、建設資金がネックになるようです。

そこで、ÖBBとシュタイヤマルク州の間で、資金調達に関する協議が行われています。もちろん、連邦政府も資金援助をするようですが、シュタイヤマルク州が資金の一部を負担することになると、空港直下の駅建設が行われるもようです。

2020062010これは、ウィーン-グラーツ間の航空路線が廃止になった場合、ヨーロッパの各国からの航空便をグラーツに誘致し、ここから鉄道でオーストリア各地(イタリア方面も含む)へ移動してもらうことで、空港の稼働率を高めたいという思惑があるものと思われます。こちらの動きにも目が離せません。

最後にÖBBが提供している貫通式の模様を紹介したビデオ(当日はライブ配信)を目に掛けましょう。

※「人気ブログランキング」に登録しています。この記事がお気に召しましたら、下記のバナーをクリックしていただくとFeriの励みになります

Br_decobanner_austria_001

| |

« Badner Bahnの車内放送 | Main | Bundestheater-Holding がVolksoperの新しい経営陣を公募中 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« Badner Bahnの車内放送 | Main | Bundestheater-Holding がVolksoperの新しい経営陣を公募中 »