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June 26, 2020

「Wiener Gastro-Gutschein」狂騒曲

2020062502今日は先週から郵送による配布が始まった「Wiener Gastro-Gutschein」(レストラン・バウチャー)の話題です。実は、郵送実施後、「オペレッタ国家」にふさわしく、様々なトラブルが発生しています。

まず、「Wiener Gastro-Gutschein」のおさらいから‥

目的は新型コロナウイルス感染防止によるロックダウンで営業休止を余儀なくされた飲食店に対する支援が主目的です。合わせてロックダウンに協力してくれたウィーンの住民に対するお礼も兼ねています。

対象となる世帯は95万世帯で、単身世帯は25Euro、それ以外は家族の人数に関係なく50Euroのレストラン・バウチャーが郵送で配布されるというものです。

使用期間は9月までで、商工会議所の予想では、4000万Euroが市内のレストランで使用されると踏んでいます(取らぬ狸の皮算用)。ただ、登録した店舗しか使用できず、現在、2000軒が登録しているものの、旧市街が200軒と多く、周辺部では登録店舗が少ないという情報があります。

日本の場合、この手の金券は簡易書留など、郵便局員が直接、受取人に手渡すパターンが多いのですが、今回は、日本の「アベノマスク」と同じく、ポスト投げ込み。

というのは、こちらでは集合住宅の郵便受けは、郵便物の盗難防止のため、共通玄関内に設置されているケースが多く、居住者以外は、原則として触ることができません。なお、配達を担当する郵便局員は、特殊な合鍵を持っており、棟内に入ることができます。

2020062505最も戸建て住宅が集まった団地などでは、右写真のように「団地の入口」に集合郵便受けが設置されているケースもありますが‥

そのため、当局としても盗難のリスクは少ないと判断したのだと思いますが、実際にはFacebookやTwitterには、郵便受けを破壊され、レストラン・バウチャーを盗まれたという投稿が多数、アップされています。

そう言えば、日本でも「アベノマスク」を大量に盗んで逮捕された人がいましたね。こちらは、準現金ですから、悪い人が狙うのは当然かと‥

郵便受けを破壊せず、投げ込み口からレストラン・バウチャーの入った郵便を抜き取ったケースもあったようです。入居者以外は入りにくい棟内に侵入したのか‥まぁ、手口は色々とあることでしょう。

2020062503集合住宅の場合、同じ日に配布されますから、配送開始日がわかれば、その後、数日、「集合郵便受けは草刈場」としてチェックしていたのでしょう。

20世帯も入っていたら、1000Euro分ですから、悪い人にとっては笑いが止まりません。

しかも、困ったことにインターネット上では、すでにレストラン・バウチャーの売買が行われています。日本でもメルカリに代表される個人販売サイトがありますが、オーストリアでは「Willhaben.at」というプラットホームが有名です。

すでにレストラン・バウチャーが券面の金額よりも安く出品されており、購入している人も多いとか‥ちなみに相場は、50Euroのバウチャーが20~30Euroだそうです。

もちろん、全てが盗品という訳ではないと思います。自分はバウチャーを使わないから、現金化したいと考える人(転売ヤー)が出てくるのは当然ですから‥株主優待券の販売みたいなものですね。

なお、バウチャーの寄付を受け付けている社会福祉団体も存在します。

2020062504ウィーン市では、盗難が多発していることを受けて、盗難に遭った場合、犯罪行為なので警察に届け出ると同時に、レストラン・バウチャーの専用サイトから申告して欲しいと訴えています。

申告した場合、盗難に遭ったバウチャーを使用停止にし、再発行するという対応をとるようです。盗難にあったバウチャーの番号は受取人は見ていない訳ですから、と送付先とバウチャーの番号が紐付けされているようです。

ただ、気づくのが遅れてしまって、既に使われてしまった場合は、アウトでしょうね。悪い人は頭が良いですから、当然、その点を踏まえて、早い段階で転売していることでしょう。

こちらのマスコミでは、ネットで出品されているレストラン・バウチャーを購入しないように呼びかけています。これは、道徳的な問題もありますが、盗難に遭った住民が申告して、使用禁止になった場合、単なる紙くずになるからです。

2020062501また、先週末からレストラン・バウチャーの利用が始まっているようですが、飲食店の中には、正直、歓迎していないところも多いようです。一つは、レストラン・バウチャーの現金化までに時間がかかること(日銭が入らない)、もう一つは対応するケルナーにチップが入らないこと。特にレストラン・バウチャーの金額内で食事をした場合、現金の授受はないため、チップを出す人は少ないのかもしれません。

こちらでは、庶民的なガストホフなどでは“釣りはとっておきな”といったニュアンスでチップを渡すケースも多いので‥

そして、もう一つ物議を醸し出しているのが、レストラン・バウチャーと一緒にMichael Ludwig市長の顔写真入りの挨拶文が添えられていることです。

この挨拶文ですが、市長が所属する与党SPÖ(オーストリア社会民主党、Sozialdemokratische Partei Österreichs)の広告に見えるというのです。

2020062506つまり、“秋に実施予定のウィーン市議会議員選挙に向けた事前運動ではないか”という指摘です。もちろん、公示前に市として行っていますから、レストラン・バウチャーの配布は問題なく、野党も反対はしていません。

ただ、選挙公約ではなく、公示前とは言え、先に配っちゃった訳ですから、買収とは言わないまでも、野党ÖVP(オーストリア国民党、連邦政府では政権与党ですが、ウィーン市では野党)からすれば、選挙運動と批判したくなる気持ちもわかります。なお、挨拶文への市長の顔写真掲載は、法律的には問題ないようです。

ところで、こちらの新聞サイトには記事に対してコメントを付けることができるようになっています。

2020062507このコメントを見ていると、色々な反応がありますね。中には、“複数世帯だが、パートナーが外国人のため、単身世帯分のバウチャーしか配布されなかった”というコメントもありました。

また、利用できる店舗が自宅周辺に少ない、自分が贔屓にしている店舗が使えないという不満もあるようです。

日本の定額給付金は、原則、銀行口座への振り込みで、申請から交付まで1ヵ月近くかかっているようですが、こういったトラブルを耳にすると、やはり日本のやり方が、時間はかかってもリスクは少ないのでしょう。

まぁ、オペレッタ国家らしい、ドタバタ劇と言えるかもしれません。

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