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June 10, 2020

大胆な空陸転換プロジェクトを発動

2020060911今日は「公共交通の話題」をお届けしましょう。新型コロナウイルスの直撃を受けたのは各国の航空会社。もちろん、インバウンド需要が経済の中心となっているオーストリアの場合、ホテルをはじめとする観光関連産業の打撃は計り知れないものがあります。

このブログでもお伝えしているように、現在、ルフトハンザ航空の傘下に入っているオーストリア航空は6月15日から運行を再開します。日本が大規模減便でとどまっているのに対し、オーストリアは全便欠航となっていました。

何しろオーストリア航空やスイス航空を傘下に収めたスターアライアンスの雄、ルフトハンザ航空ですら、政府援助がないと倒産の瀬戸際に立たされた訳ですから、大変な事態になっていることがよくわかります。

2020060913民営化したとは言え、ナショナルフラッグキャリアのオーストリア航空はオーストリア連邦政府から4億5000万Euroの財政支援を受けて、経営を継続することになりましたが、逆に、この機に乗じて連邦政府が経営に口を挟むようになりました。

まぁ、「金だけ出すから、後はご自由に‥」とはいきませんよね。特にルフトハンザの傘下に入ってからは、同社の意向が強く働いていましたので‥ 

実際、政府はオーストリア航空に役員2名を派遣しています。なお、万が一、同社が融資された資金を返済できず、デフォルトした場合は、国有化されることになっています。

2020060912日本以上に環境保全に熱心なオーストリアでは、オーストリア航空運行再開に当たって、連邦政府が色々と注文を付けました。

Sebastian Kurz首相はオーストリア航空支援に際して、「大量の雇用維持、ウィーンのハブ保証、環境対策」の三つを条件を出しています。

LCCとの熾烈な競争を繰り広げる過程で、過度な価格競争に巻き込まれるのを防ぐため、アンチダンピング法が施行されるも模様です。

これが施行されると全ての航空会社の最低運賃は将来的に40Euro(税金をはじめ全て込みの料金)に抑えられます。これは経営を安定させるための政策。

2020060914そして、利用者にとって気になるのは、「環境対策」として創設される航空環境税です。

これは短距離路線の航空旅客を鉄道に移すための政策で、350km以下の路線で一律30Euroの税金が課せられる予定です。なお、先ほどご紹介した最低運賃は航空環境税を含んだ金額です。

この航空環境税は、日本の目的税に近く、国土緑化(温暖化防止)の原資になるようです。

ただ、これだけでは不十分。そこで連邦政府は、鉄道で3時間未満のオーストリア航空の路線廃止を打ち出しました。この結果、ウィーン(VIE)-ザルツブルク(SZG)間の国内線は事実上、廃止されることになりました。

2020060915ウィーン-グラーツ間に関しては、途中、セメリング峠があるため、現時点ではReilJetでも2時間40分ほどかかっています。

一応、3時間は切っていますが、即、航空路線廃止となならないようです。ただし、セメリングベーストンネルが完成するとウィーン-グラーツ間は1時間50分に短縮されるため、このタイミングで、ウィーン-クラーゲンフルト間も含めて航空路線が廃止される模様です。

このように考えるとオーストリア国内で航空路線が残るのはウィーン(VIE)-インスブルック(INN)間くらいになるかもしれません。

ただ、オーストリア航空の国内線撤退については、経済界から反対意見が多く出ています。特にザルツブルク、シュタイヤマルク、ケルンテンなどからは、経済への影響を懸念する声が上がっています。確かに航空便では、所要時間が1時間程度ですからね。

日本人の感覚からすると、ハブ空港のウィーンに到着してオーストリアの主要都市に鉄道で移動するのは面倒‥と考えてしまいますが、ご存じのようにウィーン国際空港の地下にはÖBBの駅があります。

ここからRailJetに乗り換えれば、便数の少ない航空便への乗り継ぎ時間を考慮すれば、鉄道のデメリットは少なくなります。

2020060916また、オーストリア航空に関しては国際線も鉄道転換の対象になっています。ただ、ルフトハンザ航空には連邦政府は影響力を行使できないため、除外されます。

そして、先日、このブログでもお伝えしたように鉄道をはじめとする公共交通機関の使用を促進するための1-2-3チケットが2021年から段階的に導入されます。

短距離航空便の鉄道移転を促進するため、どうもオーストリア全土年間1095Euroのチケットからスタートするようです。州単位のチケット(1Euro/1日)と2州のチケット(2Euro/日)に関しては、州単位での調整が必要なため、2021年からの全面導入は難しいようです。

全国の場合、連邦政府による資金援助が可能なので、速やかに実施できるようです。

2020060917そして、日本では衰退の一歩をたどる夜行列車についても、連邦政府の運輸大臣から興味深い発表がありました。

それは夜行列車の大幅増発。そのためÖBBは5億Euroを投資し、新しい車両を導入することになりました。

NightJetの増発で、オーストリアとヨーロッパ各国を結び、航空需要を転換させるという大胆な施策です。ただ、航空便+ホテルよりも快適性に劣れば、航空便からの転換は進みません。

そこで、利用者にとって魅力的な車両を投入することで、勝負に出る‥ということのようです。

2020060918なお、「1-2-3チケット」は長距離路線の利用者に加えて、通勤客の自動車からの転換が大きな目的です。

連邦政府は、オーストリアでは自動車が排出する温暖化ガスは平均216.5kg/1キロであるのに対し、鉄道は14.4kg/1キロであると発表しており、今後、鉄道利用を促進するための政策が加速するもとと思われます。

日本でも羽田空港や成田空港に新幹線駅ができていれば、短距離航空路線の鉄道転換は十分、可能でしょう。政府主導で総合交通政策を立案できるかどうかがポイントのような気もします。

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Comments

ザルツブルクの国内線廃止は意外な気がしますが、現在建設中の高速新線がザルツブルクまで完成すれば、確かに不要になっても致し方ないと思いますが、JTBや阪急交通社等の海外ツアーにとってはかなり困った話の様です。例えば、フレンドツアーのザルツブルクとウィーンを訪れる8日間のツアーの場合、最初にザルツブルクを訪問するので、初日にウィーンに到着後に国内線でその日のうちに移動出来た訳ですが、これが廃止となると、身体への負担を考えてウィーン空港近くのホテルで1泊してから翌日朝にバスか列車で移動と言う事が考えられそうです。当然、日数が増えるし、料金も増えるので、色々困った事になりそうですが・・・

夜行列車の増発も気になりますが、新規の行き先はどこになるのか、どんな列車になるのか、気になる所ではありますが、かつてユーロシティのパリ行きがあったので、パリ程度なら需要はありそうですが、どうなりますか・・・

Posted by: おざきとしふみ | June 13, 2020 16:44

おざきとしふみ様

そもそもOSの日本線が復活するかどうかが怪しいですね。逆にフランクフルトあたりに入れば、そのままザルツブルクへ乗り継ぐことは可能です(ルフトハンザは除外なので)。

Posted by: Feri | June 18, 2020 10:50

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