写真特集 Feierliche Eröffnung - 6. August 2020「Königreich der Eisenbahnen」
日本では、今日、8月10日は「山の日」でお休みですね。本来は11日ですが、2020年は東京五輪・パラリンピック特措法により、オリンピック閉会式翌日の8月10日に変更されたものでしたね。
さて、8月6日にプラーターにオープンした「Königreich der Eisenbahnen」ですが、オープニングセレモニーの様子を含む当日の写真を同社が公開しました。
また、プラーターのホームページにも、新しいアトラクションとして大々的に紹介されています。
今日は同社の新しい写真を紹介しながら、施設の印象を語ってみたいと思います。
建物の外観ですが、3枚目の写真をご覧になるとわかるように現時点では巨大な倉庫のようなイメージ。「何とか間に合わせました」という感じですが、今後、付帯設備の増設に合わせて、変化することでしょう。
まぁ、建物の外側より、中身勝負ですから、この選択は「吉」。
同社のホームページによると、現在の専務が5歳時、鉄道模型に接したことが、このプランの源泉になったとのこと。子供の頃からの夢を実現した方に脱帽です。
ある意味、お好きな方が計画に深く関与していることが、施設の完成度を高めることにつながっていると思います。
まず、Feriが施設の全体写真を見て強く感じたことはウィーン・セクションに関しては、明らかに「街の情景を楽しむこと」をコンセプトにデザインされているです。
今までクローズアップ写真が中心でしたが、ウィーン・セクション全体の写真を見ると、正直、数々の建物の迫力に圧倒されます。そして、「ウィーンの街」の雰囲気が見事に再現されています。
先日もお伝えしたように、いくら巨大とは言え、ジオラマの建設スペースには限りがあります。
架空の都市を造るのであれば、問題は少ないのですが、「実在の都市」を再現するとなると、来館者の見方も大きく変わってきます。
違和感なく見せるのは、プランナーの腕の見せ所ですが、良い意味での割り切りができているように思います。
日本人の場合、雰囲気よりも、「実物に忠実かどうか」という点にこだわる傾向があるような気がしますが、この施設を見ると、雰囲気を大切にするためには、あえて実物をデフォルメするという手段を大胆に採用しています。
全体写真を見ると国立歌劇場も見事に再現されており、旧市街の作り込みは、さすがです。反面、意外だったのはKärntner Straßが省略されていると思われる点です。
実際に施設を見学した訳ではないので、明言は避けますが、国利歌劇場の右側に建物がつながっており、他の角度の写真を見ても、Kärntner Straßに相当するスペースはないようです。
また、シュトラウス像で有名なStadParkは外せないランドマークですが、同公園にあるクアハウス・ウィーンは再現されているものの、公園そのものはかなり狭くなっています。
この他、楽友協会、カールス教会、ベルヴェデーレ宮殿(上宮)は当然、再現されています。ベルヴェデーレ宮殿前のPrinz-Eugen- Straßeにはしっかり路面電車が走っています。
このような矛盾点は、恐らく沢山あると思いますが、雰囲気を再現することを優先したのでしょう。
この考え方は施設のメインである鉄道にも反映されています。
ÖBBの長距離列車に使用される客車は25メートルなので、1/87スケール(HO)では28cm程度になります。
現在、ヨーロッパの鉄道模型も精密化が進み、フルスケールの模型が中心になりつつあります。ところが、一世代前までは、実用性を重視し、客車などは長さだけ1/100スケールにしたものが中心でした。
これは、家庭でジオラマ(日本の鉄道模型界ではレイアウトと言いますが)を作って楽しむためには、曲線がきつくなるため、長さを短縮せざるを得なかったのです。
今回、実際に営業を始めた「Königreich der Eisenbahnen」を見ると、ÖBB線上を走っている客車は、ショートスケールが中心(実際には、現在、ショートスケールの客車が発売されていない車種もあるため、こちらはフルスケール)。かつ編成も短くしているようです。
これは、ジオラマの駅のプラットホームなどが短いこと、重要でない部分の曲線をきつくしてことと関係があるようです。
今回、オープンした区間は、ほとんどが電化区間なので、架線はしっかり張ってありますが、パンタグラフは下げて運行しています。これは、トラブルを防ぐためには、やむを得ない措置だと思います。
また、人形が増えて生活実感が高まりましたが、まだ「人口」が少ないような気がします。これらは、自動車も含めて、今後、増えると思います。
なお、自動車のうち、バスや大型トラックなどは、道路上を走るようになっています。恐らく、ギミックの柱となる緊急自動車なども走るようになっていると思います。
今回、初めて発見したのは狭軌鉄道の存在。これはプラーターのLiliputbahnでしょうか。
この他、今回、初めてコントロールルームの写真が公開されましたが、資材が置いてあるなど、“何とか間に合いました”という感じが伝わってきます。
時節柄、オープニングを延期するという選択肢もあったと思いますが、よく頑張ったものです。
ウィーン・セクションを見ると、周囲の通路から観覧するスタイルなので、先日、ご紹介した仮想的に街の住人になれるVRを活用した理由がわかる気がします。
最も見学の際には、双眼鏡は必須のアイテムだと思います。
なお、こちらではジオラマはガラス越しではなく、柵で仕切られているのが一般的。当施設も、この仕様です。
気になる通路の高さですが、思ったより低く、通路の床面とジオラマの地面が、ほぼ同じ高さのようです。
巨大ジオラマ以外にも小さな子供さん向けに木を使ったおもちゃを主体とした遊戯施設なども併設されています。
今回、公開された写真を見る限り、Feriの期待を上回る仕上がりになっているように感じます。
見学レポートは、しばらく先になると思いますが、今から訪問が楽しみです。
Votivkircheも見事に再現。右側は43系統が走るAlserstraßeのようです。
皆さまご存じのシュピッテラウ清掃工場。Spittelau駅付近の雰囲気も見事に再現されていますね。
この手のジオラマでは、夜景も大きなポイント。雰囲気は黄昏時ですね。
どこの駅かはわかりませんが、階段を上る親子。こういった細かいシーンを捜すのも楽しみかもしれません。
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Comments
東京にもこのようなジオラマ施設が開業したようで テレビで取り上げられていました
日本では珍しいと感じましたが 此方と同じく柵で区切られたのみで 子供が手を出してジオラマに触れることもあるようで 毎晩閉業後のお手入れが欠かせないそうです
feriさんの仰る人が少ない件は 日本の施設では3Dプリンターを使って来場者が自分のミニチュアを作り 好きな場所に1年間飾ることが出来る仕組みにより 増えていかせるようです 代金は凡そ12000円強でした
Posted by: Salzburg.Love | August 09, 2020 23:47
Salzburg.Love様
> 東京にもこのようなジオラマ施設が開業したようで テレビで取り上げられていました
有明のSmall Worldsですね。私は見学したことはありませんが、確か、架空の都市がメインだったと思います。ただ、洋の東西を問わず、模型の街を眺めってホットできるのは良いことだと思います。
Posted by: Feri | August 10, 2020 02:36
有明のスモールワールズ沖縄やタイにも似た様な物を作る予定があるみたいですよ
Posted by: | August 15, 2020 13:58