コロナ信号(Corona-Ampel)がスタート
ウィーン国立歌劇場では新総裁となった初シーズンが7日に開幕。「マダムバタフライ」のPremiereでスタートしました。ORFでも生中継があり、自宅でご覧になった方も多かったようです。なかなか斬新な演出。Feriもテレビ中継を見たので、これについては、別途、お伝えするかもしれません。
また、オーストリアでは9月から学校の新学期がスタートしていますが、連邦政府では新型コロナウイルス対策の一環として「コロナ信号(Corona-Ampel)」の運用を開始しました。
日本では、地区ごとに感染者数をマスコミが報道していますが、実際に、その地域では、どの程度、警戒すればよいのかがよくわかりません。
今回、オーストリア連邦政府が導入した「コロナ信号」は、行政区ごとにリスクを信号に例えて示すものです。
「コロナ信号」については、野党を中心に反対意見も多いようですが、連邦政府としては、国民にわかりやすい指標として導入にしたものと思われます。
各信号の基準については公式ホームページに掲載されています。例えば、緑の場合は、対象地域の人口規模に対して、7日間の累積感染者発生数が低いこと、感染ルートが明確、集中治療室の利用率が低い、感染者が海外からの入国者中心などとなっています。
現時点では毎週金曜日、更新されます。
コロナ信号は交通信号に近いですが、4段階です。緑(Grün、niedriges Risiko、低リスク)、黄(Gelb 、mittleres、中リスク)、オレンジ(Orange、hohes、高リスク)、赤(Rot、非常に高リスク)。
-緑:低リスク
ベースとなる「緑」は低リスクなので、「新しい生活様式」(手洗いの励行、ソーシャルディスタンスの確保など)のルールに則っている限り、規制はありません。
閉鎖空間でのイベント(オペラ、劇場、スポーツ)は、座席指定の場合、最大5000席まで開催可能です。なお、着席時以外はマスク着用が必要です。
屋外では、定員が10000名まで許可されますが、ソーシャルディスタンスを確保できない場合は、マスク着用が義務づけられます。
また、閉鎖空間で座席が指定されていないイベントは、最大200名まで許可されます。ただし、常時、マスクの着用が義務づけられます。
病院へ通院する場合、ソーシャルディスタンスの確保と院内でのマスク着用が義務づけられます。これは老人ホームの場合も同様です。実際に規制が強化されるのは、「黄」以降です。
-黄:中リスク
学校、レストラン、イベントのコロナ対策を強化されれます。
学校では、「衛生上の注意が強化された上で、通常どおりの運営」が行われます。具体的には校内でのマスク着用、換気と消毒の強化、スポーツ活動や合唱の屋外での実施などです。
閉鎖空間である歌劇場や劇場、スポーツ施設、展示会場などでは入場者数が最大2500名に制限されます。同時に施設内ではマスク着用が義務づけられます。
なお、座席のない屋内イベントの場合、100名に制限されます。一方、屋外イベントは指定席制の場合、5000名が上限です。自由席の場合は100名が上限です。屋外イベントでも指定席着席時以外はマスク着用が義務づけられます。
現在、ウィーンは「黄」に指定されているため、Volksoperなどの劇場でも、この基準が適用されています。
9月から始まったウィーンのVolksschule(小学校)では、写真のように玄関には「コロナ信号」が啓示され、新入生と親御さんもマスク着用で登校しました。まさかオーストリアで、このような光景を見るとは想像もできませんでした。
ソーシャルディスタンスの確保はもちろん、公共交通機関、店舗、ガソリンスタンド、金融機関を利用する際にはマスク着用が義務づけられます。また、オフィスを訪問する場合もマスク着用が義務づけられます。
さらにスタッフと長時間接触する美容室、マッサージサロン、ネイルサロンでも従業員はマスク着用が義務づけられます。
病院の場合、事前の予約および院内に入る前のスクリーニング、来院者の記録が行われます。
-オレンジ:高リスク
飲食店では閉店時間が午前0時に繰り上げられます。また、屋外でもソーシャルディスタンスを確保できない場合、マスクの着用が義務づけられます。
学校では、スポーツは屋外のみに制限されます。また、保護者の送迎は校外までとなります。
さらに、身体的な接触を伴うスポーツやレジャーは禁止されます。ただし、プロスポーツ(サッカーのブンデスリーガなど)は例外となる模様です。
イベントについては、閉鎖空間の場合、最大250名(指定席制の場合、自由席の場合は25名)、屋外は500名(指定席制の場合、自由席の場合は50名)に制限されます。いずれもマスクの着用が義務づけられます。
フィットネススタジオなどの閉鎖空間では、地域により定員に制限がかかります。また、運動中を除いて、マスクの着用が義務づけられます。
病院や介護施設については、面会制限がかかります。外来診療は、遠隔診療が推奨されます。
-赤(非常に高リスク)
事実上のロックダウン発動です。連邦政府は、ソーシャルディスタンスを確保できない場合、プライベートな集まりでもマスクの着用が推奨しています。
冠婚葬祭については、例外規定が適用される模様です。義務教育についても欠席が認められるようになり、遠隔授業が行われる可能性があります。
生活に必要な食料品店、薬局、ガソリンスタンドのみ営業が許可され、他の小売業、ホテル、ケータリングなどは営業禁止となります。なお宅配の配達や集荷は許可されます。
オフィスワークについては、テレワークが推奨されます。
病院や老人ホームへの立ち入りは禁止されますが、手術など緊急の場合は例外規定が適用されます。
フィットネスセンターをはじめスポーツ施設、レジャー施設は閉鎖されます。アウトドアスポーツは、1人もしくは世帯に住んでいる人とだけ行う場合、許可されます。
また、プロスポーツについては制限付きで実施が許可されることになっています。ただ、現時点では、法令が整備されていないため、どのような規制が実施されるかは明確になっていません。
ご存じのように、こちらでは日本と異なり、「要請」では、国民の動きをコントロールできません。そのため、明確に法律に基づいて規制をかける必要がある訳です。
コロナ信号の見直しは毎週金曜日に行われ、信号が変わった理由は、当日の記者会見で発表されます。
地方自治体が独自に行うより、連邦政府が一元的に行った方が、わかりやすいのは事実だと思います。
9月4日に試験的に発表された「コロナ信号」では、ウィーン、グラーツ、リンツ、クーフシュタインが「黄」に指定されました。
なお、「コロナ信号」については、こちらからオリジナル版を見ることができます。最後の写真は新聞が掲載した政府記者会見の記事。「黄地区の対策についての記者会見」だったので、写真をあえて黄色くしたようです。
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