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October 06, 2020

電力の「地産地消」を推進するウィーン

2020100510今週末はウィーン市議会議員選挙ですが、体制は既に決しているようです。結論から言うと、現体制の維持。ウィーン市の政治状況については専門家の分析にお任せすることにしましょう。さて、今日は、またまた「太陽光発電の話題」です。

再生可能エネルギーの採用に積極的なオーストリアですが、ウィーンでは、場所柄、大規模な風力発電所の建設は困難です。そこで、目を付けたのが太陽光発電。

ただ、郊外は別にすると広い土地が少ないため、建物の屋上に太陽光発電装置を取り付けるというパターンが増えています。

最近、二つの大きな太陽光発電プロジェクトが完成しました。

2020100511一つは、ウィーン港の太陽光発電システムです。ウィーン港は、Wien Holdingが管理していますが、今回、構内にあるMQ7という商業ビルディングにWien Energieに委託して設置した太陽光発電システムが稼働を始めました。

約5500平方メートルの敷地に合計1066枚の太陽電池モジュールが設置され、ピーク時の出力は約300kw/h。敷地内で使用される全電力の5分の1を賄うことができます。

ウィーン港は、2017年に企業誘致のため、HQ7と呼ばれ施設を建設するための敷地を購入。サッカー場8面分の広さのスペースに、オフィスやワークスペース、倉庫、ガレージなどが立ち並んでいます。

今回、このHQ7のガレージエリア屋上に太陽光発電システムを設置しました。いわゆる「電気の地産地消」です。

2020100514もう一つはOttakringの市庁舎屋上太陽光発電システム。これは市庁舎屋上に住民参加の太陽光発電システムを設置したものです。このシステムで、Ameisbachzeile 119~123にある160戸以上の住民は、太陽光発電システムで発電された電力を利用できるようになります。

Ottakringは、現在、気候変動抑止のモデル地区になっており、様々な組織と連携して、クーリングスポットを初めとするトライアルを実施。今回の試みも、その一環です。

このプロジェクトで興味深いのは住民参加型であるという点です。太陽光発電システムの設置費用150000EuroはWien Energieが負担していますが、太陽光発電で発電した電力を利用したい住民は、別途、契約を行うことで利用可能です。そのため、賃貸住宅などで自分が住んでいるアパートの屋上に太陽光発電システムが設置されていなくても利用できます。

応募は9月末に締め切られましたが、応募者の数に合わせてシステムの詳細(太陽光発電モジュールの数など)を設計し、施工に入ることになっています。

2020100512基本計画では、ピーク時に183kw/hの発電能力を持ちます。完成後には、年間65000kgのCO2削減が期待できると当局は発表しています。なお、稼働開始は2021年夏を予定しています。こちらも「電力の地産地消」です。

Wien Energieは、すでに6つの共同太陽光発電所を設置しています。さらに15の工場がすでに実施済み、または来年には建設予定です。

さらにウィーンの500以上のアパートの住民は、自分たちの屋根に設置された太陽光発電システムで発電された電力を選択しています。アパート1棟あたりの参加率は、新築では平均60%ですが、既存の建物ではやや低くなっているそうです。

2020100515一方、Wien Energieはウィーン市内で屋根を活用した太陽光発電システム以外にも、大規模なプラント建設を行っています。

DonaustadtにあるSchafflerhofstraßeにあるウィーン市の廃棄物集積所と林業・農業部門が所有する土地(12.5ヘクタール)を利用してオーストリア最大の太陽光発電所(最大出力11.5メガワット、年間13ギガワット/時)の建設をしています。

2020年末には稼働し、5200世帯に電力を供給する予定になっています。興味深いのは、25780枚の太陽電池モジュールが設置されている土地には4月から10月にかけて、草刈りのために150頭の羊が放牧されている点です。

2020100516太陽電池モジュールは、地面から若干、高い位置に設置されており、放牧されている羊を太陽と風から守る効果もあります。なお、太陽電池モジュールは密接して設置されている訳ではなく、農業ができるように列の間が空けられています。

この農業用スペースにはトラクターが乗り入れることができるようになっています。この場合は、専用の太陽光発電所ですが、ウィーン市内なので、送電に伴う電力ロスは少なく、効率的に発電した電力を使用できることでしょう。

日本では、太陽光発電を投資として位置づけている企業も多いようですが、供給と需要のバランスや発電量の変動などを考えれば、太陽光発電は、このような「地産地消」が最も有効ではないかと思います。

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