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October 20, 2020

ÖBBの中期投資計画

2020102003今日は、先日、発表された「ÖBBの中期投資計画」をご紹介しましょう。

現在、ヨーロッパでは環境保護の観点から鉄道利用促進が叫ばれており、それを受けて、各国の鉄道事業者(特に昔の国鉄系)は積極的な投資を行うようになりました。

今回、発表された中期計画は2021年~2026年までのものです。

ÖBBでは「気候変動との戦いにおける真のマイルストーン」と位置づけ、近代的で効率的な鉄道インフラの整備に今後、6年間で30億Euroを投資する予定です。なお、ÖBBでは総予算を175億Euroと見込んでいます。

2020102001今回の中期計画のポイントは、3つです。
1.出発時間がわかりやすく、乗り換え時間を短縮し、移動時間が短くする
2.1-2-3チケットの導入により需要喚起する
3.貨物輸送をさらに鉄道にシフトする

ÖBBは民営化されたとは言え、株式を連邦政府が保有する特殊会社。ÖBBを所管するLeonoreGewessler運輸大臣は、“連邦政府がこれまで実施した中で、最大の投資を行う。全国のプロジェクトに170億Euro以上投資するが、これは気候変動との他高いで、極めて重要である”と述べています。

2020102006具体的には、次の4つが実施されます。
1.大都市と周辺のS Bahn増発
2.鉄道の魅力を高めるため、地方での電化推進
3.貨物輸送拡充に向けた輸送力増強と経済的なルート開発
4.デジタル化の推進による効率向上

以前、S Bahnは誕生の経緯から「ウィーンの都市鉄道」というイメージが強かったですが、近年、グラーツやザルツブルク、インスブルックなど地方都市でもS Bahnネットワークの整備により、利用者は急速に増えています。

2020102004「自動車から鉄道へ」という流れを加速するため、更に列車の増発が図られることになりました。そこで、列車の編成を長くするためプラットホームの延長を実施します。

更に線路容量を拡大するため、衛星を使った制御技術を活用したシステムを導入する予定です。このシステムを使うことで、Meidling-Floridsdorf間の線路容量は1日700本から900本に増えると発表されています。

この制御システムは、貨物列車と同一の線路を使っている地方でも効果的なので、全ての州都に導入される予定です。

2020102002オーストリアは電化区間が多いですが、ローカル線は非電化のところも残っています。今回、2026年までに12億Euroを投資して、幹線と接続するローカル線の電化を推進します。

ちなみに右図の緑のラインが現在、電化されている路線。ピンクのラインが、今回、電化対象となっている路線です。

貨物輸送の充実に向けて、ウィーン南貨物ターミナルが拡張されます。

ところで、こちらで建設されている最新の貨物ターミナルには、コンテナ埠頭でおなじみのクレーンが設置されており、スピーディーにコンテナを貨車からトラックへ搬送できるようになっています。こういった工夫によって、輸送効率向上を図っている訳です。

2020102007また、貨物列車の増発に伴う騒音低減を図るため、防音壁の建設が推進されます。

プレゼンテーション資料にはドイツ鉄道(DB)との投資比較が掲載されていますが、ÖBBの方が遙かに多くの資金を投資しています。

国土面積が広い(当然、鉄道路線長も長い)ドイツよりも、多くの投資をすると言うことは、「攻めの経営」ということができるでしょう。

なお、オーストリアの場合、2028年にセメリングベーストンネル、ブレンナーベーストンネルがそれぞれ開通予定で、鉄道ネットワークに大きな変化が訪れます。今回の駐機計画も、そのような大規模プロジェクトの完成を踏まえたものです。

2020102005日本の場合、東京や大阪といった大都市部の鉄道インフラは、充実しており、現在も整備が進められていますが、逆に地方都市では鉄道が劣勢になっているところもあります。

また、旅客会社が上下一体経営であるため、貨物会社が不利になっているような気もします。トラックドライバー不足が深刻になっている日本でも、環境保護の観点も踏まえて、鉄道貨物を見直す動きが出てこないものでしょうか。

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Comments

こうして見ると、工事中のセメリングとブレンナーの2大トンネルに目が行きがちになりますが、今回の投資計画は高速新線の建設よりは、既存の物をより強化しようという事の様です。特に貨物列車の強化を見ていると、環境にやさしい貨物輸送を考えているオーストリアの戦略を見て取れます。ところで、ザンクトペルテン~ザルツブルク間の高速新線の工事ですけど、あれからどうなったのでしょうか?そろそろ、完成しても良いはずなのですが。

Posted by: おざきとしふみ | October 22, 2020 14:18

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